トルコリラ円見通し ドル円の続伸を追いかけて2連騰(23/8/1)

トルコリラ円の7月31日は概ね5.30円から5.21円の取引レンジ、8月1日早朝の終値は5.28円で先週末終値の5.25円からは0.03円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円の続伸を追いかけて2連騰(23/8/1)

トルコリラ円見通し ドル円の続伸を追いかけて2連騰

〇トルコ円、7/31午前5.21まで下げるも買われ、ドル円が続伸したことで夜5.30まで高値を切り上げる
〇対ドル、7/31は概ね26.98から26.70の取引レンジ、7/19安値から7/21高値レンジ内の三角持ち合い
〇海外観光客と観光収入は改善傾向、今週は重要指標の発表が相次ぐ
〇5.26以上での推移中は上昇余地ありとし、5.30超えからは5.33前後への上昇を想定する
〇5.26割れからは、5.25、5.24を順次試す下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の7月31日は概ね5.30円から5.21円の取引レンジ、8月1日早朝の終値は5.28円で先週末終値の5.25円からは0.03円の円安リラ高だった。
対ドルでトルコリラの暴落商状が落ち着く中、トルコリラ円はドル円の騰落を追いかける展開となっているが、ドル円は7月28日の日銀金融政策決定会合から乱高下したものの28日夜から上昇再開に入り、週明けの31日も連騰で142円台へ高値を伸ばした。

トルコリラ円は7月18日に5.08円まで史上最安値を大幅に更新してから円安を頼りに7月21日に5.27円まで戻し、ドル円が反落に入ったことで7月24日から27日まで4営業日続落していたが、ドル円が28日に乱高下した局面で直前の5.16円から5.23円へ急伸してから5.12円へ急落した。しかし、ドル円が乱高下を通過して上昇再開に入った流れを追いかけて先週末の29日早朝は5.25円まで戻していた。
7月31日は午前の小反落で5.21円まで下げたところを買われ、ドル円が31日夜へ続伸したことで5.30円まで高値を切り上げた。7月21日高値を超えたことで7月18日安値と7月28日の乱高下時の安値をダブル底型として高値を試す流れへ入ってきた印象だ。

【対ドルでは暴落一服の三角持ち合い】

ドル/トルコリラの7月31日は概ね26.98リラから26.70リラの取引レンジ、8月1日早朝の終値は先週末終値と変わらず26.90リラだった。
5月28日の大統領選挙におけるエルドアン大統領再選をきっかけとしたリラ暴落で選挙結果前の19.90リラ台から6月13日安値23.76リラへ暴落し、小持ち合いを経て6月22日のトルコ中銀による利上げ幅を不服として6月28日安値26.19リラへと一段安となり、26リラを挟んで揉み合いながら徐々に安値を切り下げ、7月20日のトルコ中銀による追加利上げを催促して7月19日には27.16リラへ史上最安値を更新してきた。

7月20日にトルコ中銀が2.5%の追加利上げを決定して今後もインフレ抑制への追加利上げを続ける姿勢を示したことにより、リラの暴落商状は落ち着いているが、7月19日安値27.16リラから7月21日高値26.48リラへ戻した後はこの高安レンジ内にとどまり、徐々にレンジを縮小する三角持ち合いの様相となっている。
6月13日への第一段階の暴落も三角持ち合いでの小康状態から6月28日へ第二段階の暴落へ進んでおり、現状も中長期的なリラ安の中での小康状態と思われ、リラ高への基調転換を促す強烈なきっかけとなる材料が出てこないうちは再び最安値更新を試す流れへ進みかねないところと思われる。

