ドル円見通し 149円台前半では上値重くなり様子見の展開続く(23/10/12)

ドル円は12日未明には149.32円を付けて10日夜高値149.09円を上抜いたが、149.50円超えへ向かう勢いに欠けて12日午前序盤には149円を割り込んでいる。

ドル円見通し 149円台前半では上値重くなり様子見の展開続く(23/10/12)

149円台前半では上値重くなり様子見の展開続く

〇ドル円、中東情勢緊迫化によるリスク回避的な円高により上昇後、10/10に148.15まで下落
〇その後、株高継続によるリスク選好感から買い戻されたが、10/12午前序盤は149円を割り込む
〇米9月PPI上昇率は予想を上回るも、市場の反応は限定的
〇今夜米9月CPIの発表、FRB高官のハト派寄りの発言が多いことも踏まえ、今後の方向性に注目
〇148.70以上での推移中は一段高余地ありとし、149.32超えからは149.50前後への上昇を想定
〇148.50割れからは148円前後を試す下落を想定

【概況】

ドル円は中東情勢緊迫化によるリスク回避的な円高により10月6日夜高値149.50円から10日午前安値148.15円までいったん下げたものの、その後は株高の継続によるリスク選好感から買い戻されて12日未明には149.32円を付けて10日夜高値149.09円を上抜いたが、149.50円超えへ向かう勢いに欠けて12日午前序盤には149円を割り込んでいる。
10月11日夕刻はFRBのボウマン理事が「さらなる利上げが必要になる可能性がある」と述べたことで米長期債利回り上昇とともにドル円が上昇し、11日夜の米9月PPI(生産者物価指数)の上昇率が市場予想を上回ったこともドル円を押し上げたが、その後は米10年債入札低調で利回りが再び低下したために反落している。

10月3日に150.15円を付けて昨年10月21日高値151.94円以来の150円台に到達したところから147.41円へ急落し、直後に149.32円まで戻す波乱となったが、その後は148円台序盤を買われつつ149円台前半で売られる持ち合いの様相となっている。中東情勢については米長期債利回り低下によりユーロ等が上昇してドルストレートではドル安感が優勢となりドル円の上昇を抑えているが、米長期債利回りが低下したといっても日米長期金利差が開きっぱなしの状況にあるためにドル円の下値も限定的という印象だ。
今夜は米9月CPI(消費者物価指数)上昇率の発表があるが、FRB高官によるハト派寄りの発言が多いことも踏まえて今後の方向性を左右するきっかけとなりやすいと注目したい。

【米9月PPI上昇率は予想を上回る】

米労働省による9月の米PPI(生産者物価指数)上昇率は、全体の前月比が0.5%となり8月の0.7%から鈍化したものの市場予想の0.3%を上回り、前年同月比は2.2%で8月の2.0%(速報の1.6%から上方修正)及び市場予想の1.6%を上回った。コアPPIの上昇率は前月比0.3%で8月及び市場予想の0.2%を上回り、前年同月比は2.7%で8月の2.5%(速報の2.2%から上方修正)及び市場予想の2.3%を上回った。
原油価格高騰による影響で予想を上回る伸び率となったことはインフレの高止まりと利上げ状態の長期化への懸念を助長するものだが、9月21日未明のFOMCを通過してからの米長期債利回り上昇が一巡して低下していることもあり市場の反応は限定的だった。

FRBのボウマン理事は11日のモロッコにおける講演で「労働市場は依然タイトでさらなる利上げが必要になる可能性があることを示している」と述べて追加利上げへ前向きな姿勢を示した。発言が伝わったところではドル高反応がみられたが、10月9日以降はジェファーソンFRB副議長が「追加利上げは慎重に進めることが可能」とし、ダラス連銀のローガン総裁が「追加利上げの必要性は低下するかもしれない」と述べ、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁も10日に「長期国債利回りの上昇が利上げ幅の縮小を意味する可能性がある」と述べるなどハト派寄りの発言が続いてきたこともあり、ボウマン理事発言に対する市場の反応は限定的なものにとどまった。

【米10年債利回りは低下続き、ダウは4連騰】

10月11日の米長期債利回りは10年債と30年債が大幅低下したものの2年債利回りはわずかに上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは中東情勢緊迫化を受けて休場明けの10月10日に先週末比0.15%低下したが、11日も前日比0.10%低下と続落して4.56%で終了した。10月6日に4.89%をつけて2007年以来の高水準を更新したが、米雇用統計を通過して当面の上昇要因を織り込み、中東情勢を意識した米国債買いとFRB高官によるハト派寄りの発言が相次いだことで急低下している。この日の入札が不調だったところでは利回り上昇も見られたが、流れは大上昇一巡による低下局面入りという印象だ。
30年債利回りは10月6日に5.05%まで急伸していたが、10月10日に先週末比0.14%低下し、11日も0.13%低下と続落して4.70%で終了した。

