ドル円、約2カ月半ぶり安値圏へ急落。一目均衡表三役逆転も点灯
〇ドル円、米国時間朝方にかけて高値147.91まで上昇後、引けにかけ147円台前半に反落
〇地区連銀経済報告では、多くの地区で経済活動が小幅鈍化、物価上昇ペースは緩やかに
〇ユーロドル、欧州債利回り低下に伴うユーロ売り圧力等に米国時間朝方にかけ安値1.0960まで反落
〇ドル円、90日移動平均線や一目均衡表雲下限を下抜け「一目均衡表三役逆転」が成立地合い弱い
〇引き続き、ドル円相場の短期的な下落をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:146.00ー148.00
海外時間のレビュー
29日(水)のドル円相場は急落後に持ち直す展開。(1)米金利低下に伴うドル売り圧力(ウォラーFRB理事による「インフレ率がさらに数カ月間低下し続ければ政策金利を引き下げる根拠は十分にある」との前日海外時間のハト派発言→米利下げ開始時期の前倒し観測再燃→米長期金利急低下→対主要通貨でのドル売り圧力)や、(2)心理的節目147.00を割り込んだことに伴う仕掛け的なドル売り・円買い、(3)テクニカル的な地合いの悪化(90日移動平均線や一目均衡表雲下限の下方ブレイク)が重石となり、アジア時間朝方にかけて、安値146.68(9/12以来、約2カ月半ぶり安値圏)まで急落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)急ピッチな下落に対する反動買い(自律反発)や、(5)安達日銀審議委員による「粘り強く金融緩和を継続する必要がある」とのハト派的な発言、(6)米長期金利の低下幅縮小、(7)株式市場の堅調推移(リスク回避の円買い圧力の後退)、(8)短期筋のショートカバー、(9)米第3四半期GDP改定値(結果+5.2%、予想+4.9%)の市場予想を上回る結果が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値147.91まで上昇しました。
もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、引けにかけて反落し、本稿執筆時点(日本時間11/30午前5時30分現在)では、147.36前後まで値を崩す動きとなっております。尚、昨日発表された地区連銀経済報告(ベージュブック)では、多くの地区で経済活動の小幅鈍化が見られたことと、物価上昇ペースが緩やかになったこと等が明らかとなりましたが、市場の反応は限られました。
29日(水)のユーロドル相場は高値圏から急反落。(1)米金利低下に伴うドル売り圧力が支援材料となる中、アジア時間朝方にかけて、高値1.1018(8/10以来、約3カ月半ぶり高値圏)まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(2)米長期金利の低下幅縮小や、(3)ドイツ11月調和消費者物価指数速報値(結果+2.3%、予想+2.5%)の市場予想を下回る結果、(4)上記3を背景としたECBによる早期利下げ観測の再燃、(5)欧州債利回り低下に伴うユーロ売り圧力、(6)米第3四半期GDP改定値(結果+5.2%、予想+4.9%)の市場予想を上回る結果が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0960まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/30午前5時30分現在)では、1.0973前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は一時146.68(9/12以来、約2カ月半ぶり安値圏)まで急落するなど、冴えない動きが続いています。日足ローソク足が市場参加者に意識されていた90日移動平均線や一目均衡表雲下限を下抜けしたことや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」が成立したこと、4時間足ベースで90MAと200MAのデッドクロスが実現したこと等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。日米金利差といった明確なファンダメンタルズ要因(ドル買い・円売り材料)は残っているものの、目先は米FRBによる利下げ開始時期の前倒しと、日銀による来年前半のマイナス金利脱却を織り込む形で、もう一段、ドル円ロングの調整が進むシナリオが警戒されます。
本日予定されている米10月PCEデフレータが市場予想を下回る場合や、ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁よりハト派的なスタンスが見られる場合には、米金利低下→米ドル売り→ドル円ロング勢のロスカット誘発の経路で、146円や145円の大台を割り込み、9/1に記録した安値144.44に向けて下げ足を速めるシナリオも想定されるため、当方では引き続き、ドル円相場の短期的な下落をメインシナリオとして予想いたします(中長期的なドル円見通しは引き続きアップサイドを想定)。尚、本日は上記以外にも、米新規失業保険申請件数や、米11月シカゴ購買部協会景気指数などが予定されております。
本日の予想レンジ:146.00ー148.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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