米経済指標に一喜一憂もドルは基本底堅い
〇本日のドル円、前日高値を超える142.85レベルまでドル高・円安が進行、ドル続伸の展開
〇昨日東京夕方に3週間ぶりの142円台を回復後、一度も142円を割り込むことなく推移
〇ドル高進行スピードが非常に速いところは気掛かりだが、リスクはドル高方向にバイアス掛かる
〇短期的にはISM製造業景況指数など、発表される米経済指標に注目
〇欧米時間のドル円予想レンジは142.10-143.30、ドル高・円安方向は142.85レベルが最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、142円レベルが最初のサポート
<< 東京市場の動き >>
1日の東京市場は小幅にドルが続伸。前日高値を超え、142.85円レベルまでドル高が進行している。
ドル/円は142.25-30円で寄り付いたのち、当初は低位揉み合い。上値も重く上げ渋ったが、上抜けると前日高値を超える142.85円レベルまでドル高・円安が進行した。なお、一連の過程でレベル的な意味合いもあってか、鈴木財務相から「為替は安定的推移が望ましい」とするごく初期の円安けん制発言が聞かれていたようだ。16時現在では小緩んだ142.60-65円で推移し、欧米市場を迎えている。
それとは別に豪ドルが軟調裡。発表された同国中銀による「政策金利据え置き」が嫌気され、失望の豪ドル売りがかさんでいたという。
一方、材料的に注視されていたものは「中国情勢」と「日本の金融政策」について。
前者は、本日から月替わり、名実とも8月入りすることで幾つか興味深い事象が観測されている。そのひとつは香港証取が、企業の上場申請にともなう「中国事業リスクの明記義務」を1日付で撤廃したこと。また、それとは別に中国政府が同様に1日から、半導体の原材料として使われる鉱物資源のガリウムとゲルマニウムの輸出管理を厳格化している。一方、1ヵ月後の9月1日からの実施として、中国商務省が一部のドローンや関連機器の輸出を規制すると発表したことも話題になっていたという。
対して後者は、日銀は先週末7月28日の会合で「イールドカーブ・コントロール(YCC)運用の柔軟化」を決定。そんな日銀の発表後も金融市場では依然として修正期待は根強くくすぶるが、本日東京時間に後藤経済相は「日銀が金融緩和姿勢変えたとは受け止めない」、松野官房長官も「物価目標の安定的実現に向けた適切な金融政策を期待する」などと発言しており、過度の思惑に釘を刺していた。なお、そうしたなかブルームバーグは「日銀の年内政策変更の予想は1割未満」としたうえで、エコノミストが想定する次の政策変更のタイミングが大きく後ズレしていると報じていたようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は過去3週間程度推移していたレンジ上限の142円を超え、本日東京時間には142.85円レベルまで上値を広げている。ドル高進行スピードが非常に速いところは気掛かりだが、リスクそのものはドル高方向にバイアスが掛かるか。ちなみに、高値145.07円を起点とした下げ幅のフィボナッチでは61.8%戻しをすでに超えており、次のターゲットは76.4%戻しの143.20-25円。それも超えれば、いよいよ100%戻しが意識されそうだ。
日本の金融政策について根強い早期修正期待観測も取り沙汰されているものの、前述した後藤経済相らの発言に加え、日銀が連日でしっかり国債買い入れオペを入れてきたことで、円強気派の旗色が少しずつ悪くなってきた感を否めない。結果、日米金利差に着目すればドル高有利などといった指摘も聞かれるなか、ごく短期的には発表される米経済指標に注目か。本日もISM製造業景況指数などの内容如何では乱高下の可能性もある。
テクニカルに見た場合、ドル/円は昨日東京夕方に3週間ぶりの142円台を回復後、一度も142円を割り込むことなく推移している。上昇スピードの速さ、ポジションの偏りは気になるものの、仮に調整が入っても下値はかなり堅そうなイメージだ。
ただ、一目均衡表の先行帯の雲は本日141.10-20円に位置するが、明日は141円後半そして週末には142円台へとレベルを切り上げてくる。一連の動きのなかで、日足が雲の中に埋没。ドル高の動きが再び一服するといった見方も取り沙汰されていた。
本日は米経済指標として、7月の製造業PMI確報や同ISM製造業景況指数などが発表される予定となっている。また昨日からはじまった核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けた準備委員会の動きも気になるところだ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは142.10-143.30円。ドル高・円安方向は本日東京高値の142.85円レベルが最初の抵抗。超えれば143円台乗せ、フィボナッチポイントの143.20-25円を目指す。
対するドル安・円高方向は、昨日142円台に乗せたあと、ほぼ下回っていない142円レベルが最初のサポート。ただ下回っても底堅そうで、141.60円などでは一度下げ止まるか。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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