FOMC(10月31-11月1日開催)結果のポイント:パウエル議長発言をほんの少しネガティブ視

米連邦公開市場委員会(FOMC)では、市場の想定通り、政策金利は下限5.25%、上限5.5%と2会合連続で据え置いた。

FOMC(10月31-11月1日開催)結果のポイント:パウエル議長発言をほんの少しネガティブ視

パウエル議長発言をほんの少しネガティブ視

【今回のポイント】

〇 政策金利は2会合連続で下限5.25%、上限5.5%で据え置き

〇 パウエルFRB議長発言で年内利上げの可能性が後退

〇 ドルは対円で151円96銭突破の攻防か

【FOMCの結果】

米連邦公開市場委員会(FOMC)では、市場の想定通り、政策金利は下限5.25%、上限5.5%と2会合連続で据え置いた。

その後のパウエルFRB議長は、記者会見で、長期金利上昇に対して「FRBが期待する政策を反映するものではない」と発言したほか、「経済成長が続き労働市場が再びひっ迫すれば、さらなる金融引き締めが正当化される可能性がある」と利上げ余地を残した。また、「インフレ率を当局目標の2%に戻す上で金融政策が十分に景気抑制的かどうか、まだ判断に確信を持てない」とも議長は述べた。

政策当局者の過半数が、なお年内の追加利上げを見込んでいるかどうか?との質問に対しては、「我々が答えを求めているのは『さらに引き上げるべきか』という問いだと言えよう」と回答した。
つまり、パウエル議長は、今年最後の12月会合で、追加利上げを決定することはあり得ると示唆した一方、引き締め局面が終了した可能性も認めた。

【市場の反応】

FOMC会合の結果は、市場の想定通りの内容だったが、パウエル議長が、米長期債利回りの急上昇に伴い、追加利上げの必要性が低下しているとの趣旨の発言を行ったことから、年内利上げの可能性が後退し、米10年債利回りは4.9%水準から4.7%水準に低下した。

パウエル議長は、インフレ抑制に向け追加利上げの選択肢を残したが、この手の発言はこれまでのFOMC会合等でも頻繁に見られたことから、米長期債利回りの急上昇に伴うコメントがややネガティブ視された。

10月31日の日銀金融政策決定会合と、財務省の「外国為替平衡操作の実施状況」発表後、ドルは対円で151円74銭まで買われた。FOMC会合内容の発表時点では、ドルは151円台だったが、パウエル議長発言で米10年債利回りが低下したことから、ドルは150円台で推移し、11月2日の海外時間では150円台を割り込む場面も見られた。

【今後、ドルはどう動く?】

パウエル議長の発言をそこまでネガティブ視したわけではないが、「ノーサプライズ」を予想する市場関係者が多かった分、スポット的に目立ってしまった感はある。ドルインデックスは、今年7月以降じりじりと反発していたが、足元106台で反発は一服。FOMC会合後も目立った動きは観測されず、主要通貨に対する「ドル買い」は進んでいない。

今後は、パウエル議長が発言していた通り様々な経済指標の「データ」を見極める展開となろう。基本的には、12月の追加利上げの有無は、雇用統計、消費者物価指数、ISM製造業景況指数、小売売上高などこれまで注目されていた経済指標の数値変化次第だ。

ただ、データに影響を与える要因として、イスラエルとイスラム組織ハマスとの軍事衝突を発端とする中東不安と、11月中旬の米議会問題があげられる。東京時間の11月3日12時時点では、さほど市場は問題視していないが、中東不安に伴うエネルギー価格の上昇、米議会問題に伴う米債格下げ懸念は、ともに為替市場への影響は大きいことから注意が必要だ。

一方、対円で考えると、政府・日銀による為替介入の有無が大きなポイントであることは間違いない。11月1日の神田財務官が発した「スタンバイ」という表現は、「いつでもやるぞ」という意気込みを示したと考える。実際、この発言後、昨年高値151円96銭手前でドル買いは一服していることから、市場はおっかなびっくりの状況だ。

この発言を受けて、昨年高値151円96銭突破を仕掛けるのは難しくなっている。今後は、昨年高値151円96銭手前で「レートチェック」が行われ、その後、再びドル買いが強まったタイミングで、政府・日銀は為替介入を実施するのではないかと考える。

パウエル議長発言で、日米金利差は3.8%ほどに縮小したが、日米金融政策を考慮すると、この水準よりも低下することはほぼ無いだろう。となれば、ドルは対円で、150円水準から151円水準でのもみ合いから、再度、昨年高値突破を試す展開が考えられる。日米金利差と為替介入懸念を睨んだ攻防がしばらくは見られそうだ。

【2023年スケジュール】

※米国は現地時間なので、金利発表及び記者会見は日本時間で翌日未明

日銀金融政策決定会合(日銀会合)

9月21日(木)ー22日(金)・・・現状の金融緩和方針を維持したことで、市場はやや円安
10月30日(月)ー31日(火)・・・想定通りのYCC再修正に留まったことで、市場は円安の反応
12月18日(月)ー19日(火)・・・?

米連邦公開市場委員会(FOMC)

9月19日(火)ー 20日(水)・・・利上げ見送り、ややタカ派な姿勢が確認できたことで、市場はドル買いで反応
10月31日(火)ー11月1日(水)・・・パウエル発言をややネガティブ視しドルはやや軟調
12月12日(火)ー 13日(水)・・・?

欧州中央銀行理事会(ECB理事会)

9月14日(木)・・・0.25%引き上げで政策金利は4.5%、市場はユーロ売りで反応
10月26日(木)・・・想定通りの現状維持でユーロは凪相場
12月14日(木)・・・?

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