日銀総裁会見中の安値を割り込んだが米PMI改善で反発
〇昨日のドル円、元高ドル安、ポンド高ドル安等を見て円買い優勢に、1/24深夜146.65に下落
〇中国人民銀行の預金準備率引き下げと、英1月PMI好調によるドル安等が背景
〇その後、米1月PMI大幅改善に米長期債が上昇、1/25早朝147.63まで戻す
〇米10年債利回りは連騰、ダウは続落、ナスダックはIT関連の先高期待により上昇
〇本日はECB理事会、ラガルド総裁会見予定、ユーロドルが大きく動きやすい
〇今夜から明日夜にかけ、米GDP速報、7年債入札等で為替市場、債券市場ともに動きやすい
〇148円超えからは1/24未明高値148.69及び1/19午後高値148.80試しを想定
〇147円割れからは1/24深夜安値146.65試しとし、底割れからは146.00前後への下落を想定
【概況】
ドル円は1月23日の日銀金融政策決定会合の結果発表と植田総裁会見を挟んで乱高下となり、金融緩和政策の現状維持発表後に148.54円へ上昇してから総裁会見でのマイナス金利解除への言及による円買いで146.99円へ下落し、やや過剰反応だったことと米長期債利回り上昇を見て24日未明には148.69円へ一段高したが、1月19日の年初来高値148.80円には届かなかった。
1月24日の日中は中国人民銀行の預金準備率引き下げによる元高ドル安や欧州時間での英1月PMIが予想を上回ったことによるポンド高ドル安等を見て円買いドル売り優勢となり24日深夜には146.65円を付けて23日の日銀総裁会見中の安値を割り込んだが、24日発表の米1月PMIが製造業とサービス業ともに予想を上回る改善だったことで米長期債利回りが上昇してドル高がぶり返したために25日早朝には147.63円まで戻した。
今夜はECB理事会(政策金利は据え置き予想)とラガルドECB総裁会見がありユーロドルが大きく動きやすい。米国の昨年10−12期GDP速報や12月新築住宅販売件数、週間新規失業保険申請件数の発表があり、7年債入札も予定されているために為替市場も債券市場も動きやすい。1月26日夜には米PCE統計の発表もあるため、ドル円としては147円割れを押し目として上昇再開ヘ進むか、安値更新から一段安へ進んで昨年末以降の上昇トレンドから転落するのか試される局面だ。
【中国預金準備率引き下げ、カナダ中銀現状維持、米PMIは顕著な改善】
1月24日に中国人民銀行(中銀)は金融機関に対する預金準備率を2月5日から0.5%引き下げると発表した。昨年9月以来5か月振りの引き下げで、9月の0.25%引き下げから今回は倍に拡大した。準備率引き下げにより市場には1兆元(約21兆円)が放出されるために景気刺激策として市場は好感し、上海総合株価指数は前日比1.8%高の大幅上昇で、2021年2月天井以降の最安値更新から反騰した1月23日から連騰とし、ドル/人民元は1月17日からのドル安元高を継続、1月18日から5営業日連続のドル安元高となり、24日深夜にかけての全般的なドル安に寄与した。
カナダ中銀は1月24日に政策金利の翌日物金利を5.00%に維持、4会合連続の据え置きとし、中銀総裁は根強いインフレ抑制には引き締め姿勢の維持が必要として「量的引き締め」を継続するとしたが、総裁は同時に「現行の政策金利をどの程度の期間継続するか」に議論の焦点が移っているとし、先行きの利下げに含みを持たせた。予想通りで市場の反応は鈍かった。
1月24日深夜発表のS&Pグローバルによる1月の米製造業PMI速報値は50.3となり12月の47.9から上昇して市場予想の47.9を上回って1年3か月振り高水準への改善となった。サービス業PMIも52.9となり12月の51.4から上昇して市場予想の51.0を上回り7か月振り高水準となった。
米国景気が顕著に鈍化してこれまでの金融引き締め継続による景気後退へのリスクが高まるようだとFRBは利下げを急ぐ必要に迫られるが、労働市況や経済指標が健全なら利下げを急ぐ必要に迫られない。PMI発表後は米長期債利回り上昇とドル高反応を招いた。
【米10年債利回りは連騰、ダウは続落だがナスダックは上昇】
1月24日の米長期債利回りは米PMI改善と7年債入札による需給緩和感により総じて上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.05%上昇の4.18%となった。一時4.19%をつけて1月19日に付けた4.20%に迫り、昨年12月27日の3.78%を起点とした上昇基調を維持した。
30年債利回りは0.04%上昇の4.41%となり23日の0.04%上昇からの連騰として12月27日の3.94%以降の高値を更新、2年債利回りは0.01%上昇と小幅ながら23日の0.01%上昇から連騰とした。
一方、NYダウは米長期債利回り上昇を嫌って前日比99.06ドル安と下落、23日の99.36ドル安からの続落で1月22日の史上最高値以降は伸び悩みとなっているが、マイクロソフトの時価総額が3兆ドルを超えたことが下支えとなり、ナスダック総合指数は米長期債利回り上昇に圧迫されつつもが勝って55.98ポイント高と上昇して2022年10月以降の最高値を更新した。
