ドル円見通し ドル円は安値更新後も下げ渋り程度の動き
〇ドル円、日銀の政策修正を意識した円高圧力がかかり3/11夕刻に146.46までわずかに安値を更新
〇夜は米長期債利回りが反発、ドル安感が緩むもドル円は147円台到達を売られ、下げ渋り程度の動き
〇昨日発表の日本GDPは上方修正、日本の株価は大幅下落するも日銀はETF買い見送り
〇米長期債利回りは総じて上昇、米10年債利回りは5営業日ぶりの反発
〇147.25以下での推移中は下向きとし、146.46割れからは146.00前後への下落を想定する
〇147.25から147.50円手前は戻り売り有利とするが、147.50を超える場合は148円に迫る上昇を想定
【概況】
ドル円は日銀当局者によるマイナス金利解除へ向けた地ならし的発言が相次いだことと米国の6月利下げ期待度が高まる中で先週は大幅下落となり、3月8日夜には146.48円まで下げて2月29日未明高値150.84円からの下げ幅は4.36円に拡大した。週明けの3月11日も日銀の政策修正を意識した円高圧力がかかり夕刻に146.46円までわずかに安値を更新し、夜は米長期債利回りが先週の大幅低下一巡で反発してユーロやポンド等が反落したことでドル安感が緩んだもののドル円は147円台到達を売られて上値が重い下げ渋り程度の動きに留まった。
【日本GDPプラスへ修正、株安でのETF買いは見送り】
3月11日朝に発表された内閣府による昨年10-12月の日本GDP2次速報は前期比プラス0.1%となり1次速報のマイナス0.1%から上方修正され、年率では1次速報のマイナス0.4%からプラス0.4%へ上方修正された。
法人企業統計での設備投資が上方修正されたことが上方修正の主要因だったようだが、2期連続マイナスを回避したことで日銀はマイナス金利解除等を推し進める上での障害が減ったとの見方がある。しかしGDPの過半を占める個人消費は前期比マイナス0.3%で1次速報のマイナス0.2%から下方修正されており、実質賃金が22か月連続で低下している現状を踏まえれば、2024年1-3月期に再びマイナス成長へ転落している可能性も懸念される。
日銀は3月6日の高田審議委員、7日の植田総裁と中川審議委員らによるマイナス金利及びYCC解除へ向けた前向き姿勢の発言を繰り返し、メディアによる3月ないし4月のマイナス金利等解除見込みとの報道も相次いだことで3月18/19日の日銀金融政策決定会合でそれらが決定されるのではないかとの見方が強まり円は全面高の様相となってきた。
3月11日は日経平均が前日比868.45円安と大幅下落し、一時は1000円安を超える下げ幅となり、TOPIXも11日の前場で前日比2%安を超える大幅下落となったものの、日銀はETF買い入れによる株価下支えを見送った。ETF等の購入も日銀による異次元金融緩和政策の一環であり、植田日銀総裁は2月6日の国会答弁で「2%の物価目標が持続的・安定的に見通せるようになった時にETF購入等の他の手段も含めて継続することがよいかどうかを検討する」と述べており、11日午前のETF買い入れ見送りも政策修正へ向けた動きだった可能性がある。
【米10年債利回りは5営業日ぶり反発】
3月11日の米長期債利回りは先週の大幅低下一巡感と3月12日の米2月CPI発表を控えたポジション調整で総じて上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは3月5日から8日まで4営業日連続低下となり、3月8日には一時4.04%をつけて2月22日に付けた4.35%以降の最低としたが、11日は先週末比0.02%上昇の4.10%へ若干戻した。30年債利回りは先週末と変わらずの4.26%となり、3月7日に一時4.19%まで低下して2月22日に付けた4.51%以降の最低としたところからは下げ渋っている。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは先週末比0.06%上昇の4.54%とし、3月8日に一時4.41%をつけて2月23日に付けた4.76%以降の最低としたところから戻している。
米財務省は11日に3年債入札(560億ドル)を実施、応札倍率は応札倍率は2.60倍で2月入札時の2.58倍を上回ったが平均の2.70倍を下回った。
ニューヨーク連銀が3月11日に発表した2月消費者調査では3年先期待インフレ率が1月の2.35%から2.71%へ上昇し、1年先も3.04%へ小幅上昇したことも米長期債利回り上昇に寄与した印象だ。
