米長期債利回りを見ながら148円を挟んだ揉み合い、日銀内田副総裁会見に注目
〇ドル円、米長期債利回りの連騰一巡後、2/8午前は148円を割り込みつつあり、戻りの勢い鈍い印象
〇本日午後2時半に日銀副総裁の会見予定、マイナス金利解除へ前傾姿勢の場合は円高反応に要注意
〇米国時間の米地区連銀総裁らの利下げ期待けん制に対する市場反応鈍い
〇米長期債利回りは総じて小幅上昇、NYダウは史上最高値更新
〇金融緩和開始期待等が株高助長するも、欧州景気悪化や中国不況感により過度の楽観には要注意か
〇148.25以下での推移中は一段安余地ありとし、147.62割れからは147円台序盤への下落を想定
〇148.25超えからは反騰継続として148.50試しとする
【概況】
ドル円は2月2日夜の米1月雇用統計が予想を上回る堅調さとなり米長期債利回りが急上昇したことで2月2日夜の146.50円台から2月3日未明高値148.58円へ急伸し、2月5日の米長期債利回り続騰により6日未明には148.89円を付けて昨年12月28日安値140.24円以降の高値を更新したが、米長期債利回りの連騰が一巡したことでその後はドル円の上昇も頭打ちとなっている。
2月7日は米長期債利回りのジリ高を見て午前安値147.71円から夜高値148.25円まで戻し、米長期債利回りが一時低下した局面で147.62円まで一段安したものの早々に148円台序盤を回復した。2月8日午前は再び148円を割り込みつつあり、戻りの勢いは鈍い印象だ。
昨夜も米地区連銀総裁やFRB高官らによる早期利下げ期待へのけん制発言が続いたものの市場もある程度織り込み済として反応は鈍くなっている。本日は午後2時半に日銀の内田副総裁の会見があり、日銀のマイナス金利解除へ向けてやや前傾姿勢がみられる場合は円高反応を招きやすいと注意したい。
【米地区連銀総裁らの利下げ期待けん制に対する市場反応は鈍くなる】
昨年12月のFOMCが2024年3回利下げ想定を示したことで市場は早ければ3月に利下げが開始するとの期待を膨らませたが、昨年末からは米地区連銀総裁やFRB理事等による3月利下げへの否定的な姿勢や早期利下げに対する市場の過剰な期待を諫める発言が繰り返されてきた。
2月7日もボストン連銀のコリンズ総裁が利下げに関し、「確信がもっと得られれば年内に引き締め的な政策を緩和し始めることが適切になり得る」としたものの、利下げ前には「より多くの証拠を確認する必要がある」と述べた。
クグラーFRB理事も7日の講演で「ある時点で」政策金利引き下げが適切になるとしたが、利下げ時期には言及せず、「インフレ低下の進展が滞れば政策金利を現行水準でより長期間据え置くことが適切になり得る」と述べた。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は7日に「年内に2、3回の利下げを実施するのが適切だと現時点で考えている」とし、「労働市場の好調が維持されればFRBの利下げペースはかなり緩慢になり、大幅に減速すればより迅速に利下げを実施しなければならなくなる」と述べた。またリッチモンド連銀のバーキン総裁は「インフレ率が目標の2%に向けてどの程度持続的に低下しているのかまだ疑問が残る」として利下げ開始判断は時期尚早との認識を示した。
金利先物市場における3月利下げ開始期待は1割台まで低下してほぼなくなっているが、5月利下げ開始についての期待度は7割近くを維持している。
米議会予算局は7日夜に予算編成上の見通しとして、米成長率を2024年は1.8%、2025年は2.0%と予想し、PCE物価指数については2024年と2025年を共に2.2%とし、FRBは4〜6月期に利下げを開始するとの見通しを示した。FOMCは3月19/20日、4月30/5月1日、6月11/12日に開催される。
【米長期債利回りは総じて小幅上昇、NYダウは史上最高値更新】
2月7日の米長期債利回りは総じて小幅上昇した。2月2日の米雇用統計をきっかけとして急伸し、2月5日も連騰したが、6日は上昇一巡感から低下し、7日は一時低下したものの終盤に戻しており、連騰一服後の小康状態を続けている。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.02%上昇の4.12%。一時4.07%まで下げた場面でドル円が下落したが終盤に持ち直した。30年債利回りは前日比0.03%上昇の4.33%、2年債利回りは前日比0.03%上昇の4.44%だった。
一方でNYダウは前日比156.00ドル高と上昇、6日から2連騰で2月2日につけた取引時間中の史上最高値に迫り、終値ベースでは2月2日終値を超えて最高値を更新した。ナスダック総合指数も147.64ポイント高で6日から連騰となり高値で15770.68を付けて2023年10月安値以降の最高値を更新した。
