ドル円、約1カ月ぶり高値更新後に急落するなど荒い値動き。本日は米雇用統計に注目
〇ドル円、日中の高値143.88から深夜にかけ142.06まで急落、142.65レベルでの推移
〇介入警戒感、株価の軟調、7月ISM非製造業景況指数等の米指標の不冴えが背景
〇ユーロドル、欧州朝方1.0913まで下落後、米長期金利上昇幅縮小等に1.0947まで反発
〇ドル円、主要テクニカルポイントの上で推移、買いサインも継続、地合い維持
〇ファンダメンタルズも日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレード活発化期待がサポート
〇本日、米雇用統計発表後のドル円急伸要注意
〇本日の予想レンジ:141.75-144.25
海外時間のレビュー
3日(木)のドル円相場は急伸後に急反落。(1)中国7月財新メディア非製造業PMI(結果54.1、予想52.4)の市場予想を上回る結果や、(2)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(3)日銀による臨時の国債買い入れオペの通知が支援材料となり、アジア時間午後にかけて、約1ヵ月ぶり高値となる143.88(7/7以来の高値圏)まで急伸しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)政府・当局による介入警戒感(松野官房長官は「為替動向や日本経済・物価への影響、日銀とも緊密に連携しつつしっかり注視している」と発言)や、(5)日経平均株価の大幅続落(リスク回避の円買い圧力)、(6)米新規失業保険申請件数(結果22.7万件、予想22.5万件)の冴えない結果、(7)米4ー6月期単位労働コスト速報値(結果+1.6%、予想+2.5%)の市場予想を下回る結果、(8)米7月ISM非製造業景況指数(結果52.7、予想53.1)の市場予想を下回る結果が重石となり、日本時間0時過ぎに、安値142.06まで急落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、引けにかけて持ち直し、本稿執筆時点(日本時間8/4午前3時00分現在)では、142.65前後で推移しております。
3日(木)のユーロドル相場は下落後に持ち直す展開。(1)米金利上昇に伴うドル買い圧力や、(2)欧州株の冴えない動き、(3)ユーロ圏7月総合PMI(結果48.6、予想48.9)および、ユーロ圏7月非製造業PMI(結果50.9、予想51.1)の市場予想を下回る結果が重石となり、欧州時間朝方にかけて、安値1.0913まで下落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)米経済指標(米新規失業保険申請件数、米4ー6月期単位労働コスト速報値、米7月ISM非製造業景況指数)の冴えない結果や、(5)パネッタECB専務理事による「金融政策は利上げだけでなく、現行の金利水準を長く維持することでも機能する可能性」とのタカ派的な発言(ECBによる早期利下げ観測の後退)、(6)米長期金利の上昇幅縮小が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値1.0963まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間8/4午前3時00分現在)では、1.0947前後で推移しております。尚、昨日発表されたユーロ圏6月PPI(結果▲3.4%、予想▲3.2%)は市場予想を下回る結果となりましたが、市場の反応は限定的となりました。
本日の見通し
ドル円は約1カ月ぶり高値(143.88)記録後に142.06まで急落する荒々しい値動きとなりましたが、日足ローソク足が依然として主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線、基準線、雲上限、21日移動平均線、ボリンジャーミッドバンド)の上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」および「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること、4時間足などの下位足で強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは崩れていない(昨日の下落は上昇トレンドの過程で見られる一時的な押し目→一巡後の反発リスクに要警戒)と判断できます。
ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(年内追加利上げ観測残存→米長期金利に上昇圧力→米10年債利回りは昨年11/8以来の高水準となる4.20%へ急上昇→対主要通貨でのドル買い圧力)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測(日銀は指値オペを通じて円金利の上昇を抑え込む姿勢を明確化→金融緩和の長期化観測再燃→対主要通貨での円売り圧力)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレードの活発化期待(日米10年債利回りスプレッドは前週末金曜日時点の335bpから356bpへ急拡大→ドル買い・円売りを後押し)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
パウエルFRB議長は先週開催されたFOMC後の記者会見で、今後の利上げ有無はデータ次第とのスタンスを強調したため、本日21:30に予定されている米7月非農業部門雇用者数が市場予想の19.9万人を上回る場合や、前回分の20.9万人が上方修正される場合、米7月平均時給が市場予想の+0.3%を上回る場合、米7月失業率が市場予想の3.6%を下回る場合などには、「労働市場の力強さを再確認→潜在的なインフレリスク→米利上げ観測再燃→米金利急上昇→米ドル買い」の経路で、6/30に記録した直近高値145.07をめがけて上昇する展開も想定されるため、当方では引き続き、ドル円相場の急伸をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:141.75ー144.25
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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