ドル円、日銀による金融緩和の修正観測後退で急伸。円は全面安
〇ドル円、米国時間にかけ139.99まで急伸後、139円台後半での動き
〇米6月住宅着工件数の予想を下回る結果や、ゴールドマンサックスの冴えない決算が重石
〇ユーロドル、欧州CPIコア指数の下方修正、ECB関係者のハト派発言に一時1.1174まで反落
〇ドル円、90日線、200日線、雲上限がサポート、強い買いシグナルも継続、地合い強い
〇ファンダメンタルズも植田総裁発言によるYCC修正観測後退が円売り要因に
〇本日は5・10日、公表相場決定(9:55)にかけてのドル不足に要注意
〇本日の予想レンジ:139.00ー140.75
海外時間のレビュー
19日(水)のドル円相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値138.76まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)植田日銀総裁による「持続的、安定的な2%のインフレ達成にはまだ距離がある」との前日のハト派発言や、(2)上記1を背景とした日銀による金融緩和の修正観測の大幅後退(イールドカーブコントロールの許容変動幅拡大観測の後退)、(3)上記2を背景とした円キャリートレード再開の思惑、(4)日経平均株価の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値139.99まで急伸しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(5)米6月建設許可件数(結果144.0万件、予想150.0万件)の市場予想を下回る結果や、(6)米6月住宅着工件数(結果143.4万件、予想148.0万件)の市場予想を下回る結果、(7)米ゴールドマンサックスの冴えない決算(2023年4ー6月期決算の純利益が前年同期比58%減の12億ドルに急減)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間7/20午前5時20分現在)では、139.73前後で推移しております。
19日(水)のユーロドル相場は上値の重い展開。(1)ユーロ圏6月消費者物価コア指数・改定値(結果+5.5%、予想+5.4%)の市場予想を上回る結果や、(2)上記1を背景としたECBによる金融引き締め長期観測、(3)欧州債利回りの低下幅縮小が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値1.1241まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)ギリシャ中銀ストゥルナラス総裁による「あと25bpの利上げで十分」「インフレは低下しており更なる金融引き締めはユーロ圏経済に悪影響を及ぼす恐れ」との慎重な発言や、(5)上記4を背景としたECBによる金融引き締め休止観測が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.1174まで反落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間7/20午前5時20分現在)では、1.1200前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は7/14に記録した安園137.25をボトムに反発に転じると、昨日は一時139.99まで急伸しました。90日移動平均線や200日移動平均線に下支えされる形で反発に転じていることや、一目均衡表雲上限がサポートとして機能していること、強い買いシグナルを示唆する強気のパーフェクトオーダーが点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いの好転が期待されます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、植田日銀総裁によるサプライズ的なハト派発言(持続的、安定的な2%のインフレ達成にはまだ距離がある)を受けて、7/28に予定されている日銀金融政策決定会合でのYCC(イールドカーブコントロール)の修正観測が後退しており、金融緩和の修正を織り込む形でここ数週間進められてきた円買い(円キャリートレード解消)の流れに終止符が打たれました(円キャリートレード再開→円売り要因)。
米金利低下に伴うドル売り圧力がドル円の続伸を阻む可能性があるものの、一方で米金利低下に伴う米株高がリスク選好の円売りの形でドル売り部分を一定相殺できると考えられる為、ドル円には本日も上昇圧力が加わり易い時間帯が続くと予想いたします。尚、本日は5・10日となるため、公表相場決定(9:55)にかけてドル不足(ドル円の上昇要因)に注意が必要でしょう。また、海外時間帯はトルコ中銀の政策金利発表(20:00)や、米7月フィラデルフィア連銀景況指数(21:30)、米新規失業保険申請件数(21:30)、米6月中古住宅販売件数(23:00)、米6月景気先行指数(23:00)に注目が集まります。
本日の予想レンジ:139.00ー140.75
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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