ドル円見通し 7月28日の波乱通過から連騰で142円台を回復(23/8/1)

142円台へ続伸、夜高値で142.67円を付けて7月21日高値141.94円を上抜いた。その後も142円台を維持している。

ドル円見通し 7月28日の波乱通過から連騰で142円台を回復(23/8/1)

ドル円見通し 7月28日の波乱通過から連騰で142円台を回復

〇ドル円、7/31は142円台へ続伸、夜に142.67を付け7/21高値141.94を上抜く、その後も142円台維持
〇7/14安値137.24を起点として、三段目の上昇期に入る可能性も
〇日銀のYCC修正により国内10年債利回りがおよそ9年ぶりの高水準に達するも、円安継続
〇米長期債利回りは横ばい、米株価は2連騰
〇142円以上での推移中は、142.67超えから143円台序盤への上昇を想定する
〇141.70割れからは、141円台序盤への下落を想定する

【概況】

ドル円は7月28日の日銀金融政策決定会合の結果発表を受けて直前の139円台序盤から高値141.03円へ急伸した直後に安値138.06円へ急落し、乱高下が落ち着くと上昇再開に入って先週末29日早朝に141円台へ戻して乱高下による急落幅を解消したが、週明けの31日も当面の円買い材料を消化したとして142円台へ続伸、夜高値で142.67円を付けて7月21日高値141.94円を上抜いた。その後も142円台を維持している。
6月30日高値145.06円から7月14日安値137.24円まで7.82円の下落幅となり52日移動平均を割り込んだが、7月21日高値への反発では26日移動平均が上値抵抗線となったものの昨夜の上昇で7月21日高値を超えて26日移動平均も再び上抜いた。
状況的には昨年7月14日高値から8月2日安値まで8.97円の下落後の反騰時に近い動きであり、今年1月16日安値を起点とした上昇が3月8日高値までを一段目とし、6月30日高値までを二段目とし、7月14日安値を起点として三段目の上昇期に入る可能性も出てきていると思われる。

【日銀のYCC修正と国内10年債利回り上昇でも円安継続】

日銀がYCC(イールドカーブコントロール=長短金利操作)における長期金利変動許容上限を従来の0.5%から事実上1.0%まで引き上げたことにより国内長期債利回りが上昇している。長期金利指標の新発10年債の流通利回りは31日に一時0.605%を付けて2014年6月以来およそ9年ぶりの高水準に達した。7月28日の日銀金融政策発表前は0.40%台であり、YCC修正による利回り上昇余地が拡大したとして債券売り・利回り上昇反応となっている。

本来なら国内10年債利回りが顕著な上昇となれば日米金利差面からはドル売り円買いを助長するものだが、日銀は長期金利上昇に対する抑制姿勢を継続しており、31日も臨時の公開市場操作で3000億円規模の国債買いを実施したため、市場としてはYCC修正による長期債利回り上昇は一定水準までにとどまり、日銀の長期金利上昇抑制と金融緩和政策の基本は変わらないとして円安を継続した。
ただし、長期金利の上昇により日銀が金融緩和政策からの出口へ向かっているとの認識が強まることを政権与党は危惧しており、自民党の世耕参院幹事長は31日に「緩和からいよいよ離脱を始めるメッセージが出始めたと思っている。緩和姿勢を改めることになったら日本経済を一気に冷やしてしまう。極めて要注意」と述べている。

