東京市場のドルは150円台を回復、想定線のハト派発言で円全面安は一服か
【本日の東京市場】
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日銀会合の結果発表後、ドル買いが加速して150円台を回復した。
昨晩の海外時間では、3月ニューヨーク連銀サービス業活動がプラスに回復、3月NAHB住宅市場指数も予想外に上昇したため、ややドル買いが優勢となった。また、今週開催する連邦公開市場委員会(FOMC)で声明や議長会見に加え、米金融当局者の金利予測分布図(ドット・プロット)で利下げに慎重な姿勢が示されるとの見方も長期金利の上昇につながり、ドルしっかりの地合いとなった。
東京時間では、12時35分に日本銀行の金融政策決定会合の結果として「マイナス金利の解除」「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール(YCC))の終了」「上場投資信託(ETF)などリスク資産の買い入れの終了」が伝わった。
速報が流れた後は149円30銭前後での小動きだったが、12時40分頃、「当面、緩和的な金融環境が継続」と伝わったタイミングでドルは上昇。一時150円40銭まで上昇するなど150円台を回復した。円は主要通貨に対して総じて売られたことから、円全面安の地合いとなった。
ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:149円03銭
高値:150円40銭
安値:149円01銭
終値:150円31銭
ユーロ・円(日本時間8時―15時)
始値:162円04銭
高値:163円43銭
安値:162円03銭
終値:163円30銭
豪ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:97円73銭
高値:98円08銭
安値:97円58銭
終値:97円96銭
ポンド・円(日本時間8時―15時)
始値:189円68銭
高値:191円20銭
安値:189円64銭
終値:191円01銭
日経平均(日本時間9時―15時)
始値:39622円58銭
高値:40003円60銭
安値:39407円50銭
終値:40003円60銭(前日比+263円16銭)
【本日の海外市場の重要指標】日本時間
17時30分、欧、デギントスECB副総裁が講演
17時40分、欧、デコス・スペイン中銀総裁が講演
19時00分、欧、3月ドイツZEW景況感指数、前回:19.9、市場予想:20.1
19時00分、欧、3月ユーロ圏ZEW景況感指数、前回:25.0
21時30分、米、2月住宅着工件数、前回:133.1万件、市場予想:144.0万件
21時30分、米、2月住宅着工件数(前月比)、前回:−14.8%、市場予想:7.5%
9日からFRBブラックアウト期間入り(21日まで金融政策に関する発言自粛)
※予定は変更することがございます。
【テクニカル分析など】
日足ベースのドル・円は、一目均衡表の雲上限手前から反発しており、転換線や基準線が位置する148円60銭水準を上回った後、昨日もみ合った20日移動平均線を本日一気に上回った。
日銀会合の結果は市場が織り込んでいた内容とほぼ同じだったが、「当面、緩和的な金融環境が継続」というヘッドラインを受けて円売りが加速。一方、FOMCを控えていることなどから、時間外の米10年債利回りは4.32%台と日銀会合の結果発表後は目立った動きは観測されなかった。
15時30分から開始された植田日銀総裁の記者会見では、
「YCC枠組みとマイナス金利はその役割を果たした」
「現時点の見通しが前提ならば、緩和的な金融環境が当面継続する」
「最近のデータなどから賃金と物価の好循環の強まりを確認」
「緩和環境を維持することが大事」
「長期金利が急激に上昇する場合は機動的に対応する」
「短期金利の上昇ペースは経済物価見通し次第」
「本政策決定ではデフレ脱却にはならない」
「春闘の第1回回答、政策判断の重要なポイントとなった」
など総じて「ハト派」なコメントが確認された。市場の想定通りの内容だったことで、ドルは150円40銭水準で目立った動きは観測されなかった。
今晩の海外時間では、一段の円全面安が進む可能性はあるが、FOMC開催を受けて、一気に151円台に乗せる展開は回避されよう。一方、今回の円安進行は、「日本の金融政策の正常化」を海外投資家が評価して日本株を買ったことに伴う円売りという側面もあることから、神田財務官は「ファンダメンタルズに沿った動きもあるが、投機的な動きもある」と濁した口先介入となるだろう。明日20日は祝日のため売買は減少しそうだが、薄商いのなか、為替が乱高下する展開は意識しておきたい。
今晩の海外時間は、円安進行一服を想定する。上値メドは150円60銭、下値メドは149円60銭とする。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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