連日の高値更新もドル上値は重い状況か
〇本日のドル円、前日記録した年初来高値をわずかに更新するも本邦要人の口先介入もあり上値は重い
〇神田財務官が「あらゆる選択肢排除せず」などと口先介入、強まる円買い介入への警戒感
〇「ファンダメンタルズで説明できない動き」との財務官発言に、市場関係者の思惑交錯
〇本日、7月貿易収支や8月ISM非製造業総合指数、米地区連銀経済報告などの米経済指標が発表予定
〇ドル高・円安方向は昨日と本日東京高値の147.80-85が最初の抵抗。超えれば148円台乗せうかがう
〇ドル安・円高方向は、一度回復して以降ほとんど割り込んでいない147円をめぐる攻防にまずは注目
〇欧米時間のドル円予想レンジは146.80-147.90
<< 東京市場の動き >>
6日の東京市場はドルが強保ち合い。終日を通し147円台での推移でドルは底堅かったが、円買い介入警戒もあり、終盤に掛けては伸び悩んだ。
ドル/円は147.70-75円で寄り付いたのち、147.80-85円へと小幅に上昇。前日記録した年初来高値をわずかに更新した。その後もドルは底堅く推移したものの、本邦要人からの口先介入などもあり上値は重い状態。むしろ、終盤に掛けては調整的なドル売りに押され、一時147円割れをうかがう局面も観測されている。16時現在では安値から小戻した147.20-25円で推移し、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは「当局の為替スタンス」と「中国情勢」について。
前者は、前日の欧米市場でドル/円相場は147円台をしっかりと回復。その後、本日の東京市場でも147円台の推移を続けたことで、本邦要人から久しぶりにしっかりとした「口先介入」が幾つか聞かれていた。なかでも話題になったのが、神田財務官による発言で具体的には「投機的な行動、ファンダメンタルズで説明できない動き」と「こういった動きが続くならあらゆる選択肢を排除せず対応」になる。とくに前者、「ファンダメンタルズで説明できない動き」について思惑が交錯。
ある市場筋からは、「今後日本の金利が上昇した場合、逆に円安が進行することは容認しないといった考えを示したものではないか」−−なとどいった見方も聞かれていた。
対して後者は、フィリピンやベトナム、マレーシア、インド、日本などは自国が領土や領海と主張する地域が中国領と記されたとして、強く抗議している「中国の新地図」について米国防総省も非難コメント。「インド太平洋地域でニューノーマル(新常態)を形成しようとする取り組みの一環」だと言明していた。そうしたなか、本日東京時間には、中国当局が人民元の中心レートを予想より元高水準に設定したとして話題に。予想との差は最大規模であり、これも東京でみられたドル売り・円買いの一助になっていたと指摘されている。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は、過去3週間ほど推移していた144.40-147.40円という3円レンジを上放れ。リスクは引き続きドル高で、さらなる上値トライの展望が開けた感もある。148円台乗せトライも否定できないだろう。ただ、取り上げたように当局の円買い介入警戒は強いうえ、先でも指摘したように神田財務官の発言にこれまでと異なるニュアンスを感じるところはやや気掛かりだ。甘く見ると痛い目に遭うかもしれない。
14日に予定されているECB理事会を皮切りに、翌週19-22日に予定されている米FOMCなど日米の金融政策発表への注目度は極めて高い。短期的には、そんな日米欧の金融政策について思惑の交錯するなか、本日はなかなか重要な経済指標が発表される米国情勢にまずは要注意。なお、そうしたなか米国務長官が6日にキーウを訪問すると伝えられている。要人会談など、関連ニュースにも一応注意しておきたい。
テクニカルに見た場合、ドル/円は昨日そして本日147.80-85円まで一時上昇している。連日の年初来高値更新で、リスクも間違いなくドル高方向にバイアス。ただ、市場に台頭している円買い介入警戒が上値を抑えることになりそうで、ドルの上値も依然として重い状態か。それに対する目先のサポートはまず147円レベル。昨日147円台に乗せたあとは、しっかり割り込んだことなく推移しているだけに、再び割り込んでくるようだとトレンド転換を考える必要があるかもしれない。
本日は米経済指標として、7月の貿易収支や8月のISM非製造業総合指数などが発表されるほか、米地区連銀経済報告も公表される予定だ。注意すべき要因は少なくない。またカナダ中銀による政策金利発表にも一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは146.80-147.90円。ドル高・円安方向は昨日そして本日東京高値にあたる147.80-85円が最初の抵抗。超えれば148円台乗せうかがう。
対するドル安・円高方向は、一度回復して以降ほとんど割り込んでいない147円をめぐる攻防にまずは注目。ただ割り込んでも146円半ば前後では底堅そうだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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