ドル円、日銀による連日の指値オペ発表で心理的節目143円を明確に突破
○ドル円、連日の指値オペ発表にともなう円金利低下で、米国時間午後にかけて高値143.55まで急伸
○ユーロドル、ECBによる金融引き締め休止観測などが重石となり米国時間朝方にかけて1.0952まで下落
○日足ローソク足が主要テクニカルポイントを軒並み上抜け、地合いの好転を強く印象付けるチャート形状
○ファンダメンタルズも、FRBの金融引き締め、日銀の緩和の長期化観測等がドル円をサポート
○直近高値145.07に向けて一気に上げ幅拡大の可能性も、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想
○本日の予想レンジ:142.50ー144.25
海外時間のレビュー
1日(火)のドル円相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値142.21まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)日銀が連日で指値オペの通知を発表したことや、(2)上記1を背景に円金利が低下したこと(事実上の上限である1%に到達するまで予想以上に時間がかかるとの思惑→円キャリートレード活発化)、(3)日経平均株価の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)、(4)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(5)シカゴ連銀グールズビー総裁による「利上げを終えるためにはさらなるインフレ緩和の証拠がほしい」とのタカ派的な発言が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値143.55(7/7以来の高値圏)まで急伸しました。
もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(6)アトランタ連銀ボスティック総裁による「9月に利上げが必要になるとは思わない」とのハト派的な発言が重石となり、本稿執筆時点(日本時間8/2午前5時45分現在)では、143.35前後で推移しております。尚、昨日発表された米7月ISM製造業景況指数(結果46.4、予想46.8)や、米6月JOLT雇用動態調査(結果958.2万人、予想965.0万人)は共に市場予想を下回りましたが、ドル売りでの反応は限定的となりました。
1日(火)のユーロドル相場は軟調推移。アジア時間朝方にかけて、高値1.1003まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)ECBによる金融引き締め休止観測(先週開催されたECB理事会後の記者会見でラガルド総裁は「9月以降の決定はオープン」「短期的な景気見通しは悪化」「サービス業の勢いは減速し製造業も弱い外需によって抑制されている」とハト派的な見解を発表)や、(2)中国7月Caixin製造業PMI(結果49.2、予想50.3)の冴えない結果、(3)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(4)欧州株の軟調推移が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0952まで下落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間8/2午前5時45分現在)では、1.0983前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は7/14に記録した安値137.24をボトムに切り返すと(90日移動平均線や200日移動平均線をバックに押し目買い圧力が強まると)、昨日は一時143.55(7/7以来の高値圏)まで急伸しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線、基準線、雲上限、21日移動平均線、ボリンジャーミッドバンド)を軒並み上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」や「ダウ理論の短期上昇トレンド」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの好転を強く印象付けるチャート形状となりつつあります。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(年内追加利上げ観測再燃→米金利上昇→対主要通貨でのドル買い圧力)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測(日銀は連日の指値オペを通じて円金利の急騰を抑え込む姿勢→円金利の上昇リスク後退→対主要通貨での円売り再開)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレード再開の思惑、(4)世界的な株高地合とそれに伴うリスク選好の円売り圧力など、ドル円相場の更なる上昇を連想させる材料が揃っています。今晩21:15に予定されている米7月ADP雇用統計が市場予想を上回る結果となれば、ドル円が6/30に記録した直近高値145.07に向けて一気に上げ幅を広げる展開も想定されるため、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします(ボラティリティの拡大に要警戒)。
本日の予想レンジ:142.50ー144.25
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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