ドル円見通し 米7−9月GDP、PCE等下方修正でドル売り、ドル円は日銀会合後の上昇幅解消(23/12/22)

ドル円は12月22日未明に142.04円へ下落、日銀金融政策決定会合の現状維持により19日午前安値142.24円から19日夜高値144.95円まで急伸した上昇幅を解消した。

ドル円見通し 米7−9月GDP、PCE等下方修正でドル売り、ドル円は日銀会合後の上昇幅解消(23/12/22)

米7−9月GDP、PCE等下方修正でドル売り、ドル円は日銀会合後の上昇幅解消

〇ドル円、12/22未明142.04へ下落、12/19午前安値142.24から同日夜高値144.95への上昇幅を解消
〇昨日発表された経済指標が不冴え、FRBによる早期利下げ期待を助長する内容としてドル安を招く
〇米7-9月期GDPと四半期PCEデフレーター、下方修正される
〇米10年債利回りは一時3.83%をつけて10/23以降の最低を更新、ダウは前日の大幅下落から反騰
〇143円以下での推移中は下向きとし、141.70割れからは12/14安値140.99を試しを想定する
〇143円手前は売られやすいとみるが、143円超えからは12/21夜の反発時高値143.39試しとする

【概況】

ドル円は12月22日未明に142.04円へ下落、日銀金融政策決定会合の現状維持により19日午前安値142.24円から19日夜高値144.95円まで急伸した上昇幅を解消した。
12月21日夜に発表された7−9月期米GDPと個人消費の確定値が改定値から下方修正され、四半期PCEデフレーターも下方修正されたが、景気先行指数やフィラデルフィア連銀景況指数等も軒並み低調だったことで米FRBによる来年3月利下げへの期待が増大してドル安を招いた。米金利先物市場が織り込む来年3月利下げ確率は8割を超えてきた。
ドル円は日銀がマイナス金利解除へのプロセスを進めるのではないかと警戒していたところを肩透かしされたために19日夜にかけて円売りが殺到したが、当面の円売り材料を消化したことで全般のドル安基調に合わせて下落を再開している印象だ。12月7日から8日未明にかけての急落時のような円の独歩高への懸念は後退しているものの、11月13日高値151.90円を起点とした下落基調はまだ続きかねないところだ。

【米GDP下方修正】

12月21日に米商務省が発表した7-9月期実質GDP確定値は年率換算前期比で4.9%となり改定値の5.2%から下方修正された。設備投資が改定値の1.3%から1.4%へ、住宅投資が6.2%から6.7%へ小幅上方修正されたが、GDPの凡そ7割を占める個人消費は改定値の3.6%から3.1%へ下方修正された。四半期PCE(個人消費支出)デフレーター確定値は2.6%となり改定値の2.8%から下方修正され、コアPCEデフレーターは改定値の2.3%から2.0%へ下方修正されFRBの目標である2%に到達した。FRBによる早期利下げ期待を助長する内容として発表後はドル安を招いた。

米コンファレンス・ボードによる11月の景気先行指数は前月比0.5%低下の103.0となり10月の1.0%低下に続く悪化で市場予想の0.4%低下を下回った。一致指数は前月比0.2%上昇、遅行指数は0.5%上昇だった。
米労働省による新規失業保険申請件数は12月16日までの週間で前週比2000件増の20万5000件となり2週ぶりに悪化し、失業保険受給者総数は12月9日までの週間で186万5000人となり前週から1000人減少した。
米フィラデルフィア連銀による12月製造業景況指数はマイナス10.5となり11月のマイナス5.9から悪化して市場予想のマイナス3.0を大幅に下回った。

