ドル円、良好な米経済指標とタカ派な米FRB高官発言を受けて大幅上昇
〇ドル円、シカゴ購買部協会景気指数の好調、FRB関係者のタカ派発言に米国時間に148.51まで急伸
〇ユーロドル、ユーロ圏11月消費者物価指数の低下、米長期金利の上昇に1.0879まで急落
〇ドル円、一目均衡表雲下限や90日移動平均線を上抜け、「三役逆転」も消失、地合い好転
〇ファンダメンタルズも日米金融政策の方向性の違いと円キャリートレードの再開期待がドル円を支持
〇ポジション調整は一巡、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:147.50ー149.50
海外時間のレビュー
30日(木)のドル円相場は大幅上昇。アジア時間朝方にかけて、安値146.84まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)前日安値146.68(9/12以来、約2カ月半ぶり安値)を背にした押し目買い圧力や、(2)日経平均株価の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)、(3)中村日銀審議委員による「今は慎重な対応が必要。金融緩和政策修正にはもう少し時間かかる」「現在の物価上昇はコストプッシュの色彩強く、持続的な2%目標実現確信持てる状況でない」とのハト派的な発言、(4)米11月シカゴ購買部協会景気指数(結果55.8、予想46.0)の力強い結果、(5)サンフランシスコ連銀デイリー総裁による「現時点では利下げについて全く考えていない」「FRBが利上げを完了したかどうかを考えるのは時期尚早」とのタカ派的な発言、
(6)ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁による「インフレ圧力が続けば再び利上げの可能性もある」とのタカ派的な発言、(7)米金利上昇に伴うドル買い圧力(米10年債利回りは4.24%から4.36%へ急上昇)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値148.51まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間12/1午前6時00分現在)では、148.23前後で推移しております。尚、昨日発表された米10月PCEコアデフレータ(結果+3.5%、予想+3.5%)は市場予想通りの結果となりました。
30日(木)のユーロドル相場は大幅下落。アジア時間朝方にかけて、高値1.0984まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)イタリア中銀パネッタ総裁による「ユーロ圏のコアインフレ率は2024年も減速を続ける見通し」「インフレ率の低下が加速すれば、金融政策が緩和される可能性がある」とのハト派的な発言や、(2)ユーロ圏11月消費者物価指数速報値(結果+2.4%、予想+2.7%)および、同コア指数(結果+3.6%、予想+3.9%)の市場予想を下回る結果、(3)米11月シカゴ購買部協会景気指数の力強い結果、(4)米当局者(サンフランシスコ連銀デイリー総裁やニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁)によるタカ派的な発言、(5)米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0879まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間12/1午前6時00分現在)では、1.0888前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は前日記録した安値146.68(9/12以来、約2カ月半ぶり安値圏)をボトムに反発に転じると、昨日は一時148.51まで急伸しました。この間、日足ローソク足が再び一目均衡表雲下限や90日移動平均線を上抜けした他、強い売りシグナルを示唆する「三役逆転」も消失するなど、テクニカル的に見て、地合いの好転(短期的なポジション調整完了→上昇トレンド再開)を強く印象付けるチャート形状となりつつあります。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(利下げ議論は時期尚早との見方の再燃→米金利に上昇圧力)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測(マイナス金利脱却議論は時期尚早との見方の再燃→円金利に低下圧力)、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違いとそれに伴う円キャリートレードの再開期待(円売り安心感)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。本日予定されている米11月ISM製造業景況指数や、米11月ISM支払価格が市場予想を上回る場合や、シカゴ連銀グールズビー総裁およびパウエルFRB議長よりタカ派的な発言が見られる場合には、米金利上昇→米ドル買いの流れを通じて、ドル円相場がもう一段上値を伸ばすシナリオ(心理的節目150.00を試すシナリオ)が想定されるため、当方では引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(今週初から始まったポジション調整は一巡したと判断→短期的な見通しも「ベア」から「ブル」へ変更)。
本日の予想レンジ:147.50ー149.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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