ドル円、不冴な米ADP雇用統計を受けて一時急落するも、引けにかけて全値戻し
〇ドル円、米指標不冴えからの米長期金利低下に、欧州朝方の高値146.57から、一時145.56まで急落
〇米8月ADP雇用統計は市場予想下回り、米2QGDP、コアPCEの改定値は速報値を下回る
〇終盤は米金利下げ幅縮小し146円台を回復
〇ユーロドル、独8月CPIの予想上回る上昇と米長期金利低下に1.09台を回復
〇市場の関心は週末の米8月雇用統計にシフト、方向感を見出しづらい時間帯続くか
〇本日の予想レンジ:145.50ー147.00
海外時間のレビュー
30日(水)のドル円相場は上下しつつも方向感を見出せず。(1)本邦5・10日に絡む需給要因や、(2)急ピッチな前日の下落(147.38→145.67)に対する反動買い、(3)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(4)日経平均株価の堅調推移、(5)田村日銀審議委員による「現時点においては金融緩和を継続することが妥当」との発言が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値146.57まで上昇しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(6)米8月ADP雇用統計(結果17.7万人、予想19.5万人)の市場予想を下回る結果や、(7)米4ー6月期コアPCE改定値(結果+3.7%、予想+3.8%)の市場予想を下回る結果、(8)米4ー6月期実質GDP改定値(結果+2.1%、予想+2.4%)の市場予想を下回る結果、(9)米長期金利の急低下(米2年債利回りは8/11以来の低水準となる4.84%へ急低下。米10年債利回りも8/11以来の低水準となる4.08%へ急低下)が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値145.56まで急落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(10)米長期金利の低下幅縮小や、(11)米主要株価指数の底堅い動きが支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間8/31午前5時45分現在)では、146.22前後で推移しております
30日(水)のユーロドル相場は堅調な値動き。(1)ドイツ7月輸入物価指数(結果▲13.2%、予想▲13.1%)の市場予想を下回る結果や、(2)ユーロ圏7月新車登録台数(結果▲15.2%、前回+17.8%)の冴えない結果、(3)米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、欧州時間朝方にかけて、安値1.0855まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)ドイツ8月HICP速報値(結果+6.4%、予想+6.3%)の市場予想を上回る結果や、(5)上記4を背景としたECBによる金融引き締め長期化観測、(6)米経済指標の冴えない結果、(7)米金利低下に伴うドル売り圧力が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.0945まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間8/31午前5時45分現在)では、1.0924前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は前日8/29に記録した年初来高値147.38をトップに反落に転じると、米労働市場悪化(米JOLT雇用動態調査+米ADP雇用統計)に伴う米金利低下(労働市場の逼迫緩和期待→年内利上げ観測後退→米長期金利急低下→米ドル急落)を材料に、一時145.56まで急落しました。但し、ダウンサイドに複数のサポートポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表基準線、雲上限)が並んでいる点や、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」が依然として継続点灯している点などを踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは崩れていない(下値余地は限定的)と判断できます。
事実昨日も145.56まで急落した後に、146円台前半へと自律反発するなど、下値の堅さを再確認する動きとなりました。こうした中、市場の関心は、週末に予定されている米8月雇用統計に移っています。労働市場の逼迫が本当に緩和されつつあるのか否かを見極めるまでは、ロング・ショート共にポジションを取りづらく、本日は重要イベント前の様子見ムードも相俟って、方向感を見出しづらい時間帯が続きそうです。尚、本日は米8月チャレンジャーレイオフ調査、米7月PCEデフレーター、米新規失業保険申請件数、ボストン連銀コリンズ総裁講演、米8月シカゴ購買部協会景気指数などが予定されています。
本日の予想レンジ:145.50ー147.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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