概ね147円台後半を維持、FOMCのドット・プロット待ち
〇9/19のドル円、安値147.49をつけた所を買われ9/20未明147.91へ上昇、9/15夜高値147.94に迫る
〇ドル円の先高期待継続の印象が強まり、今週序盤は147円台中盤を買われて高止まりの様相
〇FOMCは利上げ見送りが既定路線、ドット・プロットに変化あるかに注目
〇原油相場高騰で全体CPI伸び率再加速、焦点は年末にかけて追加利上げ余地を残す従来姿勢を維持か否か
〇9/19米長期債利回りは総じて上昇、NYダウは反落、FOMC控え調整的な動きで上値抑えられたか
〇147.50を上回るうちは上昇余地ありとし、147.94超えからは148円台序盤試しを想定
〇147.49割れからは下落期入りとみて147円試しを想定
【概況】
ドル円は9月15日夜高値で147.94円を付けて今年1月16日安値127.22円以降の最高値を更新し、日本市場休場の18日はやや軟調推移だったものの147.50円台を維持、19日は午前安値で147.49円を付けたところを買われて20日未明には147.91円へ上昇して15日夜高値に迫った。
米FRBによるFOMC(公開市場委員会=政策決定会合)は9月19-20日の予定で始まり、21日3時に政策金利と声明文発表、3時半にパウエルFRB議長会見があり、市場全般はFOMCを控えての様子見ムードとなっている。
9月19日夜に発表された8月の米住宅統計では着工件数が128.3万件で7月の144.7万件および市場予想の144.0万件を大幅に下回り、許可件数は154.3万件で7月の144.3万件および市場予想の144.0万件を大幅に上回ったが、FOMCを控えていることもあり市場の反応は限定的だった。
ドル円は一部メディアによる日銀・植田総裁インタビュー記事におけるマイナス金利解除への言及をきっかけに9月9日早朝高値147.86円から11日夕刻安値145.89円まで急落したが、日銀による円安けん制的な発言と受け止めて落ち着きを取り戻し、15日には日銀総裁インタビューに関して「植田総裁の発言と市場の解釈にギャップがある」との報道もあったため、ドル円の先高期待は継続している印象が強まり、今週序盤は147円台中盤を買われて高止まりの様相となっている。
【明日未明のFOMC、ドット・プロットに変化はあるのか】
今回の会合では利上げが見送られるとの見方が既定路線となっており、焦点は年末にかけての追加利上げ余地を残す従来の姿勢を維持するかどうかという点に向かっている。
6月のFOMCでは参加者による金利予想を示すドット・プロットでは、2023年末の金利予想中央値が5.50〜5.75%とされて現行の5.25〜5.50%からはあと1回の利上げ余地のある状況にあるが、その一方で2024年末については4.50〜4.75%とされて利下げへ進むというシナリオが示されていた。
7月のFOMC議事要旨では「大半の参加者はインフレに大きな上振れリスクがあり一段の引き締めが必要になり得ると」とされ、8月25日のジャクソンホール会合においてパウエルFRB議長は講演で「必要なら追加利上げの用意がある」と述べている。
インフレはピークアウト感を見せつつも最近の原油相場高騰により全体のCPI伸び率が再加速していることもあり、現状で金融引き締め姿勢を緩めてしまうと原油価格の高騰が続いて全体のコストアップにつながりコアCPIの上昇率も再加速してしまうとFOMCの見方が誤りとなりかねないため、7月会合やパウエル議長講演で示されたように「あと1回の利上げ余地」を残した状態を維持しながら「指標次第で判断」という内容になるのではないかと思われる。
金利先物市場においては、今回はほぼ利上げ見送り、11月の次回会合での利上げ確率は3割弱、12月会合までの利上げ確率は4割となっており、利上げ停止のまま越年する可能性が予想されている。
【米10年債利回りは上昇、ダウは反落】
9月19日の米長期債利回りは総じて上昇した。NY原油期近が一時93.74ドルの高値を付けて年初来高値を更新しており、原油高を踏まえて米FRBによる利上げ長期化への懸念が優勢で債券売り・利回り上昇となったようだ。長期金利指標の10年債利回りは前日比0.05%高の4.36%となった。18日には午前に一時4.40%を付けて8月22日に付けた4.37%を超えて2020年以降の最高水準としたもののその後に失速して前日比0.03%低下となったが、低下幅を解消し、終値ベースでは8月21日終値4.34%を超えて2020年以降の最高水準とした。
30年債利回りは0.03%高の4.42%、2年債利回りは0.05%高の5.10%で終了した。
米財務省による20年債の130億ドル入札は堅調で応札倍率は2.74倍、最高落札利回りは4.592%だった。
一方、NYダウは前日比106.57ドル安と反落、ナスダック総合指数も32.05ポイント安と下落した。FOMCを控えて調整的な動きで上値が抑えられた印象だ。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
ドル円は9月14日に147円を試してから一段高したために14日深夜安値を起点とした新たな上昇期として高値形成期を18日夜から20日夜にかけての間と想定した。
9月19日午前に147.50円近辺を試してから15日夜高値へ迫っているためまだ一段高余地ありとし、15日夜高値を超える場合は19日午前安値を起点とした上昇期として高値形成期が22日夜にかけて伸びる可能性もあるとみる。
