ドル円見通し 米PPI発表後の安値更新から急伸、米CPI後の急落幅の過半を解消(23/11/16)

ドル円、11月15日の日中は急落後の買い戻しで150.70円台まで戻す場面もあったが15日夜の米経済指標発表へ向けて下落していた。

ドル円見通し 米PPI発表後の安値更新から急伸、米CPI後の急落幅の過半を解消(23/11/16)

米PPI発表後の安値更新から急伸、米CPI後の急落幅の過半を解消

〇昨日ドル円、指標発表直後150.05へ下落するも小売等の堅調が注目され反騰、151.42まで戻す
〇米PPIは市場予想下回り鈍化、小売は堅調、NY連銀景況指数は予想を大幅に上回る
〇11/14のCPI発表に大きく反応した後のため、PPIに対する市場反応は限定的
〇米長期債利回り、CPI発表後の低下材料消化感により反発、ダウは4連騰
〇150.80以上での推移中は一段高余地ありとし、151.42超えからは11/13深夜高値151.90試しとする
〇150.80割れからは戻り一巡後の下落期入りとみて150.50前後への下落を想定

【概況】

ドル円は11月14日夜の米10月CPI上昇率が予想を下回ったことをきっかけとした米長期債利回りの大幅低下により11月15日早朝に150.13円まで下落し、11月13日に付けた年初来高値151.90円からの下げ幅を1.77円とした。11月15日の日中は急落後の買い戻しで150.70円台まで戻す場面もあったが15日夜の米経済指標発表へ向けて下落していた。
11月15日夜の米10月PPIは予想を下回る鈍化となったが、同時に発表された10月の米小売売上高と11月のNY連銀景況指数が予想を上回る堅調さを示したため、ドル円はそれらの発表直後に150.05円へ下落して15日早朝安値を割り込んだ。しかし前夜のCPI発表後にインフレ鈍化について大きく反応した直後だったために小売売上高等の堅調さへ目が向いて米長期債利回りが反発、ドル高がぶり返す展開となったため、ドル円は早々に反騰に入り、NY市場の終盤には高値で151.42円まで戻した。

11月13日夜高値151.90円から15日夜安値150.05円までの下げ幅1.85円に対して16日早朝高値151.42円まで1.37円の上げ幅となり7割強を戻している。10月30日安値148.80円から11月3日安値149.20円、11月15日安値150.05円と底上げ基調は維持されており、直前高値で151円台後半へ上昇したところからの急落は繰り返し買い拾われている。

【米PPIは鈍化、小売堅調】

11月15日に発表された10月の米PPI(生産者物価指数)は全体の前月比が0.5%低下となり、9月の0.4%上昇から大幅に鈍化して市場予想の0.1%上昇を下回った。前年同月比は1.3%上昇で9月の2.2%から鈍化して市場予想の1.9%も下回った。コア指数では前月比が0.0%で9月の0.2%(速報の0.3%から下方修正)及び市場予想の0.3%を下回り、前年同月比は2.4%上昇で9月及び市場予想の2.7%を下回った。
11月14日に発表された米10月CPIが予想を下回る鈍化だったことも含め、インフレ鈍化により米FRBが追加利上げを行う可能性は極めて低くなったと市場は受け止めたが、14日夜のCPI発表に大きく反応した後のため、PPIに対する市場反応は限定的だった。

10月の米小売売上高は前月比0.1%減となり、9月の0.9%増(速報の0.7%から上方修正)から大幅に低下したものの市場予想の0.3%減を上回り、変動の激しい自動車・同部品を除くと0.1%増で市場予想の0%を上回った。ガソリンを除くと0.1%減、自動車・同部品・ガソリンを除くと0.1%増だった。
小売売上高の前年同月比は全体が2.5%増、自動車・同部品を除くと2.3%増、ガソリンを除くと3.5%増だった。
ニューヨーク連銀による11月のNY州製造業景況指数は9.1となり、10月のマイナス4.6から上昇して市場予想のマイナス2.8を大幅に上回った。新規受注は10月のマイナス4.2からマイナス4.9へ悪化、受注残がマイナス19.1からマイナス23.2へ悪化するなど内容は必ずしも強くないところもあった。受取価格は11.7から11.1へ、支払価格は25.5から22.2へいずれも鈍化した。

