東京市場のドルは146円51銭まで下落、海外時間は雇用統計待ちでもみ合いか
【本日の東京市場】
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、「金融政策正常化の前倒し」観測の強まりを受けて株が下落したことから、ドルも146円台半ばまで下落した。
昨晩の海外時間では、ADP雇用者数が前月比10.3万人増と市場予想(同12.0万人増)を下回ったことから、米10年債利回りは9月1日以来となる4.10%台まで低下。ただ、7−9月期米非農業部門労働生産性改定値が市場予想を上回ったことから、ドル売りは進まず。147円台前半でのもみ合いとなった。
東京時間では、147円台を割り込んだ後はドル売りが進行。10時過ぎから伝わった植田和男日銀総裁のコメントは「マイナス金利解除後の水準や、その後のスピードは決め打ちできない」「持続的な2%物価目標達成へ、粘り強く金融緩和を続ける」とこれまで通りの発言に終始。ただ、前日の氷見野良三副総裁のコメントが「金融政策正常化の前倒し」と捉えられ、株式市場では日経平均が大幅反落。ドルは下げ幅を広げ146円51銭まで下落した。
ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:147円22銭
高値:147円30銭
安値:146円51銭
終値:146円55銭
ユーロ・円(日本時間8時―15時)
始値:158円53銭
高値:158円59銭
安値:157円66銭
終値:157円71銭
豪ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:96円42銭
高値:96円51銭
安値:95円75銭
終値:95円76銭
ポンド・円(日本時間8時―15時)
始値:184円91銭
高値:185円00銭
安値:183円86銭
終値:183円92銭
日経平均(日本時間9時―15時)
始値:33165円72銭
高値:33195円87銭
安値:32814円69銭
終値:32858円31銭(前日比−587円59銭)
【本日の海外市場の重要指標】日本時間
19時00分、欧、ユーロ圏GDP(前期比)、前回:−0.1%、市場予想:−0.1%
19時00分、欧、ユーロ圏GDP(前年比)、前回:0.1%、市場予想:0.1%
22時30分、米、新規失業保険申請件数、前回:21.8万件、市場予想:22.0万件
※FRBブラックアウト期間中(金融政策に関する発言自粛期間)(14日まで)
※予定は変更することがございます。
【テクニカル分析】
日足ベースのドル・円は、一目均衡表では、遅行スパンが実線を下回っているほか、雲下限も下放れておりトレンドは悪化している。一方、ボリンジャーバンドでは、拡大する−2σで下げ止まっており、147円40銭水準の100日移動平均線(MA)手前で推移。短期的な反発狙いのドル買いが入った際は、雲下限が位置する148円10銭水準がターゲットとして意識されそうだが、まずは上値抵抗線の100日MAを試す必要がある。
ADP雇用者数は市場予想下振れだったものの、予想通り、海外時間のドルは小動きとなった。8日の米雇用統計(市場予想:18.3万人増)に対する期待感が高まっているとのことだが、JOLTS、ADP雇用者数と連続で市場予想を下振れたなか、何をもって雇用統計への期待感が高いのかは謎だ。単純に「雇用統計を見極めたい」とする動きが強まっているだけな気がする。
ちょうど147円台前半は100日MAが位置していることから、様子見にはちょうどいい水準である。もっとも、来週12−13日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えていることから、明日の雇用統計通過後も、海外時間での様子見姿勢は続くだろう。
FOMCでは、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長から、追加利上げの可能性を残した発言が出るだろうが、足元の米経済指標の状況を考慮すると、追加の利上げを行う余地はほぼゼロと市場は見込んでいる。そのため、早期利下げの可能性を示唆する発言があるかどうか、そして、ドットチャートの修正幅の二つが今回のFOMCのポイントと考える。
9月のFOMCでは、ドットチャートの2024年末中央値は、4.625%から5.125%(+0.5%)に引き上げられた。2025年末も同じく0.5%引き上げられて、3.875%となった。今時点でのFed Watchでは、2024年に5回の利下げ(4.00%−4.25%)が見込まれている。つまり、今回のFOMCでは、1.0%近い中央値の修正が発表される可能性があるということだ。
このような可能性がある以上、明日の雇用統計が大幅にぶれない限り、ドルは146円台前半から147円水準でのもみ合いとなろう。4日の安値146円23銭を下回る場面はあるかもしれないが、146円割れは回避されると考える。今晩の海外時間もこのレンジでのもみ合いを想定する。上値メドは147円10銭、下値メドは146円10銭とする。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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