Jホール会合に注目、ドル上値は重い展開か
〇先週のドル円、週明け8/14から8/17まで4日連続で年初来高値を更新、146.56を示現する局面も
〇基本的なリスクはドル高方向だが、目先はこれまでの調整と思しきドル売りの動きが先行か
〇円買い介入警戒が非常に強いが要人発言から強い切迫感はまだ伺えず実弾介入は150円近くなってからか
〇8/24-26のジャクソンホール会合でのパウエル議長の講演に注目が集まる
〇中国・碧桂園の総額2250万ドルの利払い不履行や、恒大集団の連邦破産法15条適用申請も注視される
〇今週のドル円予想レンジは143.30-146.80、ドル安円高方向は先週末安値144.93をめぐる攻防に注目
〇ドル高円安方向の強い抵抗は先週高値146.56、145円後半や146円も弱い抵抗であり、上値は重そう
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場はドルが小幅に続伸。一時146円台半ばまで上昇し年初来高値を更新するも、終盤にかけてはやや伸び悩みの様相だった。
前週末は、台湾副総統が経由地として米NYへ立ち寄ったことに、中国サイドが強烈な不満を示す。一方、実施されていた核拡散防止条約(NPT)再検討会議準備委だが、閉会にともなう議長総括案を提示できず。イランが核開発に関する内容に猛反発したことなどで、記録として残すことができなかったという。
そうした状況下、ドル/円は144.90円レベルで寄り付いたのち、週間安値の144.65円を示現。しかし、その後週の半ばに掛けては一転してドル買いが優勢となった。週明け14日から17日まで4日連続で年初来高値を更新し、一時は146.56円を示現する局面も観測されている。ただ、週末にかけては再びドル売りに押されると一時145円を割り込むなど「行って来い」。結局、週末NYは145円台を回復し、145.40円レベルで越週した。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「中国情勢」と「日本の為替政策」について。
前者は、中国の不動産大手「碧桂園(カントリー・ガーデン)」が6日、ドル建て債2本の利払い(総額2250万ドル)を履行できず、テクニカルデフォルトに陥ったことは記憶に新しい。それ以外でも中国不動産市場の危機感があれこれと取り沙汰されるなか、17日には以前から危機的状況が指摘されていた中国恒大集団がついに「NYで連邦破産法15条の適用申請した」−−と発表し物議を醸していた。一方、それとは別にブルームバーグが「中国警察、影の銀行投資家の抗議参加をけん制」とレポートしたうえで、当局が金融不安の拡大による混乱を懸念していることが改めて示唆された、と報じていたもよう。さらに、景気や雇用の悪化も別途警戒されており、まさに弱り目に祟り目。悪材料が次から次へと噴出する負の連鎖が止まらない。
対して後者は、ドル/円の実勢相場が昨年9月、政府・財務省が円買い介入を実施した145円レベルを超えている時間帯が週間を通して長かったこともあり、市場筋のあいだでは円買い介入警戒が非常に強い状況だ。実際、15日には鈴木財務相から「為替はファンダメンタルズを反映し安定推移が重要」、「投機筋の動きがあればしかるべき措置をとる」−−といった口先介入も観測されている。しかし、前述した昨年9月とは日本のファンダメンタルズや、金融市場を取り巻く環境なども異なるためか、要人発言からは当時ほど強い切迫感はまだうかがえないようだ。実弾介入はもう少し先で、150円近くなってからといった声も聞かれていた。
<< 今週の見通し >>
ドル/円相場は16日まで8営業日連続の陽線引け。そして、一連の過程のなかで年初来高値を更新し146.56円を示現している。基本的なリスクはドル高方向で間違いなさそうだが、短期的に若干の風向きの変化を感じられることは気掛かりだ。今週は週末に向け注目材料を控えていることもあり予断を許さないものの、目先はこれまでの調整と思しきドル売りの動きが先行しても不思議はない。
日米金融政策への関心が依然として高いなか、今週は24-26日に開催されるジャクソンホール会合にまずは注目だ。ちなみに、パウエルFRB議長は25日のシンポジウムで講演を行う予定とされ、また内容についても「基本的には引き締め姿勢を示す」といった見方が一般的。一方、それ以外で気になるのは中国情勢。前述した恒大集団の「米連邦破産法15条の適用申請」などを受けた直接的な影響、そして他社への広がりなど気になる要因は目白押しだ。状況如何では、ジャクソンホール会合以上に相場の波乱要因となる危険性も取り沙汰されていた。
テクニカルに見た場合、ドル/円相場は高値151.94円を起点とした大きな下げ幅のフィボナッチ76.4%戻し(146.10円)も先週一時上回るなど、ドルの続伸が期待されている。当局の円買い介入警戒なども聞かれるなか、長い目で見た場合には150円方向へ向けた動きを予想する向きが少なくない。
しかし、上げ過ぎの感もあるため、短期的には調整を見込む向きも多く一時的な続落にも要注意だ。週明けの段階ですでに143円台、週末には144円近くまで達する見込みの移動平均21日線をめぐる攻防を気に掛ける向きもある。
今週は、8月の製造業PMI速報値や同ミシガン大消費者信頼感指数確報値などの米経済指標が発表されるほか、今週最大の注目要因とみられるジャクソンホール会合も開催される予定だ。また中国などが参加するBRICS首脳会議を注視する声も別途聞かれていた。
そんな今週のドル/円予想レンジは、143.30-146.80円。ドル高・円安について、強い抵抗は先週示現した高値146.56円。また、その手前である145円後半や146円なども弱い抵抗であり、ドルの上値は重そうだ。
対してドル安・円高方向は、先週末安値の144.93円をめぐる攻防にまず注目。割り込むと144円割れを目指す。底堅いイメージで、21日線をしっかり割り込む展開まではないと予想する。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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