【米長期債利回りは横ばい、ダウは13連騰一服後に2連騰】

7月31日の米長期債利回りは揃って先週末終値から横ばいとなった。長期金利指標の10年債利回りは先週末と変わらず3.96%、30年債利回りも先週末と変わらず4.01%、2年債利回りも先週末と変わらず4.88%だった。
米10年債利回りは夕刻にかけて上昇したものの夜は低下に転じた。
米MNIインディケーターズによる7月のシカゴ購買部景況指数は42.8で6月の41.5から上昇したものの市場予想の43.0を下回ったために市場の反応は鈍かった。
一方でNYダウは前日比100.24ドル高と上昇した。7月10日から7月26日まで1987年1月以来の13連騰となり、27日に反落して連騰が途切れたものの28日の176.57ドル高からの連騰で上昇基調の継続感を示した。FRBによる利上げサイクルが終局に近付く中、これまでの金融引き締めによる景気への圧迫感は薄いとして先高期待が優勢のようだ。ナスダック総合指数も29.36ポイント高と上昇して28日からの連騰となった。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は7月28日の乱高下で138.06円まで安値を切り下げたが、7月14日午前安値137.24円割れを回避して反騰入りし、7月21日高値を超えたことで7月14日安値を起点とした上昇が二段目に入っている。141円台後半まででしっかりするうちは8月1日の日中から8月4日にかけての間への上昇余地ありとする。ただし、急騰後の反動安にも注意がいるところであり、141.70円割れを弱気転換注意とし、141.30円割れからはいったん下げに入るとみて8月2日の日中から4日の日中にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では7月28日夜への反騰で遅行スパンと先行スパンがともに好転し、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とする。遅行スパンが悪化するところからはいったん下げに入るとみて先行スパン上限を試す下落を想定するが、先行スパンを上回った状況を維持するうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とみる。

60分足の相対力指数は7月31日夜への上昇で70ポイント台に到達してからやや下げたものの60ポイント以上を維持している。相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落注意とする。60ポイント割れからは40ポイント台を試す下落を想定するが、50ポイント前後まで下げてからの反発で60ポイントを超えるところからは上昇再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、141.70円を下値支持線、7月31日夜高値142.67円を上値抵抗線とする。
(2)142円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは142.67円超えから143円台序盤への上昇を想定する。143円到達では売られやすいと注意するが、142円台を維持しての推移なら2日午前も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)141.70円割れからは141円台序盤への下落を想定する。141.30円以下へ下げてから142円超えへ反騰する場合は上昇再開から一段高へ進む可能性ありとするが、141.50円以下での推移なら2日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

8/1(火)
休場 スイス、タイ
10:30 (豪) 6月 住宅建設許可件数 前月比 (5月 20.6%、予想 -8.0%)
10:45 (中) 7月 財新製造業PMI (6月 50.5、予想 50.3)
13:30 (豪) 豪中銀(RBA) 政策金利 (現行 4.10%、予想 4.35%)
15:00 (英) 7月 ネーションワイド住宅価格 前月比 (6月 0.1%、予想 -0.2%)
16:55 (独) 7月 製造業PMI・改定値 (速報 38.8、予想 38.8)
16:55 (独) 7月 失業者数 前月比 (6月 2.80万人、予想 2.00万人)
16:55 (独) 7月 失業率 (6月 5.7%、予想 5.7%)

17:00 (欧) 7月 製造業PMI・改定値 (速報 42.7、予想 42.7)
17:30 (英) 7月 製造業PMI・改定値 (速報 45.0、予想 45.0)
18:00 (欧) 6月 失業率 (5月 6.5%、予想 6.5%)
22:45 (米) 7月 製造業PMI・改定値 (6月 49.0、予想 49.0)
23:00 (米) 7月 ISM製造業景況指数 (6月 46.0、予想 46.8)
23:00 (米) 6月 建設支出 前月比 (5月 0.9%、予想 0.6%)
23:00 (米) 6月 JOLTS(雇用動態調査)求人件数 (5月 982.4万件、予想 961.0万件)

8/2(水)
英中銀金融政策委員会(MPC)初日
07:45 (NZ) 4-6月期 就業者数 前期比 (1−3月 0.8%、予想 0.6%)
07:45 (NZ) 4-6月期 就業者数 前年同期比 (1-3月 2.5%、予想 3.0%)
07:45 (NZ) 4-6月期 失業率 (1-3月 3.4%、予想 3.5%)
08:50 (日) 7月 マネタリーベース 前年同月比 (6月 -1.0%)
08:50 (日) 日銀・金融政策決定会合議事要旨
21:15 (米) 7月 ADP非農業部門民間就業者数 前月比 (6月 49.7万人、予想 18.5万人)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計



注:ポイント要約は編集部

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