149円台到達、年初来高値更新し昨年10月24日以来の水準に
〇ドル円、9/26午前高値で149.18をつけ市場介入への警戒感徐々に強まる
〇米経済指標はまちまち、ミネアポリス連銀総裁は「年内あと1回」の利上げを支持と発言
〇米10年債利回りは一時4.57%をつけて2007年10月以来の高値更新
〇米政府閉鎖や中国不動産不況、原油高、全米自動車労組のスト長期化等を懸念しNYダウは反落
〇148.75以上での推移中は一段高余地ありとし、149.18超えからは149.50前後を目指す上昇を想定する
〇148.75割れは弱気転換注意、148.50割れからはいったん下げに入るとみて148円台序盤試しを想定
【概況】
ドル円は9月26日午前高値で149.18円を付けて昨年10月21日高値151.94円直後の10月24日以来の高値水準に達した。
米FOMCが年内あと1回の追加利上げが必要で利上げ状態が長期化するとの懸念に加え、米予算審議の難航により米政府機関の一部が閉鎖されるのではないかとの懸念も重なって米10年債利回りは2007年10月以来に高水準に達する一方、日銀金融緩和継続による円安感が継続していること、米国と欧州及び英国との景況感の差がユーロやポンドの下落を招いてユーロが7月18日高値以降の安値を更新、ポンドが7月14日以降の安値を更新してドル高感が優勢となっていることが円安を助長している。
昨年は9月22日に145.89円を付けたところで24年ぶりの大規模円買い介入が行われたが、当日に140.36円まで5円を超える急落が発生したものの早々に切り返されて10月21日高値151.94円まで一段高しており、10月21日と10月24日の市場介入で天井を付けたものの、11月10日に米CPIが予想外の鈍化を見せた逆CPIショック発生までは145円以上を維持して高止まりしていた経緯もある。
市場介入への警戒感が徐々に強まっているものの、一度目の介入で下げたところは買い拾いたいとの市場の思惑も見え隠れするところであり、149円台後半へ進んで150円到達の際に実弾介入があるのか、口先介入に留まるのかにより今後の展開も決まってくるのだろうと思われる。
【日本のトリプル安】
ドル円が149円台へ乗せたのは、26日昼に鈴木財務相が「あらゆる選択肢排除せず」と円安けん制発言を行った後だったが効果はなく、26日の日経平均は前日比363.57円安、長期国債12月限は前日比18銭安で新発10年債利回りが0.740%へ上昇する債券安・利回り上昇となり、ドル円もいったん149円を割り込んだものの27日未明に149円台へ再び乗せており、株安・債券安・円安のトリプル安という様相となっている。
日本の長期債利回りは9月26日時点で2年債が0.025%、5年債が0.290%、20年債が1.460%、30年債が1.700%であり、日銀のYCCにおける長期金利変動許容上限引き上げにより上昇しているものの絶対的水準は極めて低く政策金利はマイナスのままとなっている。
日銀は9月22日の会合で金融緩和政策を継続し、必要なら追加緩和もあり得るとして9月11日にドル円が急落した要因である植田総裁インタビュー記事におけるマイナス金利解除への言及についても市場が過剰反応したとの見方を示し、植田総裁は25日も金融緩和継続姿勢を改めて強調している。
鈴木財務相は26日の閣議後記者会見で為替相場に関して「市場の動きを高い緊張感を持って見ている。過度な変動についてはあらゆる選択肢を排除することなく適切な対応を取っていきたい」、「米国をはじめ海外の当局とも意思疎通を図っており、過度な変動は好ましくないということについては共有をしている」と述べた。この発言はさほど効果はなかったが、149円台到達後にも記者団に対して「高い緊張感をもってみている」と円安けん制を続けたことで徐々にトーン上げて来た印象ある。
【米経済指標はまちまち】
米連邦住宅金融庁(FHFA)による7月の米住宅価格指数は前年同月比4.6%上昇して6月の3.2%から連続で伸び、7月のケースシラー住宅価格指数も前年同月比0.1%上昇となり6月の1.2%低下から改善した。
米商務省による8月新築一戸建て住宅販売件数(年換算)は前月比8.7%減の67万5000戸となり市場予想の70万戸を下回って7月の8.0%増から悪化した。前年同月比は5.8%増だったが、住宅ローン金利の上昇(30年固定ローンは7%を超えている)が圧迫している印象で販売価格中央値は前月比1.4%低下の43万300ドルとなった。
米調査機関コンファレンス・ボードによる9月消費者信頼感指数は103.0となり8月の108.7から2か月連続低下して市場予想の105.5を大きく下回った。現況指数は146.7から147.1へ改善したが、期待指数は83.3から73.7へ大幅に悪化、向こう半年間の景気見通しでは「改善する」が17.5%から14.1%へ低下、「悪化する」は17.3%から18.4%へ上昇した。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は現地25日夜に「年内あと1回」の利上げを支持している」と述べ、26日に公表したエッセイでは「年内あと1回の利上げを実施し、その後長期間金利を据え置くことで物価安定を達成できるソフトランディングシナリオの確率は60%」とし、「インフレが予想よりも長期に及ぶ高圧経済シナリオではおそらくは大幅な利上げが必要になる」としてその確率は40%とした。
【米10年債利回りは2007年10月以来の高値更新、ダウは反落】
9月26日の米10年債利回りは一時4.57%をつけて2007年10月以来の高値を更新、その後に4.48%へ低下してから再び戻して前日とほぼ変わらずの4.54%で終了した。30年債利回りは0.03%上昇の4.68%で終了、一時は4.698%まで高値を伸ばした。2年債利回りは前日比変わらずの5.13%だった。
