ドル円見通し 日銀会合結果待ちで148円を挟んだ揉み合い(24/1/23)

23日早朝は148円台序盤へ戻して揉み合いを続けている。

ドル円見通し 日銀会合結果待ちで148円を挟んだ揉み合い(24/1/23)

ドル円見通し 日銀会合結果待ちで148円を挟んだ揉み合い

〇ドル円、1/23早朝に148円台序盤へ戻し揉み合い推移、本日の日銀会合結果待ちで慎重姿勢
〇米CB景気先行指数は前月から低下、市場予想を上回るもマイナス状態続く
〇本日、日銀会合結果発表、現状維持との見方が優勢
〇米長期債利回りは上昇一服で概ね低下、ダウは史上最高値を更新、楽観的な株高継続
〇148.30超えからは上向きとし、148.80超えからは149円台中盤への上昇を想定する
〇1/22夜安値147.61割れからは、146円台中盤への下落を想定する

【概況】

ドル円は米国の3月利下げ期待が後退する中で能登半島大地震の影響を踏まえて日銀のマイナス金利解除も先送りされるとの見方が優勢となる中で1月19日午後高値で148.80円を付けて昨年12月29日未明安値140.24円以降の高値を更新したが、その後は148円を挟んだ揉み合いで推移している。
1月22日夜には147.61円まで下げて1月18日夕安値147.63円をわずかに割り込んだが23日早朝は148円台序盤へ戻して揉み合いを続けている。
本日の日銀金融政策決定会合の結果を見定めたいとして円売りに慎重姿勢がみられ、米国の利下げ時期先送り感による米長期債利回りの上昇もやや落ち着いているためにドル買い勢いも後退している。

【米CB景気先行指数は予想を上回るも前月から低下】

1月22日夜に発表された米民間有力調査会社コンファレンス・ボード(CB)による12月の米景気先行指数は103.1となり前月比0.1%低下して11月の0.5%低下からは改善して市場予想の0.3%低下も上回ったもののマイナス状態が続いた。一致指数は前月比0.2%上昇、遅行指数は0.2%低下で、市場の反応は鈍かった。
CBは10の先行指標のうち6つがプラスだったものの製造業の弱さと低い消費者信頼感がマイナスだったとし、引き続き景気後退リスクがあり、米国のGDP成長率は4−6月期と7−9月期にマイナスとなる見通しも示した。
先週までは米FRB高官らによる市場の3月利下げに対する過度の期待に釘を刺す発言が多かったが、米FRBとしては利下げを急ぐことによるインフレ再燃のリスクと、利下げをためらうことによる景気後退のリスクを天秤にかけつつ、3月利下げは時期尚早としても5月からの利下げへ開始を伺うのではないかと思われる。

【日銀会合は現状維持か】

日銀は1月22日から金融政策決定会合を開催しており、本日9時から再開して昼頃に結果を公表する。能登半島大地震の発生による景気への影響を踏まえてマイナス金利の解除など金融緩和政策からの出口へ向かう政策変更は先送りされて現状維持との見方が優勢だが、そうした中でも出口へ向けた前傾姿勢を示すのか、当面は金融緩和政策を継続せざるを得ないとの印象を市場に与えるのか注目される。
日銀の景気と物価動向への判断としては、「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」内容にも注目が集まるが、2024年度の消費者物価指数(生鮮食品除く)上昇率については昨年10月時点の2.8%から下方修正されるのではないかとみられており、2%の物価目標を持続的に実現するにはまだ時間がかかるとの認識が示されれば円安反応を招きやすい。

春闘に対する日銀及び総裁の期待度も注目される。今週から春闘は事実上始まるが、大企業の賃上げが顕著となる中で中小企業の賃上げも有意な程度で実現すると日銀が期待するなら、春闘結果を見定めた後にはマイナス金利解除へ進む可能性も高まるだろう。
ただし、2016年から続いてきた金融緩和政策の功罪を巡る多角的レビューについては昨年12月に1回目の会合が開かれ、2回目は総括を公表するものとして5月に開催予定であり、日銀の金融政策が転換へ向かうのは5月のレビューを踏まえてからになるのではないかと思われる。

【米長期債利回りは年末からの上昇一服、ダウは楽観的に史上最高値を更新】

1月22日の米長期債利回りは概ね低下した。
長期金利指標の10年債利回りは先週末比0.02%低下の4.11%となった。昨年10月23日の5.02%をピークに早期利下げ期待により12月27日に3.78%まで大幅低下し、年末からは早期利下げ期待が後退したことで反騰入りしてきたが、19日は一時4.20%まで上昇していたものの連騰一服で失速し、22日も一時4.07%まで下げるなど上昇一巡感が出ているようだ。

