ドル円、年初来高値更新後に急反落。米求人件数の不冴えがドル売りの背景
〇ドル円、株価の堅調等に米国時間に147.38まで上昇後、145.67まで急落
〇市場予想を、大幅に下回る米7月JOLTS雇用動態調査、米8月消費者信頼感の不冴え等が背景
〇ユーロドル、欧州指標不冴えで1.08割れの後、米長期金利低下で1.0892まで急伸
〇ドル円、主要テクニカルポイントの上で推移、買いシグナルも継続、下落余地は限定的か
〇ADP雇用報告、雇用統計の結果次第では、再び米労働市場の逼迫が確認される可能性も
〇引き続き、ドル円相場の反発をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:145.25ー146.75
海外時間のレビュー
29日(火)のドル円相場は急伸後に急反落。(1)日米金融政策の方向性の違いに着目したドル買い・円売り(米長期金利上昇→日米金利差拡大→円キャリートレード継続)や、(2)株式市場の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)、(3)心理的節目147.00突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売りが支援材料となり、米国時間朝方にかけて、年初来高値147.38(昨年11/7以来の高値圏)まで急伸しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)米7月JOLTS雇用動態調査(結果882.7万件、予想は950.0万件)の市場予想を大幅に下回る結果(約2年ぶり低水準)や、(5)米8月コンファレンス・ボード消費者信頼感指数(結果106.1、予想116.0)の不冴な結果、(6)上記4、5を背景とした米FRBによる追加利上げ観測の大幅後退(労働市場の逼迫緩和期待→年内利上げ観測後退→米長期金利急低下→米ドル急落)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値145.67まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間8/30午前5時30分現在)では、145.78前後で推移しております。
29日(火)のユーロドル相場は下落後に急反発。(1)米金利上昇に伴うドル買い圧力や、(2)欧州債利回り低下に伴うユーロ売り圧力、(3)ドイツ9月GFK消費者信頼感指数(結果▲25.5、予想▲24.5)の市場予想を下回る結果が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0782まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)米7月JOLTS雇用動態調査の市場予想を大幅に下回る結果や、(5)米8月コンファレンス・ボード消費者信頼感指数の冴えない結果、(6)上記4、5を背景とした米長期金利の急低下、(7)短期筋のショートカバーが支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値1.0892まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間8/30午前5時30分現在)では、1.0884前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は年初来高値更新後に急落する展開となりましたが、ダウンサイドに複数のサポートポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表基準線、雲上限)が並んでいること(押し目買いポイントが複数存在していること)や、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」が継続点灯していること等を踏まえると、ここからの更なる下落は容易では無い(下落余地は限定的)と判断できます。昨日は、米7月JOLTS雇用動態調査のネガティブサプライズを受けて、労働市場の逼迫緩和期待→年内利上げ観測後退→米長期金利急低下→米ドル急落の流れが加速しましたが、本日発表される米8月ADP雇用報告や、週末に予定されている米8月雇用統計の結果次第では、再び労働市場の逼迫が確認される可能性もあるため、全ての雇用関連指標を見極めるまでは、安易にドル売りで追いかけることは危険と考えられます。
結果として、本日は昨日の急落分に対する反動(自律反発)が出易い他、日銀による金融緩和の長期化観測(円キャリートレード継続期待)や、株高に伴うリスク選好ムード(リスクオンの円売り圧力)も、ドル円を下支えすると見られるため、当方では引き続き、ドル円相場の反発をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米MBA住宅ローン申請指数や、米8月ADP雇用報告、米4ー6月期GDP統計改定値、米7月中古住宅販売成約指数などに注目が集まります。
本日の予想レンジ:145.25ー146.75
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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