【米10年債利回りは10月23日以降の最低を更新、ダウは反騰】

12月21日の米長期債利回りは米GDP確定値の下方修正により低下したものの、これまでの大幅低下に対する下げ渋りで小幅上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.04%上昇の3.89%となったが、一時は3.83%をつけて10月23日につけた5.02%以降の最低を更新した。
30年債利回りは10月23日の5.18%からの低下傾向を続けて20日には3.98%まで低下したが21日は前日比0.04%上昇の4.03%と下げ渋った。
政策金利に敏感な2年債利回りは前日比0.01%上昇の4.35%となったが、一時4.31%まで低下して10月19日に付けた5.26%以降の最低である12月14日の4.28%に迫った。

一方でNYダウは前日比322.35ドル高と上昇した。12月7日から9連騰となり12月13日から5営業日連続で史上最高値を更新してきたが、20日に利食い調整で475.92ドル安の大幅下落となったところを押し目買いされている。ナスダック総合指数はダウとともに9連騰してから20日に前日比225.28ポイント安と反落したが、21日は185.93ポイント高と買い戻されてている。来年の利下げ見通しによる楽観的な株高基調は健在と思われる。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は日銀会合後の円安が一巡して12月19日夜高値144.95円を目先のピークとして下落期に入っている。すでに日銀会合後の上昇幅を解消しており、12月14日昼過ぎ安値を起点とした下値支持線を割り込んでいるため、22日の日中から26日午前にかけての間までは安値試しが続きやすい時間帯と思われる。強気転換は21日夜の反発時高値143.39円を超えるところからとし、その際は22日夜から26日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では12月19日夜高値からの下落が続いて遅行スパンが悪化し、21日午前には先行スパンから転落した。その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は12月21日夜に30ポイントを割り込んでからも40ポイント台を回復できずにいるのでまだ下落余地ありとみるが、相場が一段安する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられる場合は反騰注意とし、50ポイント超えからは反騰期入りとみて60ポイント台への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、141.70円を下値支持線、143円を上値抵抗線とする。
(2)143円以下での推移中は下向きとし、141.70円割れからは12月14日安値140.99円を試しを想定する。141円以下は反発注意とするが、下げ足が速まる場合は140円台中盤(140.65円から140.35円)へ下値目途を引き下げる。
(3)143円手前は売られやすいとみるが、143円超えからは12月21日夜の反発時高値143.39円試しとし、高値更新からは143円台後半への上昇を想定する。143.80円以上は反落警戒とするが、143円を上回っての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

12/22(金)
英国 株式市場短縮取引、米国 債券市場短縮取引
16:00 (英) 11月 小売売上高 前月比 (10月 -0.3%、予想 0.4%)
16:00 (英) 11月 小売売上高 前年同月比 (10月 -2.7%、予想 -1.3%)
16:00 (英) 11月 小売売上高・除自動車 前月比 (10月 -0.1%、予想 0.4%)
16:00 (英) 11月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (10月 -2.4%、予想 -1.5%)
16:00 (英) 7-9月期 GDP・改定値 前期比 (速報 0.0%、予想 0.0%)
16:00 (英) 7-9月期 GDP・改定値 前年同期比 (速報 0.6%、予想 0.6%)
16:00 (英) 7-9月期 経常収支 (4‐6月 -253億ポンド、予想 -150億ポンド)

22:30 (米) 11月 耐久財受注 前月比] (10月 -5.4%、予想 2.2%)
22:30 (米) 11月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (10月 0.1%)
22:30 (米) 11月 個人所得 前月比 (10月 0.2%、予想 0.4%)
22:30 (米) 11月 PCE(個人消費支出) 前月比 (10月 0.2%、予想 0.2%)
22:30 (米) 11月 PCEデフレーター 前年同月比 (10月 3.0%、予想 2.8%)
22:30 (米) 11月 PCEコア・デフレーター 前月比 (10月 0.2%、予想 0.2%)
22:30 (米) 11月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (10月 3.5%、予想 3.3%)
24:00 (米) 11月 新築住宅販売件数・年率換算 (10月 67.9万件、予想 69.0万件)
24:00 (米) 11月 新築住宅販売件数 前月比 (10月 -5.6%、予想 1.6%)
24:00 (米) 12月 ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 69.4、予想 69.4)


注:ポイント要約は編集部

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