30年債利回りは先週末比0.01%低下の4.32%で終了した。昨年10月23日の5.18%をピークに低下して12月27日に3.94%をつけ、その後の反騰で1月19日に一時4.40%をつけてから失速し、22日も続落して一時は4.29%をつけた。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは先週末と変わらず4.39%となったが、1月17日に前日比0.15%上昇と大幅反騰した流れが落ち着いている印象だ。今週は1月25日の米GDP速報、26日に12月の米PCE統計の発表があり、一段と上昇するか低下に転じるのかはそれらを見定めてからとなろうか。ドル円としては本日の日銀会合結果に対する反応一巡後には米GDPとPCE発表後の米長期債利回り動向に左右されると思われる。

一方で米国の楽観的な株高が継続しており、NYダウの1月22日は先週末比138.01ドルと上昇して高値では38109.20ドルを付けて史上最高値を更新、ナスダック総合指数も49.32ポイント高と上昇して2022年10月以降の最高値を更新した。米国の利下げ開始が多少先送りされても年内3回以上の利下げ期待は変わらず、これまでの金融引き締めによる景気後退への懸念は薄くソフトランディングすることで株高は続くとの楽観が優勢だが、株高はドル円にとって上昇しやすい環境といえる。ただし、1月22日に上海総合株価が急落していることは気がかりだ。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は12月28日安値140.24円を起点とした上昇基調を維持しているが、1月19日午後高値148.80円の後は上げ渋りで148円を挟んだ揉み合いとなっている。本日の日銀会合結果から円安が加速して1月19日高値を超える場合は150円を目指す市場心理が優勢となると思われ、その際は24日から26日午後にかけての間へ高値試しを続けやすくなるとみる。逆に日銀会合後に円高反応となり昨夜反落時安値147.61円を割り込む場合は23日夜から25日夜にかけての間へ安値試しを続けやすくなり146円台序盤を試しに向かう可能性も出てくるのではないかと注意する。

60分足の一目均衡表では、148円を挟んだ揉み合いのため遅行スパンは実線と交錯して方向感に欠け、昨夜からは先行スパンから転落した状況が続いている。
先行スパンを上抜くところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とし、1月19日高値超えからは上昇が勢いを増すとみるが、先行スパンからの転落中は下向きとし、1月22日夜安値147.61円割れからは下げ足が速まるとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は揉み合い中のため40ポイント割れを買われつつ60ポイントにとどかない範囲の騰落にとどまっている。60ポイント超えからは上向きとし、1月19日高値超えからは70ポイント台後半への上昇を想定するが、1月22日夜安値割れからは20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、1月22日夜安値147.61円を下値支持線、1月19日午後高値148.80円を上値抵抗線とする。
(2)148.30円超えからは上向きとし、148.80円超えからは149円台中盤への上昇を想定する。149.50円以上は反落注意とするが、勢い次第では150円を目指す可能性もあるとみる。
(3)1月22日夜安値147.61円割れからは146円台中盤への下落を想定する。146.50円以下は反騰注意とするが、下げ足が速まる場合は146円台序盤へ下値目途を引き下げる。

【当面の予定】

1/23(火)
日銀金融政策決定会合、終了後政策金利 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
15:30 (日) 植田日銀総裁 記者会見
24:00 (欧) 1月 消費者信頼感・速報値 (12月 -15.0、予想 -14.3)
24:00 (米) 1月 リッチモンド連銀製造業指数 (12月 -11、予想 -6)
27:00 (米) 財務省2年債入札

1/24(水)
06:45 (NZ) 10-12月期 CPI(消費者物価指数) 前期比 (7−9月 1.8%、予想 0.5%)
06:45 (NZ) 10-12月期 CPI(消費者物価指数) 前年同期比 (7−9月 5.6%、予想 4.7%)
08:50 (日) 12月 通関貿易収支・季調前 (11月 -7769億円、予想 -1233億円)
08:50 (日) 12月 通関貿易収支・季調済 (11月 -4089億円、予想 -4359億円)
17:30 (独) 1月 製造業PMI・速報値 (12月 43.3、予想 43.7)
17:30 (独) 1月 サービス業PMI・速報値 (12月 49.3、予想 49.0)
18:00 (欧) 1月 製造業PMI・速報値 (12月 44.4、予想 44.8)
18:00 (欧) 1月 サービス業PMI・速報値 (12月 48.8、予想 49.0)
18:30 (英) 1月 製造業PMI・速報値 (12月 46.2、予想 46.6)
18:30 (英) 1月 サービス業PMI・速報値 (12月 53.4、予想 53.1)

23:45 (加) カナダ中銀 政策金利 (現行 5.00%、予想 5.00%)
23:45 (米) 1月 製造業PMI・速報値 (12月 47.9、予想 47.7)
23:45 (米) 1月 サービス業PMI・速報値 (12月 51.4、予想 51.0)
24:30 (米) EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) 財務省5年債入札



注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る