ドル円、約3週間ぶり安値圏へ続落。米雇用統計後のドル売りの流れが継続中(7/11朝)

週明け10日(月)のドル円相場は上昇後に急反落。

ドル円、約3週間ぶり安値圏へ続落。米雇用統計後のドル売りの流れが継続中(7/11朝)

ドル円、約3週間ぶり安値圏へ続落。米雇用統計後のドル売りの流れが継続中

〇ドル円、東京時間の高値143.01から、米国時間朝方にかけ141.27まで急落
〇米CPI発表を控えたポジション調整、米長期金利の低下が重石に
〇ユーロドル、欧州株の堅調や米長期金利低下に一時1.1000まで上昇
〇ドル円、基準線、21日移動平均線等下抜け、テクニカルの地合い悪化
〇米雇用統計悪化をきっかけに米引き締め長期化観測が後退、短期的にはもう一段の下落余地も
〇「雲」の上昇や90日線と200日線のゴールデンクロス見込まれ、中長期的なトレンドは不変か
〇本日は材料難と米CPI控えた様子見で方向感を見出しづらい時間帯続きそう
〇本日の予想レンジ:140.50ー142.00

海外時間のレビュー

週明け10日(月)のドル円相場は上昇後に急反落。(1)急ピッチな下落(前週末金曜日に発表された米6月非農業部門雇用者数の市場予想を下回る結果+前月分の下方修正→米ドル急落)の反動や、(2)公表相場決定にかけてのドル買い・円売り(5・10日に絡む需給要因)、(3)本邦5月貿易収支(結果1兆1867億円赤字、予想9503億円赤字)の市場予想を上回る赤字幅拡大、(4)本邦5月経常収支(結果1兆8624億円黒字、予想1兆9108億円黒字)の市場予想を下回る結果、(5)日経平均株価の下げ幅縮小(リスク回避ムード後退)が支援材料となり、日本時間13時台に、日通し高値143.01まで上昇しました。

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(6)7/12に予定されている米6月消費者物価指数を控えたポジション調整や、(7)上値の重さを嫌気した短期筋の見切り売り(前週末金曜日に記録した安値142.07を下抜けたことに伴う仕掛け的なドル売り・円買い)、(8)米長期金利の急低下(米2年債利回りが4.95%から4.85%へ急低下、米10年債利回りが4.09%から3.98%へ急低下)が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値141.27(6/21以来の安値圏)まで急落しました。

引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間7/11午前5時30分現在)では、141.32前後で推移しております。尚、昨日はバーFRB副議長による「インフレは高すぎる」「まだやるべきことが若干ある」とのタカ派的な発言や、クリーブランド連銀メスター総裁による「インフレ率を下げるには追加の金融引き締めが必要」「インフレは依然として高水準」とのタカ派的な発言、サンフランシスコ連銀デイリー総裁による「金利を引き上げるためにはさらに取るべき手段がある」「米経済の勢いは予想を上回っている」とのタカ派的な発言、アトランタ連銀ボスティック総裁による「インフレは高すぎて持続可能ではない」とのタカ派的な発言が見られましたが、ドル買いでの反応は限定的となりました。

週明け10日(月)のユーロドル相場は堅調な値動き。(1)ユーロ圏7月投資家信頼感指数(結果▲22.5、予想▲17.9)の冴えない結果や、(2)上値の重さを嫌気した短期筋の見切り売りが重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0943まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(3)ECBによる金融引き締め長期化観測や、(4)欧州株の堅調推移、(5)米長期金利の急低下(対主要通貨でのドル独歩安)、(6)前週末金曜日高値1.0975を上抜けたことに伴う仕掛け的なユーロ買い・ドル売りが支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値1.1000(6/22以来の高値圏)まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間7/11午前5時30分現在)では、1.0999前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は6/30に記録した年初来高値145.07をトップに反落に転じると、昨日は約3週間ぶり安値となる141.27(6/21以来の安値圏)まで急落しました。この間、日足ローソク足が一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線を下抜けした他、4時間足などの下位足で強い売りシグナル(一目均衡表三役逆転)が点灯するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となりつつあります。

こうした動き(大規模ポジション調整)の背景には、(A)米6月非農業部門雇用者数の前月分の下方修正を受けて、米労働市場が過大評価されているのではないかとの思惑が広がっていることや、(B)上記Aを背景に米FRBによる金融引き締め長期化観測が後退していること(米金利低下→米ドル売り)、(C)日本政府・日銀による根強い円買い介入警戒感、(D)7/28に予定されている日銀金融政策決定会合でのYCC(イールドカーブコントロール)の許容変動幅拡大の思惑、(E)上記A、B、C、Dを背景とした円ショートポジションの巻き戻し(円キャリートレードのポジション手仕舞い)が挙げられます。まだまだ、売れていない投資家も多いと見られることから、短期的には、もう一段の下落余地がありそうです。

但し、中長期的に見れば、(1)一目均衡表の雲がダウンサイドから切り上げってくることや、(2)日足ベースで強い買いシグナル(一目均衡表三役好転+ダウ理論の上昇トレンド)が点灯していること、(3)今週中に90日線と200日線のゴールデンクロス(強気のパーフェクトオーダー点灯)が見込まれていること、(4)日米金融政策の方向性の違いが明らかであることから、ポジション調整一巡後の持ち直しが期待されます。以上のことから、中長期的なドル高・円安トレンドは不変と判断いたします(短期的にはもう一段の下落に要警戒。下値目途は心理的節目140.00や、6/1安値138.46近辺)。尚、本日はセントルイス連銀ブラード総裁発言以外に目立った米国経済イベントが予定されておらず、また明日7/12に今週のメインイベントとして注目されている米6月消費者物価指数を控えていることもあり、ドル円は材料難+様子見ムードで方向感を見出しづらい時間帯が続きそうです。

本日の予想レンジ:140.50ー142.00

注:ポイント要約は編集部

ドル円、約3週間ぶり安値圏へ続落。米雇用統計後のドル売りの流れが継続中

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

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