ドル円、米PPIの伸び率加速で急上昇。米10年債利回りも約2週間ぶり高水準へ
〇ドル円、米2月PPI、PPIコアの予想を上回る結果と米金利急上昇に米国時間に148.36まで急伸
〇時事通信社「日銀がマイナス金利解除の方向で調整に入った」と報じ、一時147.44まで下落する場面も
〇ユーロドル、ECB関係者のハト派発言、米長期金利上昇に1.0880まで急落
〇ドル円、148円台に伸ばすも上方向にレジスタンス並び、更なる上昇は容易でないか
〇ファンダメンタルズも日銀によるマイナス金利の解除観測の強まり、年度末のレパトリ等が重石に
〇本日予定されている春闘1次集計の結果次第では、ドル円に強い下押し圧力も
〇米国時間にも重要指標多く、終日ボラタイルな相場展開に要警戒
〇本日の予想レンジ:147.25ー148.75
海外時間のレビュー
14日(木)のドル円相場は堅調な値動き。(1)米新規失業保険申請件数(結果20.9万件、予想21.8万件)の力強い結果や、(2)米2月生産者物価指数(結果+1.6%、予想+1.2%)および、同コア指数(結果+2.0%、予想+1.9%)の市場予想を上回る結果、(3)上記2を背景とした米長期金利の急上昇(米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測→米2年債利回り・米10年債利回りはいずれも2/29以来の高水準となる4.70%、4.30%へ急上昇)が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値148.36まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間3/15午前6時30分現在)では、148.32前後で推移しております。尚、昨日は時事通信より「日銀が3/18ー3/19に開く金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除する方向で調整に入った」との報道が見られましたが、円買いの反応は一時的となりました(一時147.44まで急落するもすぐに148円台を回復)。
14日(木)のユーロドル相場は急反落。アジア時間朝方にかけて、高値1.0955まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)ギリシャ中銀ストゥルナラス総裁による「夏季休暇前に2度の利下げが必要」「我々はすぐに利下げを開始する必要がある」「2024年内に4度の利下げが合理的と考える」とのハト派的な発言や、(2)レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミストによる「ディスインフレの進行が続いている」とのハト派的な発言、(3)米2月生産者物価指数および、同コア指数の市場予想を上回る結果、(4)上記3を背景とした米長期金利の急上昇、(5)欧州株の冴えない動きが重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0880まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間3/15午前6時30分現在)では、1.0885前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は米PPIの伸び率加速とそれに伴う米長期金利の急上昇を受けて一時148.36まで急伸しました。但し、アップサイドに複数のレジスタンスポイント(一目均衡表の転換線や基準線、21日移動平均線やボリンジャーミッドバンドなど)が並んでいること等を踏まえると、ここからの更なる上昇は容易では無いと考えられます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)日銀によるマイナス金利の解除観測(昨日は時事通信より「日銀が3/18ー3/19に開く金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除する方向で調整に入った」との報道あり)や、(2)米FRBによる年内利下げ観測(米FRBは2024年中に複数回の利下げに踏み切る構え)、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違い(米FRBによる利下げ開始時期が6月、7月、8月なのか?等、時期の前後はあれど利下げに向かう方向性は変わらず→日米金利差縮小期待→円キャリートレードの巻き戻しリスク)、(4)日系企業の年度末に向けたレパトリ観測など、ドル円相場の下落を連想させる材料が揃っています。
本日予定されている春闘1次集計で賃上げが確実視される場合には、来週の日銀金融政策決定会合でのマイナス金利解除およびYCC(イールド・カーブ・コントロール)の撤廃が意識されるため、ドル円相場に強い下押し圧力が加わるシナリオが想定されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の一巡後の反落をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は海外時間帯に米3月ニューヨーク連銀製造業景況指数や、米2月輸出入物価指数、米2月鉱工業生産、米2月設備稼働率、米3月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値なども予定されているため、アジア時間・欧米時間を通してボラタイルな相場展開に警戒が必要でしょう。
本日の予想レンジ:147.25ー148.75
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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