147.50円割れからは下落期入りとして21日深夜にかけての下落を想定するが、15日夜高値とダブルトップを形成して下落期入りしたとすれば安値形成期が25日午前にかけて長引く可能性もあると注意する。
60分足の一目均衡表では147円台後半で持ち合い推移のため、遅行スパンは実線と交錯して方向感に欠け、先行スパンを上回っているものの転落しやすい位置にある。先行スパンを上回るうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は40ポイント台後半から60ポイント強までのレンジで揉み合いのため、65ポイント超えからは70ポイント台後半を目指す上昇を想定するが、45ポイント以下での推移中は下向きとし、40ポイント割れからは30ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、147.49円を下値支持線、9月15日夜高値147.94円を上値抵抗線とする。
(2)147.50円を上回るうちは上昇余地ありとし、147.94円超えからは148円台序盤試しを想定する。FOMCをきっかけに急伸する場合は148円台後半へ上値目途を引き上げ、21日の日中も続伸しやすいとみる。
(3)147.49円割れからは下落期入りとみて147円試しを想定する。147円台序盤は買われやすいとみるが、FOMCをきっかけに急落する場合は146円台後半へ下値目途を引き下げ、21日の日中も続落しやすいとみる。
【当面の予定】
9/20(水)
15:00 (独) 8月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (7月 -1.1%、予想 0.2%)
15:00 (英) 8月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (7月 -0.4%、予想 0.7%)
15:00 (英) 8月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (7月 6.8%、予想 7.0%)
15:00 (英) 8月 コアCPI 前年同月比 (7月 6.9%、予想 6.8%)
15:00 (英) 8月 RPI(小売物価指数) 前月比 (7月 -0.6%、予想 0.8%)
15:00 (英) 8月 RPI(小売物価指数) 前年同月比 (7月 9.0%、予想 9.3%)
18:00 (欧) 7月 建設支出 前月比 (6月 -1.0%)
18:00 (欧) 7月 建設支出 前年同月比 (6月 -0.3%)
21:30 (欧) エルダーソンECB理事、講演
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) FOMC(米連邦公開市場委員会) 政策金利 (現行 5.25-5.50%、予想 5.25-5.50%)
27:30 (米) パウエルFRB議長、記者会見
9/21(木)
日銀・金融政策決定会合初日
政策金利発表 ブラジル、フィリピン、インドネシア、スウェーデン、台湾、南ア
07:45 (NZ) 4-6月期 GDP 前期比 (1-3月 -0.1%、予想 0.4%)
07:45 (NZ) 4-6月期 GDP 前年同期比 (1-3月 2.2%、予想 1.3%)
16:30 (ス) SNB(スイス中銀) 政策金利 (現行 1.75%、予想 2.00%)
17:00 (ノ) NB(ノルウェー中銀) 政策金利 (現行 4.00%、予想 4.25%)
20:00 (ト) TCMB(トルコ中銀) 政策金利 (現行 25.00%、予想 30.00%)
20:00 (英) BOE(英中銀) 政策金利 (現行 5.25%、予想 5.50%)
21:30 (米) 4-6月期 経常収支 (1-3月 -2193億ドル、予想 -2210億ドル)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.0万件、予想 22.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 168.8万人、予想 169.5万人)
21:30 (米) 9月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (8月 12.0、予想 -1.0)
23:00 (米) 8月 中古住宅販売件数・年率換算 (7月 407万件、予想 410万件)
23:00 (米) 8月 中古住宅販売件数 前月比 (7月 -2.2%、予想 0.7%)
23:00 (米) 8月 コンファレンス・ボード景気先行指数 前月比 (7月 -0.4%、予想 -0.6%)
23:00 (欧) 9月 消費者信頼感・速報値 (8月 -16.0、予想 -16.5)
23:40 (欧) シュナーベルECB理事、講演
26:00 (米) 財務省インフレ指数連動10年債入札
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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ドル円、年初来高値圏を僅かに更新。本日は米FOMCおよびパウエルFRB議長記者会見に注目(9/20朝)
19日(火)のドル円相場は底堅い動き。
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