【米長期債利回りは反発、ダウは続伸】

11月15日の米長期債利回りは総じて反発した。長期金利指標の10年債利回りは前日比0.08%上昇の4.53%となった。14日は米10月CPIの鈍化により前日比0.19%低下となり、15日も一時4.43%まで低下して10月23日に付けたピークの5.02%以降の最低としたが、目先の低下材料消化感で反発した。
30年債利回りは14日に前日比0.13%低下となったが15日は0.07%上昇の4.70%へ戻し、2年債利回りも14日に0.20%低下したところから15日は0.08%上昇の4.92%へと反発した。しかしいずれも前日の低下幅を解消するにはまだ距離を残しており、低下傾向の範囲内で戻したものと思われる。
一方でNYダウはインフレ鈍化と小売堅調により前日比163.51ドル高となり4営業日続伸、ナスダック総合指数も9.46ポイント高と小幅ながら14日の326.64ポイントからの連騰で10月28日以降の高値を更新して7月19日の年初来高値に迫ってきている。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は11月15日夜の下落時に15日早朝安値をわずかに割り込んだもののその後に急伸したため、11月15日夜安値を目先の底として反騰入りした状況と思われる。11月13日深夜高値を基準として目先の高値形成期は11月20日深夜にかけてと想定される。
11月13日深夜高値を超えて152円へ挑戦してゆくのか、ダブルトップ形成に終わるのか、週末から週明けへの流れで試されるところだ。

60分足の一目均衡表では11月15日夜安値からの反騰で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜き返しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンへ潜り込むところからは弱気転換注意とし、先行スパンから転落する場合は下落再開として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は11月15日早朝から夜にかけての安値更新に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せて反騰しているので45ポイント以上を維持するうちは一段高余地ありとするが、45ポイント割れからは下げ再開を経過し、40ポイント割れからは20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、150.80円を下値支持線、11月16日早朝高値151.42円を上値抵抗線とする。
(2)150.80円以上での推移中は一段高余地ありとし、151.42円超えからは11月13日深夜高値151.90円試しとする。151.90円前後は反落注意とするが、151円以上を維持しての推移か、直前高値から0.75円を超える反落が発生しないうちは17日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)150.80円割れからは戻り一巡後の下落期入りとみて150.50円前後への下落を想定する。150.50円以下は反騰注意とするが、150.80円を割り込んでの推移が続く場合は17日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

11/16(木)
13:30 (日) 9月 第三次産業活動指数 前月比 (8月 -0.1%、予想 -0.1%)
20:30 (欧) ラガルドECB総裁、講演
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.7万件、予想 22.0万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 183.4万人、予想 184.7万人)
22:30 (米) 10月 輸入物価指数 前月比 (9月 0.1%、予想 -0.3%)
22:30 (米) 10月 輸出物価指数 前月比 (9月 0.7%、予想 -0.5%)
22:30 (米) 11月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (10月 -9.0、予想 -9.0)
22:30 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、会議挨拶
23:15 (米) 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 0.3%、予想 -0.3%)
23:15 (米) 10月 設備稼働率 (9月 79.7%、予想 79.4%)
23:15 (欧) デギンドスECB副総裁、講演
23:15 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
24:00 (米) 11月 NAHB住宅市場指数 (10月 40、予想 40)
24:35 (米) バーFRB副議長、講演
24:45 (英) ラムスデン英中銀副総裁、講演
25:45 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演

11/17(金)
米国つなぎ予算期限
06:45 (NZ) 7-9月期 PPI(生産者物価指数) 前期比 (4-6月 0.2%)
16:00 (英) 10月 小売売上高 前月比 (9月 -0.9%、予想 0.5%)
16:00 (英) 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 -1.0%、予想 -1.5%)
16:00 (英) 10月 小売売上高・除自動車 前月比 (9月 -1.0%、予想 0.5%)
16:00 (英) 10月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (9月 -1.2%、予想 -1.5%)
17:30 (欧) ラガルドECB総裁、講演
18:00 (欧) 9月 経常収支・季調済 (8月 277億ユーロ)
19:00 (欧) 10月 HICP(消費者物価指数)・改定値 前年同月比 (9月 2.9%、予想 2.9%)
19:00 (欧) 10月 コアHICP・改定値 前年同月比 (9月 4.2%、予想 4.2%)
22:00 (独) ナーゲル独連銀総裁、講演
22:10 (英) ラムスデン英中銀副総裁、講演

22:30 (米) 10月 住宅着工件数・年率換算 (9月 135.8万件、予想 135.0万件)
22:30 (米) 10月 住宅着工件数 前月比  (9月 7.0%、予想 -0.6%)
22:30 (米) 10月 建設許可件数・年率換算 (9月 147.3万件、予想 145.0万件)
22:30 (米) 10月 建設許可件数 前月比  (9月 -4.4%、予想 -1.4%)
22:45 (米) コリンズ・ボストン連銀総裁、会議挨拶
23:45 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、発言テキスト公表
24:00 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、講演



注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る