ドル高基調を維持、150円目指す展開も
〇先週のドル円、週末の米雇用統計がポジティブサプライズで反騰高、週末NYは148円台まで上昇
〇週間を通した値幅は3円に届かず小動きだが、上下に大きく振れる荒っぽい変動
〇1/19高値148.80を超えれば、日本の円安けん制も予想されるなど上値は重そうだが150円が再び視界内
〇今週、1月ISM非製造業景況指数や12月貿易収支等の米経済指標が発表予定。中国の経済指標も要注意
〇ドル高円安方向、前回高値148.80の攻防にまずは注目。抜ければ150円を意識
〇ドル安円高方向、147円半ばの90日線が最初のサポート。割り込むと146円前半の雲上限がターゲット
〇今週のドル円予想レンジ、146.50-150.00
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は結果「行って来い」。一時ドル安が進行するも続かず、結局週間を通した高値圏で大引けている。
週末の1月28日、24日にもミサイルを発射していた北朝鮮が再びミサイルを発射したとして話題に。一方、先週からの流れを継ぎ自民党の派閥解散の動きなどが相次ぎ、こちらも別に思惑を呼ぶ。「政治とカネ」の問題が派閥解散問題へと色彩変化しつつあるようだ。
そうした状況下、ドル/円は148.10-15円で寄り付いたのち、しばらくはレンジ取引。注目の米FOMCが1月31日のNY時間に発表されるとあって、それまでは147円台を中心としたボックス圏で一進一退をたどっていた。その後、米FOMCの発表などを経てドル売り・円買いが強まると2週間ぶりとなる一時145円台までドル安が進行。しかし、週末に発表された米雇用統計がポジティブサプライズで、ドルは一転して反騰高となり、結局週末NYは148円台まで上昇し週間を通した高値圏で大引けている。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融政策など」と「中国情勢」について。
前者は、発表された米FOMCや経済指標の結果を受けて右往左往。週末にかけては大荒れとなった。まずは、注目の米FOMC結果が発表され、現行金利は予想通りの「据え置き」となるなか、パウエル議長は終了後の記者会見で、「3月利下げはもっとも可能性の高いケース、ないし基本シナリオと呼ばれるものでは恐らくない」と発言。これを受け、早期利下げ期待が萎んだが、そののち発表されたADP雇用統計など2つの雇用データがともに悪化したことで、再び早期利下げ期待派が勢いを増していた。ところが、週末に発表された米雇用統計が弱気派を裏切る予想外の好数字。これを受け、早期利下げ観測が再び後退と二転三転するなか、最終的に為替市場においてはドル全面高の様相を呈していた。
それに対して後者は、前週末に米紙WSJが「債権者団との協議決裂」と報じ警戒感の強まっていた経営再建中の中国の不動産大手・中国恒大集団に対し、週明け29日の東京時間に香港の高等裁判所にあたる高等法院から正式に「法的整理手続きの開始を決める命令」が出された。これを受け、恒大集団は今後、裁判所の管理のもと香港にある資産の売却や債務整理を進めることになるが、中国本土の資産がどうなるのかはハッキリしないまま先週末を迎えている。「法的整理手続きの開始を決める命令」とは言え、宙ぶらりんな状態が依然として続いているわけだが、「恒大集団破綻」そして中国における不動産バブルの本格的な崩壊となれば、影響は金融市場など様々なところへも波及することはもちろん必須だ。今週も引き続き予断を許さない。
<< 今週の見通し >>
先週のドル/円相場は、週間を通した値幅は3円にもとどかず、そうした意味ではやや小動き。しかし、上下に大きく振れるかなり荒っぽい変動をたどっていた。テクニカルには、移動平均や一目均衡表におけるチャートポイントを一時下回ったこともあり、ドルの下押しリスク高まりが取り沙汰されたものの、週末のドル急騰を受けそれらは解消。基本的なリスクは引き続きドル高方向に高いことが確認されたと言えそうだ。1月19日高値の148.80円を超えれば、150円が再び視界内に入ってくる。
市場で注視されていた日米欧など、主要国・地域の政策金利発表は先週で取り敢えず終え、ひとつのヤマ場を超えた。米国については、前述したように発表された米経済指標などを受け思惑が二転三転する目まぐるしい展開となったが、結局は「早期利下げ観測後退」との見方優勢で越週した。今週も引き続き発表される米指標を受け市場では思惑が交錯、一喜一憂する展開をたどりそうだが、それでもドルは取り敢えず底堅そうだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円は1日に2週間ぶりの146円割れ。そのなかで移動平均の90日線や一目均衡表の先行帯の雲の上限などを下回る局面も。約1ヵ月で8円強ものドル高が進行していた流れがようやく終焉を迎えたと考える向きもあったが、週末のドル反騰高でそんな弱気ムードを一気に解消させたと言えるだろう。さらなるドル高進行となれば、日本サイドからの円安けん制の動きも予想されるなど、上値は重そうだが150円に向けた動きをたどる可能性もある。
そうしたなか今週は、1月のISM非製造業景況指数や12月の貿易収支などの米経済指標が発表される。また、それとともに発表される中国の経済指標に要注意で、また週末からの「春節」長期休暇入りによる影響も注意しておきたい。中国不動産リスクなどは、そのあいだ一時的に棚上げ状態にされるのだろうか。
そんな今週のドル/円予想レンジは、146.50-150.00円。ドル高・円安については、前回高値148.80円の攻防にまずは注目。抜ければ150円が意識されそうだ。
対してドル安・円高方向は、先週末再び上回ってきた147円半ばに位置する90日線が最初のサポート。割り込むと、少し遠いが146円前半でしばらく横たわる一目の雲の上限がターゲットか。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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