全般ドル高で下げ渋るが147円を挟んだ揉み合いで上値重い
〇ドル円、5日24時の米10月JOLTS求人件数悪化で発表直後146.56へ下落
〇その後の戻りも147.38にとどまり12/5未明高値超えへ進めず、上値の重い展開
〇ユーロ、豪ドル、人民元は対ドルで下落、ドル指数は上昇
〇ドル円、米長期債利回り低下傾向が続くうちは日米金利差縮小により下落しやすい状況か
〇米10月JOLTS求人件数、2か月連続で減少、FRB利上げ打ち止めと来春利下げ期待に寄与する内容
〇米長期債利回りは総じて低下、ダウは上昇一服
〇147.44超えからは148円前後への上昇を想定
〇146.50割れからは下落再開とみて12/4午前安値146.22試しとする
【概況】
ドル円は12月1日夜の米ISM製造業景況指数が13か月連続で50を割り込み、パウエルFRB議長の発言がタカ派的ではなかったことをきっかけに売られて12月2日未明には146.65円を付けてて11月29日安値146.67円を割り込み、12月4日午前序盤には146.22円まで安値を切り下げて11月13日夜高値151.90円以降の最安値としたが、146円割れをひとまず回避して買い戻し優勢となり、5日未明には147.44円まで戻した。
しかし円高継続感は変わらず、5日24時の米10月JOLTS求人件数が9月から悪化したことで発表直後に146.56円へ下落、その後の戻りでは147.38円にとどまって5日未明高値超えへ進めず、上値の重い展開を続けている。
【ユーロ、豪ドル、人民元が下落、ドル指数は上昇】
ドル指数は11月29日安値102.46から反騰に転じて12月5日は104.09まで続伸した。米国の利上げ終了感と来年前半の利下げ期待により米長期債利回りが低下しているものの、欧州の長期債利回りが低下や主要通貨でそれぞれ売り圧力のかかる状況が発生していることでドルストレートにおいてはドル高へ風向きが変わっている。
豪中銀は5日に政策金利のオフィシャルキャッシュレートを4.35%で据え置いたが、市場予想通りだったものの利上げ打ち止め感で豪ドル米ドルは4日午前高値0.6690ドルからの下落を継続して6日未明には0.6544ドルへ下落した。
格付け大手のムーディーズは5日に中国の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更したため、上海総合株価指数は前日比1.67%安、CI300指数は1.90%安と下落、ドル/人民元は6日早朝に7.1757元を付けて11月29日の7.1120元以降の高値(元の安値)を更新した。
ユーロドルは10月3日安値1.0447ドルを起点として11月29日高値1.1017ドルまで上昇していたが、ECBの利上げ終了感で独長期債利回りも低下したことで下落に転じて1.0777ドルまで下げた。シュナーベルECB専務理事が5日に「インフレ率が顕著に低下しており追加利上げを選択肢から外すことは可能」と述べたこともユーロ売りを誘った。
ユーロ円、豪ドル円、人民元円等のクロス円では円高であり、ドル円はドルストレートでのドル高とクロス円における円高が交錯していることで146円割れを回避しているが、米長期債利回り低下傾向が続くうちは日米金利差縮小により下落しやすい状況と思われる。
【JOLTS求人件数は2か月連続で減少】
米労働省による10月の雇用動態調査(JOLTS)求人件数は前月比61万7000件減の873万3000件となり2か月連続の低下で市場予想の930万件を大幅に下回り2021年初頭以来の低水準となった。減少件数も5月以降で最大となり、労働市場が緩み始めていることを示し、米FRBによる利上げ打ち止めと来春の利下げ期待に寄与する内容だった。9月は当初の955万3000件から935万件に下方修正された。
米ISM(サプライ管理協会)による11月のサービス業景況指数は52.7で10月の51.8から改善して市場予想の52.0を上回った。強弱分岐点の50を上回るのは11か月連続であり、製造業が13か月連続で50を割り込んでいることと対照的な内容となった。内訳では事業活動が55.1で前月の54.1から上昇、新規受注は55.5で前月と変わらず、雇用状況は50.7で前月の50.2から上昇、価格は58.3で前月の58.6から低下した。発表後のドル高に寄与したものの影響は限定的だった。
【米長期債利回りは総じて低下、ダウは上昇一服】
12月5日の米長期債利回りは米国の利上げ終了と来年前半の利下げ期待を背景に低下傾向を続けた。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.09%低下の4.17%となり、一時4.16%をつけて10月23日の5.02%以降の最低を更新した。
30年債利回りは前日比0.11%低下の4.30%となり、10月23日の5.18%以降の最低を更新。2年債利回りは前日比0.06%低下の4.58%となり、12月1日に付けた10月19日の5.26%以降の最低である4.54%へ迫っている。
一方でNYダウは前日比79.88ドル安と下落、4日からの続落となった。12月1日に年初来高値を更新してからは上昇一服の様相で、中国の格付け見通しの引き下げや原油安が重石となった。JOLTS求人件数の減少も利下げに寄与するものだったが足元の景気悪化への警戒感も滲ませるとして弱気反応を見せた。ナスダック総合指数は米長期債利回り低下を見て44.42ポイント高と反発したが12月4日の119.54ポイント安を解消するには至らず。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は12月4日午前安値で目先の底を付けて戻りを試しているが、12月5日未明高値147.44円以降は高値切り上げヘ進めずに上値が重い印象だ。12月2日午前安値割れを回避するうちは6日の日中から7日深夜にかけての間への上昇余地ありとするが、4日午前安値を割り込む場合は7日午前から11日午前にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では12月6日未明からの反落で遅行スパンが悪化、先行スパンの上限が抵抗となり突破へ進めずにいる。