ドル円、米金利上昇と米株上昇を背景に142円台半ばへ持ち直す展開
〇ドル円、アジア時間に141.52まで下落後、株価堅調、米金利上昇に米国時間に142.60まで急伸
〇ユーロドル、1.10を挟んで方向感に欠ける動き
〇ドル円、ローソク足が主要テクニカルポイントの上で推移、買いサインも継続、地合い強い
〇ファンダメンタルズも日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレード活発化期待がサポート
〇ドル高・本日の予想レンジ:142.00ー143.00
〇円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想
海外時間のレビュー
週明け7日(月)のドル円相場は堅調な値動き。(1)前週末金曜日に発表された米7月雇用統計後のドル売りの流れの継続や、(2)米金利低下に伴うドル売り圧力、(3)日経平均株価の冴えない動き(リスク回避の円買い圧力)が重石となり、アジア時間朝方にかけて、約1週間ぶり安値となる141.52まで下落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)日経平均株価の持ち直し(リスク回避ムードの後退)や、(5)米主要株価指数の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)、(6)ボウマンFRB理事による「インフレ率をFRBが目標とする2%に引き下げるためには追加利上げが必要になる公算が大きい」とのタカ派的な発言、(7)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値142.60まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間8/8午前5時15分現在)では、142.50前後で推移しております。尚、昨日はニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁より「経済データ次第で来年初めの利下げの可能性を排除しない」とのハト派的な見解が示されましたが、ドル売りでの反応は限定的となりました。
週明け7日(月)のユーロドル相場は方向感に欠ける展開。アジア時間早朝にかけて、高値1.1020まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)米金利上昇に伴うドル買い圧力や、(2)ECBによる金融引き締め休止観測、(3)ドイツ6月鉱工業生産(結果▲1.7%、予想▲0.2%、※前年比)の市場予想を下回る結果が重石となり、欧州時間朝方にかけて、安値1.0965まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)ユーロ圏8月投資家センチメント指数(結果▲18.9、予想▲24.3、前回▲22.5)の良好な結果や、(5)欧州株の底堅い動き、(6)欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間8/8午前5時15分現在)では、1.1002前後まで持ち直す動きとなっております。
本日の見通し
ドル円は8/3に記録した約1カ月ぶり高値143.88をトップに反落に転じると、昨日アジア時間に一時141.52まで急落しましたが、一巡後に下げ渋ると、海外勢参入後に142円台半ばまで持ち直す動きとなりました(下値の堅さを再確認)。日足ローソク足が依然として主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線、基準線、ボリンジャーミッドバンド、21日線、50日線、90日線、200日線)の上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、これまで述べてきた通り、(1)米FRBによる年内追加利上げ観測の残存(労働需給のひっ迫継続→賃金インフレ継続→利上げサイクル継続にも係わらず米経済は堅調さを維持→追加利上げ観測再燃)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測(日銀は指値オペを通じて円金利の上昇を抑え込む姿勢を明確化)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレードの活発化期待など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。
但し、本日は米6月貿易収支(21:30)や、米6月卸売売上高(23:00)、フィラデルフィア連銀ハーカー総裁講演(21:15)、リッチモンド連銀バーキン総裁講演(21:30)以外に目立った経済イベントが予定されておらず、また、市場の関心が早くも週後半に予定されている米国のインフレ指標(8/10の米7月消費者物価指数、8/11の米7月生産者物価指数)に移っているため、本日に限ってみれば、「新規材料難」と「様子見ムード」の影響で動意に乏しい動きとなりそうです(142円台半ばを中心としたレンジ相場を想定)。
本日の予想レンジ:142.00ー143.00
ドル円日足
ドル円日足
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