【海外観光客と観光収入は改善傾向】

7月31日にトルコ文化観光庁が発表した6月の海外観光客数は558万4021人だった。2019年6月の531万8984人からパンデミック発生直後の2020年6月には21万7768人へ激減したが、その後は徐々に回復しており、2021年6月は204万7596人、2022年6月は501万4821人となり、2023年6月は前年比11.35%の増加でパンデミック前の水準を回復した。年初からの累計も1961万8196人で前年同期からは19.88%の増加だった。
6月の入国上位はロシア(14.7%)、ドイツ(12.3%)、英国(9.1%)、ブルガリア(4.5%)、ポーランド(4.3%)、年初からの累計ではロシア(13.3%)、ドイツ(11.6%)、英国(7.6%)、ブルガリア(6.7%)、イラン(5.1%)となっている。

4-6月期の観光収入は129億8000万ドルで1-3月期の86億9000万ドルから増加し、前年同期の105.4億ドル、パンデミック前の2019年同期(91.3億ドル)を上回った。
トルコは貿易収支が慢性的な赤字であり、観光収入等が経常赤字を埋め合わせており、順調な回復はトルコにプラスであり、リラ暴落も観光客にとっては割安感で支出の増加をもたらしているといえるが、リラ高を助長するほどではない。
今週は8月1日のイスタンブール製造業PMI、8月2日の貿易統計速報、8月3日の7月消費者物価指数と重要指標が相次ぐ。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、7月28日の乱高下を通過してからドル円と同調して反騰入りしたとして7月31日午前時点では7月28日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、トップ形成期を7月29日早朝高値を含めて8月3日深夜にかけての間と想定した。
7月31日夜へ続伸した後も5.28円を挟んだ水準で高値圏を維持しているのでまだ上昇余地ありとみるが、急騰後の反動安にも注意がいるところであり、5.26円割れを弱気転換注意とし、5.25円割れからは弱気サイクル入りの可能性を優先して8月2日の日中から4日にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では7月29日早朝への反騰で遅行スパンが好転して先行スパンも大きく上抜いたが、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とする。連騰後の反動安にも注意し、遅行スパンが悪化するところからはいったん下げに入るとみて安値試し優先とするが、先行スパンを上回る状況を維持するうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とする。

60分足の相対力指数は7月31日夕刻への上昇で70ポイントに到達したが、その後の高値更新に際しては指数のピークが切り下がる弱気逆行気配を見せて8月1日午前には60ポイント台前半へ低下している。55ポイント以上を維持するうちは65ポイント超えから上昇再開とするが、55ポイント割れからは下向きとし、50ポイント割れからは40ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.26円を下値支持線、5.30円を上値抵抗線とする。
(2)5.26円以上での推移中は上昇余地ありとし、5.30円超えからは5.33円前後への上昇を想定する。5.32円以上は反落注意とするが、5.27円を上回っての推移なら2日午前も高値試しへ進む可能性があるとみる。
(3)5.26円割れからは5.25円、5.24円を順次試す下落を想定する。5.24円以下は反発注意とするが、5.26円以下での推移なら2日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

8月1日
 16:00 7月 イスタンブール製造業PMI (6月 51.5)
8月2日
 未 定 7月 貿易統計速報
8月3日
 16:00 7月 消費者物価指数 前月比 (6月 3.92%、予想 9.10%、予想レンジ 6.4〜10.6%)
 16:00 7月 消費者物価指数 前年同月比 (6月 38.21%、予想 47.30%、予想レンジ 43.5〜49.4%)
 16:00 7月 消費者物価コア指数 前月比 (6月 3.8%)
 16:00 7月 消費者物価コア指数 前年同月比 (6月 47.3%)
 16:00 7月 生産者物価指数 前月比 (6月 6.50%)
 16:00 7月 生産者物価指数 前年同月比 (6月 40.42%)
 20:00 週次 外観準備高 7月28日時点 グロス (7月21日時点 716.8億ドル)
 20:00 週次 外観準備高 7月28日時点 ネット (7月21日時点 136.8億ドル)
8月7日
 23:30 7月 財務省現金残高増減 (6月 -2063.3億リラ)



注:ポイント要約は編集部

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