ドル円、日銀の早期政策修正期待後退で一時上昇も米金利低下で急反落
〇ドル円、欧州時間朝方にかけ142.85まで上昇
〇日銀の「主な意見」でのハト派的見解、植田総裁のハト派発言による早期政策修正の思惑後退が背景
〇その後は日銀による長期国債買い入れ予定額のレンジ下限の引き下げ発表、米金利急低下等に急落
〇米国時間午後にかけて、安値141.55まで値を下げ戻りの鈍い状況
〇ユーロドル、米指標の不冴え、米金利急低下に一時1.1123まで急伸、1.11台を維持
〇ドル円、テクニカルの地合い極めて弱く、ファンダメンタルズも米利下げ観測の高まりがサポート
〇引き続き、ドル売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:141.00ー142.50
海外時間のレビュー
27日(水)のドル円相場は上昇後に急反落。(1)日銀金融政策決定会合(12/18ー19開催分)の主な意見で「現在、慌てて利上げしないと、ビハインド・ザ・カーブになってしまう状況にはなく、少なくとも来春の賃金交渉の動向を見てから判断しても遅くはない」との見解が示されたことや、(2)植田日銀総裁による「2%インフレの実現、まだもう一つ自信を持てない」とのハト派的な発言、(3)上記1、2を背景とした日銀による早期政策修正の思惑後退(来年1月会合での政策修正期待が後退→円金利低下→円売り再開)、(4)日経平均株価の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値142.85まで上昇しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(5)日銀による長期国債買い入れ予定額のレンジ下限の引き下げ発表(日銀が円金利上昇を容認したとの思惑浮上→円買い再開)や、(6)米12月リッチモンド連銀製造業指数(結果▲11、予想▲3)の市場予想を下回る結果、(7)米5年債入札の好調な結果、(8)米長期金利の急低下(米10年債利回りは7/20以来の低水準となる3.78%へ急低下)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値141.55まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間12/28午前6時00分現在)では、141.79前後で推移しております。
27日(水)のユーロドル相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値1.1029まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)ECBによる利下げ開始時期の後ずれ観測(欧米金融政策の方向性の違いに着目した構造的なユーロ買い・ドル売り圧力)や、(2)米12月リッチモンド連銀製造業指数(結果▲11、予想▲3)の市場予想を下回る結果、(3)米長期金利の急低下、(4)心理的節目1.1100突破に伴う仕掛け的なユーロ買い・ドル売りが支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値1.1123(7/27以来の高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間12/28午前6時00分現在)では、1.1107前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は一時141.55まで急落するなど、12/15以来の安値を記録しました。日足ローソク足が全ての主要テクニカルポイントの下側に位置していることや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「ダウ理論の下落トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる早期利下げ観測の高まり(CMEが提供するFed Watch ツールによると、来年3/20FOMCでの25bp利下げ確率が73.9%へ急上昇→米10年債利回りは10/23に記録した5.02%から昨日は一時3.78%まで急低下)や、(2)日銀による金融緩和の修正観測(昨日公表された主な意見は、「来春の賃金交渉の動向を見るまでは緩和修正を行わない」との方向性が示されたが、一方で長期国債買い入れ予定額のレンジ下限の引き下げを発表するなど、円金利上昇を容認する措置も決定)、
(3)上記1、2を背景とした日米金利差縮小観測とそれに伴う円キャリートレードの逆流懸念など、ドル円相場の続落を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(目先は、12/14に記録した直近安値140.97を試すシナリオを想定)。尚、本日は米新規失業保険申請件数や、米7年債入札に注目が集まります。
本日の予想レンジ:141.00ー142.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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