12月5日未明高値147.44円を超えれば両スパンそろって好転するため遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、147円を得割り込んで先行スパンから転落し始める場合は下げ再開と一段安を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は12月5日未明と6日未明の両高値がほぼフラットなのに対して指数のピークが切り下がる弱気逆行の気配がみられる。50ポイントを中心に前後10ポイント弱のレンジで揉み合いのため、60ポイント超えからは上昇が勢い付くとみるが、40ポイント割れからは下落再開とみて20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、146.50円を下値支持線、147.44円を上値抵抗線とする。
(2)147円を上回るか一時的に割り込んでも回復するうちは一段高余地ありとし、147.44円超えからは148円前後への上昇を想定する。148円以上は反落注意とするが、147円台を維持しての推移なら7日も高値試しへ向かう可能性ありとみる。
(3)146.50円割れからは下落再開とみて12月4日午前安値146.22円試しとし、底割れからは145円台後半(145.85円から145.50円)への下落を想定する。145.50円以下は反騰注意とするが、146.50円以下での推移なら7日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の予定】
12/6(水)
16:00 (独) 10月 製造業新規受注 前月比 (9月 0.2%、予想 0.2%)
16:00 (独) 10月 製造業新規受注 前年同月比 (9月 -4.3%、予想 -3.9%)
19:00 (欧) 10月 小売売上高 前月比 (9月 -0.3%、予想 0.2%)
19:00 (欧) 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 -2.9%、予想 -1.1%)
19:30 (英) 英中銀、金融安定報告公表
22:15 (米) 11月 ADP非農業部門民間就業者数 前月比 (10月 11.3万人、予想 13.0万人)
22:30 (米) 10月 貿易収支 (9月 -615億ドル、予想 -642億ドル)
22:30 (米) 7-9月期 非農業部門労働生産性・改定値 前期比 (速報 4.7%、予想 4.9%)
24:00 (加) カナダ中銀 政策金利 (現行 5.00%、予想 5.00%)
24:30 (米) EIA週間石油在庫統計
12/7(木)
未 定 (中) 11月 貿易収支・米ドル建て (10月 565.3億ドル、予想 486.5億ドル)
未 定 (中) 11月 貿易収支・人民元建て (10月 4054.7億元)
09:30 (豪) 10月 貿易収支 (9月 67.86億豪ドル、予想 74.00億豪ドル)
14:00 (日) 10月 景気先行指数CI・速報値 (9月 108.9、予想 108.2)
14:00 (日) 10月 景気一致指数CI・速報値 (9月 114.7、予想 114.9)
16:00 (独) 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 -1.4%、予想 0.0%)
16:00 (独) 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 -3.7%、予想 -3.1%)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP・確定値 前期比 (改定値 -0.1%、予想 -0.1%)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP・確定値 前年同期比 (改定値 0.1%、予想 0.1%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.8万件、予想 22.2万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 192.7万人、予想 191.0万人)
24:00 (米) 10月 卸売売上高 前月比 (9月 2.2%)
29:00 (米) 10月 消費者信用残高 前月比 (9月 90.6億ドル、予想 85.0億ドル)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.12.25
東京市場のドルは157円台で推移、植田日銀総裁の余波は弱く一段の円安は回避か(24/12/25)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、植田日銀総裁の発言を受けて、やや円安ドル高に振れ一時157円50銭台まで上昇した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:編集人K
2024.12.25
ドル円157円台前半、主要市場のクリスマス休暇入りで市場閑散 (12/25午前)
25日午前の東京市場でドル円は小動きに終始。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:上村 和弘
2024.12.25
ドル円見通し 第一次トランプ政権における円高の教訓(24/12/25)
ドル円は、157円割れを買われつつ25日未明に157.37円まで高値を若干切り上げて確りしている。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2023.12.06
ドル円、上下しつつも方向感に欠ける展開。市場は早くも週末の米雇用統計待ちの様相へ(12/6朝)
5日(火)のドル円相場は上下しつつも方向感に欠ける展開。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。