ドル円としては株高基調が続いて米長期債利回り上昇基調も続けば円安ドル高へ進みやすく、株安感が強まるとリスク回避的な円高を招きやすく、米国の早期利下げ期待が復調して米長期債利回りが低下に転じれば円高が勢いを増しやすくなる。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は1月24日深夜への下落時に1月23日午後安値を割り込んで一段安となったため、1月19日高値148.80円と1月24日未明高値148.69円をダブルトップとした下落期に入っている可能性がある。日銀会合後は乱調な展開であり、今夜から明日に欠けて重要指標とイベントも続くため、148円超えから続伸に入る場合は1月24日未明高値148.69円試しとし、高値更新からは上昇期入りとみて25日夜から27日早朝にかけての間への上昇を想定する。ただし、148円以下での推移中は下向きとし、24日深夜安値割れからは24日未明高値を起点とした下落の継続とみて26日午後から30日午後にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では、24日深夜への下落時に遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落し、その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下落再開とするが、先行スパンを上抜くところからは上昇期入りとみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は1月24日夜に20ポイントまで低下してから50ポイントまで戻したところのため、55ポイント超えからは60ポイント台中盤への上昇を想定するが、40ポイント割れからは下落継続を疑い20ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、147.00を下値支持線、148.00円を上値抵抗線とする。
(2)147円以上を維持するうちは上昇余地ありとし、148円超えからは1月24日未明高値148.69円及び1月19日午後高値148.80円試しを想定する。148.50円以上は反落注意とし、その後に148円を割り込む場合は下げ再開を警戒するが148円台を維持しての推移なら26日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)147円割れからは24日深夜安値146.65円試しとし、底割れkらは146.00円前後への下落を想定する。146円以下は反騰注意とするが、147円以下での推移が続くうちは26日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の予定】
1/25(木)
休場 マレーシア
18:00 (独) 1月 IFO企業景況感指数 (12月 86.4、予想 86.7)
22:15 (欧) ECB(欧州中銀) 政策金利 (現行 4.50%、予想 4.50%)
22:30 (米) 12月 卸売在庫 [前月比 (11月 -0.2%、予想 -0.2%)
22:30 (米) 10-12月期 GDP・速報値 前期比年率 (7−9月 4.9%、予想 2.0%)
22:30 (米) 10-12月期GDP個人消費・速報値 前期比年率 (7−9月 3.1%、予想 2.5%)
22:30 (米) 10-12月期 コアPCE・速報値 前期比年率 (7−9月 2.0%、予想 2.0%)
22:30 (米) 12月 耐久財受注 前月比 (11月 5.4%、予想 1.1%)
22:30 (米) 12月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (11月 0.5%、予想 0.2%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 18.7万件、予想 20.0万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 180.6万人、予想 182.8万人)
22:45 (欧) ラガルドECB総裁、記者会見
24:00 (米) 12月 新築住宅販売件数・年率換算 (11月 59.0万件、予想 64.9万件)
24:00 (米) 12月 新築住宅販売件数 前月比 (11月 -12.2%、予想 10.0%)
27:00 (米) 財務省7年債入札
1/26(金)
休場 オーストラリア、インド
08:50 (日) 日銀・金融政策決定会合議事要旨(12/18-19開催分)
09:01 (英) 1月 GFK消費者信頼感 (12月 -22)
22:30 (米) 12月 個人所得 前月比 (11月 0.4%、予想 0.3%)
22:30 (米) 12月 PCE(個人消費支出) 前月比 (11月 0.2%、予想 0.3%)
22:30 (米) 12月 PCEデフレーター 前年同月比 (11月 2.6%)
22:30 (米) 12月 コアPCEデフレーター 前月比 (11月 0.1%、予想 0.2%)
22:30 (米) 12月 コアPCEデフレーター 前年同月比 (11月 3.2%、予想 2.9%)
24:00 (米) 12月 住宅販売保留指数 前月比 (11月 0.0%)
24:00 (米) 12月 住宅販売保留指数 前年同月比 (11月 -5.1%)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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