CMEの金利先物市場に置けるFOMCの追加利上げ確率は11月が20%、12月は38%であり、FOMCがあと1回としている追加利上げの確率は低いとみているものの、長期金利が総じてまだピークを付けていないとの認識も根強い。
9月26日のNYダウは前日比388.00ドル安と反落した、25日は5日ぶりに反発していたが勢いが続かず、政府閉鎖や中国不動産不況への懸念、原油高、全米自動車労組(UAW)のスト長期化等が懸念要因とされている。ナスダック総合指数も25日は4日ぶりに反発していたが26日は207.71ポイント安と反落して7月19日高値以降の安値を更新した。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は米FOMCと日銀会合を通過しての乱高下から一段高に入っている。現状は9月21日深夜安値を起点とした上昇期であり、9月21日午前高値を基準として目先の高値形成期は26日午前から28日午前にかけての間と想定される。
9月26日午前高値を超えずに148.50円を割り込む場合はいったん下落期に入るとみて27日の日中から28日深夜にかけての間への下落を想定するが、148.50円を上回るうちは27日の日中から28日にかけて一段高を試す可能性があるとみる。
60分足の一目均衡表では遅行スパンの好転と先行スパンを上回る状況が維持されているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。26本基準線割れを弱気転換注意とし、遅行スパン悪化からはいったん下げに入るとみるが、先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とみる。
60分足の相対力指数は9月25日深夜から26日午前への高値更新に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられるため、65ポイント超えからは上昇再開とするが、50ポイント割れからはいったん下げに入るとみて30ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、148.50円を下値支持線、9月26日午前高値149.18円を上値抵抗線とする。
(2)148.75円以上での推移中は一段高余地ありとし、149.18円超えからは149.50円前後を目指す上昇を想定する。149.50円以上は反落警戒とするが、148.75円を上回るか直前高値から1円を超える反落が発生しないうちは28日午前も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)148.75円割れを弱気転換注意とし、148.50円割れからはいったん下げに入るとみて148円台序盤試しを想定する。148.25円以下は反騰注意とするが、148.50円以下での推移なら28日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の予定】
9/27(水)
10:30 (豪) 8月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (7月 4.9%、予想 5.2%)
14:00 (日) 7月 景気一致指数CI・改定値 (速報 114.5)
14:00 (日) 7月 景気先行指数CI・改定値 (速報 107.6)
15:00 (独) 10月 GFK消費者信頼感 (9月 -25.5、予想 -26.0)
21:30 (米) 8月 耐久財受注 前月比 (7月 -5.2%、予想 -0.5%)
21:30 (米) 8月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (7月 0.5%、予想 0.1%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
24:30 (米) 財務省2年物変動利付債入札
26:00 (米) 財務省5年債入札
9/28(木)
09:00 (NZ) 9月 ANZ企業信頼感 (8月 -3.7)
10:30 (豪) 8月 小売売上高 前月比 (7月 0.5%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 9月 消費者信頼感・確定値 (8月 -17.8)
18:00 (欧) 9月 経済信頼感 (8月 93.3、予想 92.4)
21:00 (独) 9月 CPI(消費者物価指数)・速報値 前月比 (8月 0.3%、予想 0.3%)
21:00 (独) 9月 CPI(消費者物価指数)・速報値 前年同月比 (8月 6.1%、予想 4.6%)
21:30 (米) 4-6月期 GDP・確定値 前期比年率 (改定値 2.1%、予想 2.3%)
21:30 (米) 4-6月期 GDP個人消費・確定値 前期比年率 (改定値 1.7%、予想 1.7%)
21:30 (米) 4-6月期 コアPCE・確定値 前期比年率 (改定値 3.7%、予想 3.7%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.1万件、予想 21.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 166.2万人、予想 167.5万人)
22:00 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、講演
23:00 (米) 8月 住宅販売保留指数 前月比 (7月 0.9%、予想 0.2%)
23:00 (米) 8月 住宅販売保留指数 前年同月比 (7月 -13.8%)
26:00 (米) クックFRB理事、講演
29:00 (米) パウエルFRB議長、タウンホール会議主宰
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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