日米金利差拡大の思惑で一時143円台後半へ急伸。200日移動平均線も上方ブレイク
〇ドル円、米国時間午後にかけ143.74まで急伸
〇大規模地震発生からの日銀マイナス金利解除後ずれ観測、米指標の好調と米長期金利上昇等が背景
〇買い一巡後は米長期金利の上げ幅縮小、FOMC議事要旨のハト派的内容に143円台前半に反落
〇ユーロドル、米長期金利上昇受け一時1.0893まで急落。1.09台前半で冴えない動き
〇ドル円、転換線、ボリンジャーミッドバンド、21日線、200日線等を突破、テクニカルの地合い改善
〇ドル円、日米金利差拡大観測再燃し、ドル円相場の上昇を連想させる材料が増えつつある
〇短期的なドル円見通しを「ベア(弱気)」から「ブル(強気)」に変更
〇本日の予想レンジ:142.50ー144.00
海外時間のレビュー
3日(水)のドル円相場は大幅上昇。アジア時間早朝にかけて、安値141.81まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)日銀によるマイナス金利の解除時期の後ずれ観測(石川県能登地方を震源地とする大規模地震の影響を受けて、日銀がマイナス金利の解除に踏み切ることは当面難しくなったとの見方の広がり)や、(2)上記1を背景としたドル円ショート勢の大規模ロスカット、(3)リッチモンド連銀バーキン総裁による「追加利上げの可能性は依然として選択肢にある」とのタカ派的な発言、(4)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(5)米12月ISM製造業景況指数(結果47.4、予想47.1)の市場予想を上回る結果が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値143.74まで急伸しました。
もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(6)急ピッチな上昇に対する反動売りや、(7)米FOMC議事要旨のハト派的な内容(議事要旨で「さらなる利上げが適切になる可能性がある」と指摘しつつも、「インフレの上振れリスクが減退したこと」や「制約的な金融政策が経済に副作用を及ぼすリスクがあること」「ほぼ全ての当局者が2024年末までの利下げを予測していること」などを公表)、(8)米長期金利の上昇幅縮小が重石となり、本稿執筆時点(日本時間1/4午前5時20分現在)では、143.15前後で推移しております。
3日(水)のユーロドル相場は冴えない動き。欧州時間朝方にかけて、高値1.0966まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)リッチモンド連銀バーキン総裁による「追加利上げの可能性は依然として選択肢にある」とのタカ派的な発言や、(2)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(3)欧州株の冴えない動き(独DAXは昨年12/5以来の安値圏へと大幅下落)、(4)テクニカル的な地合いの悪化(一目均衡表基準線および21日移動平均線の下方ブレイク)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0893まで急落しました。引けにかけて反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間1/4午前5時20分現在)では、1.0920前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は昨年12/28に記録した安値140.25をボトムに切り返すと、昨日は一時143.74(12/20以来の高値圏)まで急伸しました。強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転は依然として点灯しているものの、日足ローソク足が主要レジスタンスポイント(一目均衡表転換線、ボリンジャーミッドバンド、21日移動平均線、200日移動平均線)を突破したため、テクニカル的に見て、地合いの改善が期待されます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)石川県で発生した大規模地震の影響を受けて日銀によるマイナス金利の早期解除観測が後退したこと(円売り要因)や、(2)FOMCで投票権を有するリッチモンド連銀バーキン総裁のタカ派的な発言を受けて米3月利下げ観測が幾分後退したこと(ドル買い要因)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差拡大観測(円キャリートレード再開の思惑)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が増えつつあります。本日予定されている米12月チャレンジャーレイオフ調査や、米12月ADP雇用統計、米新規失業保険申請件数、米12月非製造業PMI等が良好な結果を示す場合には、米金利上昇→米ドル買いの経路で、ドル円にもう一段強い上昇圧力が加わる恐れもあるため、当方では、短期的なドル円相場見通しを、「ベア(弱気)」から「ブル(強気)」に変更いたします。
本日の予想レンジ:142.50ー144.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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