一方、NYダウは先週末比46.97ドル高、ナスダック総合指数は65.84ポイント安と明暗が分かれた。ダウは2月23日に史上最高値を更新した後はやや軟調な推移で昨年10月末からの上昇一巡感も見られ、ナスダック総合指数は3月8日に史上最高値を更新した当日を188.27ポイント安として11日も続落して上昇一服感がみられる。米国株安が日経平均安につながれば、円安株高の逆流で円高株安の連鎖となりやすくなる。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は先週の大幅下落から3月11日夕安値146.46円まで安値を切り下げ、147円台到達を売られているために60分足レベルは3月8日夜以降をやや右肩下がりの三角持ち合いの様相で推移している。下げ渋り型の動きであり、147.50円を超えてさらに続伸するような反騰がみられない内は一段安警戒とし、3月12日夜の米CPI発表から一段安する場合は12日深夜から14日夜にかけての間への下落を想定する。米CPI発表後に反発する場合はいったん戻しに入るとみて12日深夜から15日未明にかけての間への上昇を想定するが、来週の日米金融政策決定会合を控えていることを踏まえれば、戻り一巡後は再び下落期に入るのではないかとみる。
60分足の一目均衡表では、3月5日夜の下落時に遅行スパンが悪化して5日深夜には先行スパンからも転落したが、その後も先行スパンを下回った状況が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパンが好転するところからはいったん戻しに入るとみるが、先行スパンの上限が抵抗となりやすいとみて、先行スパンを上抜き返せないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開とみる。
60分足の相対力指数は3月11日夜に50ポイント手前へ上昇したものの50ポイント超えへ進めずに上値の重い状況のため、50ポイント超えからは60ポイントを試す上昇を想定するが、40ポイント割れからは20ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、3月11日夕安値146.46円を下値支持線、147.25円を上値抵抗線とする。
(2)147.25円以下での推移中は下向きとし、146.46円割れからは146.00円前後への下落を想定する。146円以下は反騰注意とするが、米CPI等をきっかけに急落商状の場合は145円台中盤へ下値目途を引き下げる。
(3)147.25円から147.50円手前は戻り売り有利とするが、147.50円を超える場合は反騰継続とみて148円に迫る上昇を想定し、147.50円を超えた後も147円台を維持しての推移なら13日も高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の予定】
3/12(火)
OPEC月報
16:00 (独) 2月 CPI(消費者物価指数)・改定値 前月比 (1月 0.4%、予想 0.4%)
16:00 (独) 2月 CPI(消費者物価指数)・改定値 前年同月比 (1月 2.5%、予想 2.5%)
16:00 (英) 1月 失業率・ILO方式 (12月 3.8%、予想 3.8%)
21:30 (米) 2月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (1月 0.3%。予想 0.4%)
21:30 (米) 2月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (1月 3.1%、予想 3.1%)
21:30 (米) 2月 コアCPI・食品・エネルギー除く 前月比 (1月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 2月 コアCPI・食品・エネルギー除く 前年同月比 (1月 3.9%、予想 3.7%)
26:00 米財務省10年債入札
27:00 (米) 2月 月次財政収支 (1月 -219億ドル、予想 -2990億ドル)
3/13(水)
16:00 (英) 1月 月次GDP 前月比 (12月 -0.1%、予想0.2%)
16:00 (英) 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 0.6%、予想 0.0%)
16:00 (英) 1月 鉱工業生産 前年同月比 (12月 0.6%、予想 0.7%)
16:00 (英) 1月 製造業生産指数 前月比 (12月 0.8%、予想 0.0%)
16:00 (英) 1月 貿易収支・物品 (12月 -139.89億ポンド、予想 -150.50億ポンド)
16:00 (英) 1月 貿易収支 (12月 -26.03億ポンド、予想 -31.00億ポンド)
19:00 (欧) 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 2.6%、予想 -1.5%)
19:00 (欧) 1月 鉱工業生産 前年同月比 (12月 1.2%、予想 -3.0%)
23:30 EIA週間石油在庫統計
26:00 米財務省30年債入札
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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週明け11日(月)のドル円相場は下落後に持ち直す展開。
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