日銀修正期待高まる、目先は円続伸も
〇今週のドル円、週明けは先週末から1円程度ドル安・円高の146円後半で取引開始
〇読売新聞が掲載した植田日銀総裁発言「物価上昇に確信持てればマイナス金利解除も」が材料視
〇テクニカルにはドルの下値を支えてきた21日MAをザラ場ベースでは下回って推移
〇NYクローズで上回ることが出来るのか注視、仮にドルが続落した場合のサポートは145.75・145.25
〇ドル高円安方向は16時現在割り込んでいる21日MAが位置する146.20-35が最初の抵抗
〇ドル安円高方向は、本日東京安値145.90レベルをめぐる攻防にまずは注目
〇欧米時間のドル円予想レンジは145.40-146.70
<< 東京市場の動き >>
週明け11日の東京市場はドルが大幅安。一時持ち直しの動きも観測されたが、夕方に掛けて下げ幅を大きく拡大させている。
先週末、インドで開催されたG20サミットは中露首脳が参加せず、中途半端に終わった感もある。実際、採択された首脳宣言も対露非難が見送られるなど、いまひとつの内容だった。一方、読売新聞が掲載した植田日銀総裁発言が思惑を呼んでいたようだ。
先週末のNYを147.80円レベルでクローズしたドル/円だったが、週明けは1円程度ドル安・円高の146円後半で取引開始。先に記した植田発言、具体的には「物価上昇に確信持てればマイナス金利解除も」−−が材料視されていたことは間違いない。その後、一旦ドル買戻しの動きに押され147円台を回復するも、一巡後は再びドル売り・円買いが優勢となった。夕方に掛け緩やかな右肩下がりで146円割れへ。16時現在では146.05-10円で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「中国情勢」と「北朝鮮情勢」について。
前者は、日本と福島処理水をめぐり対立、台湾とは領土問題そして米国とは貿易問題などと周辺各国と絶え間ない小競り合いを続ける中国だが、新たにイタリアそして英国、さらにカナダとも対立姿勢が明らかになった。前者イタリアについては、同国の「一帯一路」離脱問題がそれ。ブルームバーグによると、G20サミットでメローニ首相が李強首相に離脱方針を伝えたという。一方英国は、英議会の職員が中国のためにスパイ活動を行っていた疑いで逮捕され、スナク英首相が、中国の干渉に対する「非常に強い懸念」を表明していた。またカナダは、トルドー政権が中国による選挙干渉疑惑について調査を開始と発表。これについて中国はカナダが相応の「結果」を受けることになると反発、そして警告している。
対して後者は、建国75周年となる9日、北朝鮮が平壌で記念の軍事パレードを行った。金総書記は金日成広場で行われたパレードを視察するとともに、訪朝している中国の代表団と会談したという。なお、ロシアサイドからは、中露両国と関係を一層強化する意志を強調したコメントが発せられていた。しかし、近く金総書記がロシア極東ウラジオストクを訪問し、プーチン大統領と会談する可能性が取り沙汰されていることについての公式発表は依然として見送られている。
<< 欧米市場の見通し >>
先週記録したドルの年初来高値が147.87円で、先週末のNYクローズが147.80円レベル。つまり、ドルは週間を通した高値圏で越週したわけで、リスクは当然ドル高にバイアスが掛かると目されていたが、予想外の落とし穴が待っていた。本日東京時間にドルは145.90円レベルまで一時下落しており、先週高値からすると2円近くも値を下げている計算だ。まだ大きな流れ、基調そのものが変化したとは思わないのだが、150円方向に向けた動きは一旦仕切り直しになった。
市場は日米欧の金融政策への関心が高く、来週開催される米FOMCなどが注視されるなか、先でも取り上げた植田日銀総裁発言が緩和修正思惑を呼ぶと、円買いに繋がっていた。ソースである読売新聞のインタビューをよく読むと、「2%の物価安定目標の実現にはまだ距離があり、粘り強い金融緩和を続ける」としたうえで、「賃金と物価の好循環を見極めるためのデータが年内にもそろう可能性もゼロではない」と述べており、決してタカ派に転じたわけではない。むしろ極めて常識的な内容なのだが、マーケットは期待先行で動くものだけに、短期的にはもう一段の円買い進行があっても不思議はなさそうだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円は先週から一転して、ドルの下値リスクを感じる足形。ちなみに、移動平均ではドルの下値を支えてきた21日線を現在ザラ場ベースながら下回っての推移となっている。果たしてNYクローズでは上回ることが出来るのか、注視している向きも少なくない。また、仮にドルが続落した場合のサポートは145.75円レベル、そして145.25円などとなる。
本日はとくに目立った米経済指標の予定はなし。イベントなどの材料もとくになく、全体的には手掛かり材料難か。ただ、中国副首相が東方経済フォーラム出席のため訪露しており、伝えられる発表などには一応要注意だ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは145.40-146.70円。ドル高・円安方向は本稿執筆時割り込んでいる21日線が位置する146.20-35円が最初の抵抗か。超えれば東京高値の147.30円前後を目指す。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値145.90円レベルをめぐる攻防にまずは注目。割り込めば前述した145.75円や145.25円などがターゲットに。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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