2年債利回りは10月10日に先週末比0.11%低下して一時は4.92%まで下げたが、11日は5.02%まで上昇する場面も見られたものの上昇幅を削って前日比0.01%上昇の4.99%で終了した。
一方でNYダウは前日比65.57ドル高と上昇して10月6日から4営業日連騰となった。ナスダック総合指数も96.84ポイント高でダウとともに4連騰した。株式市場は10月9日に中東情勢緊張により一時急落したものの持ち直しており、中東情勢の米国経済への影響は軽微として楽観的な印象で、米長期債利回り低下傾向も好感されている。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は10月3日の乱高下が落ち着いた後の10月5日午前安値から10月6日夜高値へ戻し、10日午前に5日午前安値を割り込んでから再び持ち直している。148円台序盤で買われる持ち合いの様相であり、10日夜から12日未明へと高値を切り上げているので13日夜にかけての上昇余地が残るが、149円台前半を繰り返し売られて上値も重いため、148.70円割れからは下向きとし、148.50円割れからは下落期入りとみて17日午前にかけての下落を想定する。

60分足の一目均衡表では10月12日未明への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いたが、12日午前序盤へ失速しているため両スパンともに悪化しやすい位置にある。先行スパンを上回るうちは上昇余地ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合はさらに下落継続の可能性があるとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は10月12日未明への上昇で60ポイント台後半に付けたが70ポイントに届かずに失速気味となっている。50ポイント以上を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、60ポイント超えからは上昇再開として70ポイント台を目指すとみるが、45ポイント割れからは下落期入りとして30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、148.50円を下値支持線、10月12日未明高値149.32円を上値抵抗線とする。
(2)148.70円以上での推移中は一段高余地ありとし、149.32円超えからは149.50円前後への上昇を想定する。149.50円以上は反落注意とするが、米CPI等をきっかけに149.50円超えから続伸する場合は149.70円台へ上値目途を引き上げる。
(3)148.50円割れからは148円前後を試す下落を想定する。148円以下は反騰注意とするが、米CPI等をきっかけに急落する場合は147.80円から147.50円にかけての水準へ下値目途を引き下げる。

【当面の予定】

10/12(木)
休場 ブラジル
G20財務相・中銀総裁会議(10/13まで)
14:30 (日) 野口日銀審議委員、会見
15:00 (英) 8月 月次GDP 前月比 (7月 -0.5%、予想 0.2%)
15:00 (英) 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 -0.7%、予想 -0.2%)
15:00 (英) 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 0.4%、予想 1.7%)
15:00 (英) 8月 貿易収支 (7月 -34.46億ポンド、予想 -37.00億ポンド)
18:00 (英) ピル英中銀理事、講演
20:00 (欧) パネッタECB理事、講演
20:30 (欧) ECB(欧州中銀)理事会議事要旨

21:30 (米) 9月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (8月 0.6%、予想 0.3%)
21:30 (米) 9月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (8月 3.7%、予想 3.6%)
21:30 (米) 9月 コアCPI 前月比 (8月 0.3%、予想 0.3%)
21:30 (米) 9月 コアCPI 前年同月比 (8月 4.3%、予想 4.1%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.7万件、予想 21.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 166.4万人、予想 168.0万人)
24:00 (米) EIA週間石油在庫統計
26:00 (米) 財務省30年債入札
26:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、会議挨拶
27:00 (米) 9月 月次財政収支 (8月 893億ドル、予想 -1415億ドル)

10/13(金)
休場 タイ
未 定 (中) 9月 貿易収支・米ドル建て (8月 683.6億ドル、予想 737.0億ドル)
08:50 (日) 9月 マネーストックM2 前年同月比 (8月 2.5%)
10:30 (中) 9月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (8月  0.1%、予想 0.2%)
10:30 (中) 9月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (8月 -3.0%、予想 -2.4%)
17:00 (英) ベイリー英中銀総裁、講演
18:00 (欧) 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 -1.1%、予想 0.1%)
18:00 (欧) 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 -2.2%、予想 -3.4%)
21:30 (米) 9月 輸入物価指数 前月比 (8月 0.5%、予想 0.6%)
21:30 (米) 9月 輸出物価指数 前月比 (8月 1.3%、予想 0.5%)
22:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
22:00 (欧) ラガルドECB総裁、パネルディスカッション参加
23:00 (米) 10月 ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値 (9月 68.1、予想 67.4)
25:30 (英) カンリフ英中銀副総裁、講演


注:ポイント要約は編集部

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