ドル円、植田日銀総裁発言とニック記者発言の組み合わせで大幅下落。
〇週明けのドル円、窓を開けて急落、一時147.28まで持ち直すも欧州朝方に145.91まで再度下落
〇週末の読売が報じた植田日銀総裁の金融緩和の脱却を示唆する発言が重石に
〇WSJ記者による「FRBが今後の利上げに慎重になっている」とのツイートも材料視
〇ユーロドル、米国時間朝方にかけて、高値1.0760まで上昇、下値堅い
〇ドル円、テクニカルには転換線、21日線を終値ベースで死守、地合い崩れず
〇ファンダメンタルズも日米金融政策の方向性の違い、米主要株価指数の堅調推移がサポート
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:146.00ー147.00
海外時間のレビュー
週明け11日(月)のドル円相場は急反落。(1)読売新聞社によって9/9に報じられた植田日銀総裁による「マイナス金利政策の解除を含めいろいろなオプションがある」との発言や、(2)Fedウォッチャーとして有名な米ウォール・ストリート・ジャーナルのニック・ティミラオス記者による9/10付けの「FRBが今後の利上げに慎重になっている」とのツイート発信が材料となり、ドル円は前週末金曜日の終値である147.82から大きな窓を開けてシドニー時間早朝に146.67まで急落しました。その後、一時147.28まで持ち直す場面も見られましたが、(3)上値の重さを嫌気した短期筋の見切り売り(ロング勢のやれやれ売り)や、(4)中国人民銀行による「人民元レートには合理的で均衡取れた水準で適切な安定状態を維持する強固な基盤。一方的でプロシクリカルな動き是正へ必要なら措置講じる構え」との元安抑制方針の明確化(対人民元でのドル売り圧力→ドル円連れ安)、
(5)日銀による金融緩和の脱却観測(マイナス金利解除の思惑→新発10年国債利回りが2014年1月以来の高水準となる0.70%へ急上昇→円全面高)、(6)日経平均株価の冴えない動きが重石となり、欧州時間朝方にかけて、安値145.91まで急落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(7)急ピッチな下落に対する自律反発や、(8)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(9)米主要株価指数の堅調推移(リスク選好の円売り再開)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間9/12午前5時30分現在)では、146.55前後まで持ち直す動きとなっております。
週明け11日(月)のユーロドル相場は底堅い動き。アジア時間朝方にかけて、1.0708まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)米ウォール・ストリート・ジャーナルのニック・ティミラオス記者による「FRBが今後の利上げに慎重になっている」とのハト派的なツイート発信や、(2)ECB理事会を控えたポジション調整(ユーロショートの手仕舞い)、(3)中国人民銀行による元安抑制方針の明確化(対人民元でのドル売り圧力→ユーロドル連れ高)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.0760まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間9/12午前5時30分現在)では、1.0750前後で推移しております。尚、昨日発表された欧州委員会によるユーロ圏経済成長率見通しは、2023年分(結果0.8%、前回1.1%)、2024年分(結果1.3%、前回1.6%)共に下方修正されましたが、ユーロ売りでの反応は限定的となりました。
本日の見通し
ドル円は前週末金曜日に記録した年初来高値147.88をトップに反落に転じると、昨日は一時145.91まで急落しました。但し、終値ベース(146.55前後)で一目均衡表転換線や21日移動平均線を死守できたことや、日足ローソク足が全てのテクニカルポイントの上側に位置していること、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」が継続していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは崩れていない(昨日の急落は上昇トレンドの過程で見られる一時なポジション調整)と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、日米金利差に着目したドル買い・円売りや、株高に伴うリスク選好の円売りなど、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。昨日のような日銀による金融緩和脱却を滲ませるニュースは、一時的な円買い効果をもたらすものの、それだけで日米金利差が一気に縮むわけでは無いため、結果として、一巡後に円キャリートレード(ドル買い・円売り)が再開する展開がこれまでも幾度となく繰り返されてきました。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(植田日銀総裁発言効果の賞味期限は短期間に留まる公算大)。尚、本日は日米共に目立った経済イベントが予定されておらず、また、週央以降に重要イベント(米8月消費者物価指数、米8月生産者物価指数、米8月小売売上高、米9月ニューヨーク連銀製造業景況指数、米9月ミシガン大消費者信頼感指数など)を控えていることもあり、様子見ムードから全体的に静かな動きとなりそうです。
本日の予想レンジ:146.00ー147.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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