ドル円、ポジション調整主導で約1週間ぶり安値圏へ続落。本日は米雇用統計に注目
〇ドル円、強い米経済指標に米国時間に146.23まで上昇後145.35まで急落
〇月末ロンドンフィキシングに絡む円買い、アトランタ連銀総裁のハト派的な発言等が重石に
〇ユーロドル、ECB理事会議事要旨のハト派的内容等に1.08台前半に下落
〇ドル円、主要テクニカルポイントの上で推移、買いシグナルも継続、強い地合いを維持
〇本日発表される米雇用統計の結果次第で急反発も
〇本日の予想レンジ:144.50ー147.00
海外時間のレビュー
月末31日(木)のドル円相場は冴えない動き。(1)日経平均株価の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)や、(2)米新規失業保険申請件数(結果22.8万件、予想23.0万件)の予想比良好な結果、(3)米7月個人支出(結果+0.8%、予想+0.7%、※前月比)の市場予想を上回る結果、(4)米7月PCEデフレータ(結果+3.3%、予想+3.3%、前回+3.0%、※前年比)の伸び率昂進、(5)米7月PCEコアデフレータ(結果+4.2%、予想+4.2%、前回+4.1%、※前年比)の伸び率昂進、(6)米8月シカゴ購買部協会景気指数(結果48.7、予想44.2)の市場予想を上回る結果が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値146.23まで上昇しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(7)月末ロンドンフィキシングに絡む円買いフローの観測や、(8)米金利低下に伴うドル売り圧力(アトランタ連銀ボスティック総裁による「過度な引き締めは無用な害を及ぼす」とのハト派的な発言などを材料視)、(9)重要イベント(米8月雇用統計)を控えたポジション調整が重石となり、米国時間午後にかけて、約1週間ぶり安値145.35まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間9/1午前5時45分現在)では、145.50前後で推移しております。
月末31日(木)のユーロドル相場は急反落。アジア時間朝方にかけて、高値1.0940まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)ECB理事会議事要旨(7/27開催分)における「次回ECBスタッフ予測でインフレ予測が下方修正される可能性が高く、その場合は9月追加利上げを実施する必要はないとの主張が一部であった」とのハト派的な見解発表や、(2)シュナーベルECB専務理事による「ユーロ圏の成長率が数カ月前の予測よりも低下している」との慎重な発言、(3)上記1、2を背景としたECBによる金融引き締め休止観測、(4)米経済指標の力強い結果(米新規失業保険申請件数、米7月個人支出、米7月PCEデフレータ、米7月PCEコアデフレータ、米8月シカゴ購買部協会景気指数)、(5)月末ロンドンフィキシングに絡むユーロ売りフロー、(6)上値の重さを嫌気した短期筋の見切り売りが重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0835まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間9/1午前5時45分現在)では、1.0844前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は8/29に記録した年初来高値147.38をトップに反落に転じると、昨日は約1週間ぶり安値となる145.35まで下落しました。重要イベント(米雇用統計)を前にポジション調整が一段と進む結果となっております。但し、ダウンサイドに複数のサポートポイントが並んでいること(押し目買いポイントが断続的に複数存在するため下値余地が限定的)や、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」が継続していることなどを踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは崩れていない(足元の下落は上昇トレンドの過程で見られる一時的な押し目)と判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(ジャクソンホール会議でパウエルFRB議長はタカ派的なスタンスを強調。米経済指標も総じて力強さを維持)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米金利差拡大に伴う円キャリートレードの再開期待)、(4)株高に伴うリスク選好の円売り圧力など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
今週発表された米JOLT雇用動態調査や、米ADP雇用統計が弱かったことで、米労働市場の逼迫緩和→米インフレ鈍化期待→米FRBによる金融引き締め休止観測→米長期金利低下→米ドル売り→ドル円下落の波及経路が進んでいますが、本日発表される米雇用統計の結果次第(失業率の低下や、非農業部門雇用者数の増加、前回分のNFP上方修正、平均時給の伸び率高進などが見られれば)では、ここ数日間の下げ幅の全値戻しのシナリオ(次回9月FOMCでの追加利上げの織り込み再開→米長期金利急上昇→米ドル急伸→ドル円急伸の経路)も十分あり得ることから、当方では引き続き、ドル円相場の反発(上昇トレンド再開)をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米8月雇用統計以外にも、米8月製造業PMI確報値や、クリーブランド連銀メスター総裁講演、米8月ISM製造業景況指数、米8月ISM支払価格、米7月建設支出など、重要イベントが目白押しとなっています(海外時間帯のボラティリティ急拡大に要注意)
本日の予想レンジ:144.50ー147.00
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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