先行きの金融緩和開始期待とソフトランディングによる不況入り回避への楽観が株高を助長しているが、ドイツの12月鉱工業生産が前月比1.6%低下して7か月連続のマイナスとなり欧州景気悪化への懸念が拡大していること、中国の株価対策で上海総合株価指数が大幅連騰で戻しているもののデフレ不況感が徐々に強まっていること、米地銀の経営懸念が再び問題になってきていることを踏まえれば過度の楽観にはブレーキがかかってもよいところと注意したい。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は2月6日未明高値148.89円をピークとして下落したが、7日深夜安値147.62円からいったん戻しているため、7日深夜安値を目先の底として戻りを試すか、底割れから新たな下落期に入るのか試されるところと思われる。
2月7日深夜安値割れを回避するかわずかに割り込んでから148.25円を超える場合は8日夜から12日深夜にかけての間への上昇を想定するが、7日深夜安値を割り込んで続落する場合はいったん底を付けたものの底割れから新たな下落期に入ったとみて12日夜から14日深夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では、2月7日深夜へ下落してから持ち直したことで遅行スパンが好転したが、先行スパンからは転落している。先行スパンを上抜き返せないうちは一段安余地ありとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開として遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は2月7日午前から7日深夜にかけて相場が一段安した際に指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せて戻している。50ポイント台前半では上値が重くなっているため、上昇継続は60ポイント超えからとし、40ポイント割れからは戻り一巡による下落再開とみて20ポイント台への低下へ進むとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、2月7日深夜安値147.62円を下値支持線、148.25円を上値抵抗線とする。
(2)148.25円以下での推移中は一段安余地ありとし、147.62円割れからは147円台序盤(147.25円から147.00円)への下落を想定する。147.25円以下は反騰注意圏とするが、147.70円を下回っての推移なら9日も安値試しを続けやすいとみる。
(3)148.25円超えからは反騰継続として148.50円試しとする。148.50円前後は売られやすいとみるが、148.50円超えから続伸の場合は2月6日未明高値148.89円超えを目指す上昇を想定する。
【当面の予定】
2/8(木)
10:30 (中) 1月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (12月 -0.3%、予想 -0.5%)
10:30 (中) 1月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (12月 -2.7%、予想 -2.6%)
14:00 (日) 1月 景気ウオッチャー現状判断 (12月 50.7、予想 50.3)
14:00 (日) 1月 景気ウオッチャー先行判断 (12月 49.1、予想 49.3)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.4万件、予想 22.0万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 189.8万人、予想 187.8万人)
24:00 (米) 12月 卸売売上高 前月比 (11月 0.0%、予想 0.2%)
24:00 (英) マン英中銀委員、講演
24:30 (欧) レーンECB理事、講演
26:05 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
27:00 (米) 財務省30年債入札
2/9(金)
休場 中国中国春節で休場入り(2月19日から取引再開)
07:30 (豪) ブロック豪中銀総裁、半期議会証言(下院)
08:50 (日) 1月 マネーストックM2 前年同月比 (12月 2.3%)
16:00 (独) 1月 CPI(消費者物価指数)・改定値 前月比 (12月 0.2%)
16:00 (独) 1月 CPI(消費者物価指数)・改定値 前年同月比 (12月 2.9%)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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