東京市場のドルは147円台半ばで推移、異次元の賃上げで日銀会合への思惑が錯綜
【本日の東京市場】
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、春闘での「満額回答」連発によって、日銀による「金融政策の正常化」の思惑が一時強まる場面も見られたが、終わってみれば147円台半ばでの推移となった。
昨晩の海外時間では、2月米消費者物価指数(CPI)が1月に続き市場予想を上回る伸びとなったため、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ開始判断が遅れるとの見方が強まりドル買いが優勢、148円台まで上昇した。一方、詳細を確認すると、利下げ軌道を大幅に変える内容ではないとの見方が強まったことから、ドル買いは一服。結局、147円60銭台までドルは値を戻した。
東京時間では、2024年春季労使交渉で各企業から「満額回答」が相次いだことで、来週18-19日の日本銀行による金融政策決定会合にて「金融政策の正常化」に踏み出すとの思惑が強まったことから、147円台前半までドルが売られる場面は見られた。ただ、週初のような勢いはなく、ドル売り一巡後は147円台半ばでのもみ合いとなった。
ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:147円58銭
高値:147円66銭
安値:147円24銭
終値:147円56銭
ユーロ・円(日本時間8時―15時)
始値:161円27銭
高値:161円34銭
安値:160円90銭
終値:161円28銭
豪ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:97円50銭
高値:97円67銭
安値:97円24銭
終値:97円62銭
ポンド・円(日本時間8時―15時)
始値:188円80銭
高値:188円93銭
安値:188円42銭
終値:188円80銭
日経平均(日本時間9時―15時)
始値:39059円95銭
高値:39147円80銭
安値:38452円57銭
終値:38695円97銭(前日比−101円54銭)
【本日の海外市場の重要指標】日本時間
19時00分、欧、1月ユーロ圏鉱工業生産指数(前月比)、前回:2.6%、市場予想:−2.1%
19時00分、欧、1月ユーロ圏鉱工業生産指数(前年比)、前回:1.2%、市場予想:−3.1%
20時45分、欧、チポローネECB理事が会議に出席
23時00分、欧、ストゥルナス・ギリシャ中銀総裁が講演
23時30分、米、週次石油在庫統計、前回:136.7万バレル
9日からFRBブラックアウト期間入り(21日まで金融政策に関する発言自粛)
※予定は変更することがございます。
【テクニカル分析など】
日足ベースのドル・円は、一目均衡表の転換線、基準線を相次いで下回った後、雲上限や200日移動平均線が位置する146円10銭-20銭の水準手前で下げ止まり、足元100日移動平均線水準でもみ合っている。今後、切り上がっていく雲上限に沿ったリバウンドを見せるか注目したい。
本日の昼頃に伝わった春闘の結果は、満額回答連発のほか、日本製鉄の+14%と満額回答を上回るなど「異次元の賃上げ」となった。この結果を踏まえ、岸田首相は「日本経済はデフレ脱却には至っていない」「(金融政策は)構造的賃上げも踏まえ、日銀が総合判断と認識」と発言。また、参議院予算委員会に出席した植田日銀総裁は「(2%物価目標の実現に向けて)春闘の動向は大きなポイント」「(金融政策は)春闘回答など総合的に点検し適切に判断」「物価目標実現が見通せる状況になれば、大規模緩和の修正を検討」と発言した。
市場では、3月会合にて「マイナス金利解除の是非を議論」といった見方がほぼコンセンサスになりつつある。一方、12日に植田日銀総裁が、「個人消費は価格上昇幅が大きかった食料品など非耐久財への消費に弱めの動きがうかがわれる」という発言から推測すると、3月会合では「マイナス金利解除の是非を議論するが、解除実施は4月会合」といったところか。
どちらにせよ、春闘の集中回答日を通過し新たなデータが加わったことから、来週19日の日銀会合の結果及び植田和男日銀総裁の記者会見までは、様々な思惑が高まりそうな状況だ。19-20日のFOMC会合までは為替市場での神経質な展開は続くと考える。
今晩の海外時間は春闘の結果を受けた売買が多少は入りそうだが、米10年債利回りは4.1%台の小動き推移のため、目立った売買は手控えられよう。上値メドは147円90銭、下値メドは147円10銭とする。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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