トルコリラ円見通し トルコ中銀利上げを不足として対ドルと対円で史上最安値を更新(23/12/22)

トルコリラ円の12月21日は概ね4.93円から4.86円の取引レンジ、22日早朝の終値は4.87円で前日終値の4.92円からは0.05円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し トルコ中銀利上げを不足として対ドルと対円で史上最安値を更新(23/12/22)

トルコリラ円見通し トルコ中銀利上げを不足として対ドルと対円で史上最安値を更新

〇トルコリラ円、12/21午前に4.91を割り込み、ドル円が一段安した局面で4.86をつける
〇12/22午前序盤には4.85へ安値を切り下げ、史上最安値を更新
〇対ドル、12/21は概ね29.23から28.92の取引レンジ、取引時間中の史上最安値を29.23へ更新
〇トルコ中銀、市場予想通り政策金利を2.5%引き上げる、利上げペース鈍る
〇4.90を下回るうちは一段安警戒とし、4.83割れからは4.80前後への下落を想定する
〇4.90手前は売られやすいとみるが、4.90超えからは4.93前後への上昇を想定する

【概況】

トルコリラ円の12月21日は概ね4.93円から4.86円の取引レンジ、22日早朝の終値は4.87円で前日終値の4.92円からは0.05円の円高リラ安だった。
12月21日はトルコ中銀が2.5%追加利上げを決定したものの市場予想通りでインパクトに欠け、60%を超えるインフレが収まらない中でさらなる追加利上げを催促してドル/トルコリラでは史上最安値を更新、トルコリラ円はリラ安と円高の両面から売られて22日午前序盤に史上最安値を更新した。

ドル円は12月19日の日銀金融政策決定会合が金融緩和政策維持とし、市場が警戒していたマイナス金利解除やYCC(長短金利操作)の撤廃へ向けた前傾姿勢がみられなかったことで円売り反応となり、19日午前安値142.24円から19日夜高値144.95円へ急伸したが、当面の円売りイベントを通過したとしてその後は全般のドル安に乗じて下落に転じてきた。12月21日夜の米7−9月期GDP確定値が予想を下回る下方修正となり、個人消費も大幅下方修正されて四半期PCEデフレーターも下方修正されたために22日未明には142円を試す下落となり日銀会合後の上昇幅を解消、22日午前には142円を割り込んできた。
円の独歩高ではないものの全般ドル安により円高基調はまだ続きやすい状況と思われる。

トルコリラ円は日銀会合後の円安により19日午前安値4.89円から19日夜高値4.98円まで上昇したがドル円の下落再開により21日早朝には4.91円まで下落した。21日は午前に4.91円を割り込み、米GDP下方修正をきっかけとしてドル円が一段安した局面で4.86円をつけたが、22日午前序盤には4.85円へ安値を切り下げて史上最安値を更新している。
今夜は米11月PCE(個人消費支出)デフレーターの発表があり、インフレ鈍化がより顕著となればドル円は一段安へ進みかねず、トルコリラ円もドル円を追って一段安へ向かいかねないところと注意する。

【対ドルでは連日の史上最安値更新】

ドル/トルコリラの12月21日は概ね29.23リラから28.92リラの取引レンジ、22日早朝の終値は29.11リラで前日終値と変わらなかったが、取引時間中の史上最安値を29.23リラへ更新した。12月22日午前序盤には29.28リラへ史上最安値をさらに更新している。
トルコ中銀は12月21日に政策金利を2.5%利上げして42.5%としたが市場予想通りだったために失望を買いリラ売りがかえって加速している。
8月24日に中銀が7.5%の超大幅利上げを決定した時には27.27リラから25.02リラへ急伸したが、リラ買いは一時的なものに終わって8月25日からリラ安が再開し、9月22日には史上最安値を更新、その後も連日のように史上最安値更新を繰り返してきた。2023年末の為替レート予想としては1ドル30リラとの見方がコンセンサスとなっていたが、年末までの日数は少なくなったものの29リラ台前半へ下げてきたことで1ドル30リラ到達の可能性もあるのではないかと思われる。

【トルコ中銀、利上げペース鈍り、利上げ終了が近いと示唆】

トルコ中銀は12月21日のMPC(金融政策委員会)で政策金利の週間レポレートを2.5%引き上げて42.5%とした。エルドアン大統領三選後に就任したエルカン総裁体制となり、6月から12月まで7会合連続の利上げでそれまでの8.5%から42.5%まで大幅に引き上げてきた。
中銀は11月会合においてこれまでの金融引き締めにより利上げ局面が近く終了するとの見通しを示したが、今回も同様の見通しを示しており、11月会合での5.0%利上げからペースダウンしたことにより、あと1,2回程度の利上げで利上げサイクルを終了させたい意向を示したと思われる。
しかし、トルコの11月CPI上昇率は前月比3.28%、前年比61.98%、コアCPIでは前月比2.0%、前年比69.9%であり、そろそろ高止まりしてもよい水準ではあるものの依然として高水準にあり、リラ安が一段と進行すれば通貨インフレ効果でインフレ率が再び加速して中銀や市場のコンセンサスを超える水準へ進みかねない。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、日銀会合後に急伸したために12月19日午前安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとしたが、20日午前時点では4.91円割れからは弱気サイクル入りとし、12月21日午前に4.91円を割り込んだために19日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして22日午前から26日午前にかけての間への下落を想定した。
12月22日午前へ一段安しているためまだ下落途中とみるが、4.90円超えからは強気サイクル入りとして22日夜から26日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では12月20日午後への下落で遅行スパンが悪化し、21日午前には先行スパンから転落したが、その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパン好転からは戻りを試すとみるが、先行スパンを上抜けないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は19日夜に70ポイント台へ上昇してから低下に転じて21日夜には20ポイントまで低下し、その後も40ポイントを超えずにいるのでまだ下落余地ありとみるが、相場が一段安する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられる場合は反騰注意とし、50ポイント超えからは60ポイント台への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.83円を下値支持線、4.90円を上値抵抗線とする。
(2)4.90円を下回るうちは一段安警戒とし、4.83円割れからは4.80円前後への下落を想定する。4.80円以下は反騰注意とするが、4.90円以下での推移か直前安値から0.05円を超える反騰がみられないうちは週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.90円手前は売られやすいとみるが、4.90円超えからは4.93円前後への上昇を想定する。4.93円以上は反落注意とするが、4.90円を超えての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

12月22日
 17:00 11月 海外観光客数 前年同月比 (10月 3.8%)
12月26日
 16:00 12月 製造業景況感指数 (11月 100.2)
 16:00 12月 設備稼働率 (11月 78.0%)
12月28日
 16:00 12月 経済信頼感指数 (11月 95.3)
 20:30 週次 外貨準備高 12月22日時点 グロス (12月15日時点 954.0億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 12月22日時点 ネット (12月15日時点 371.8億ドル)
12月29日
 16:00 11月 貿易収支 (10月 -65.2億ドル)



注:ポイント要約は編集部

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