ドル円、円キャリートレードで年初来高値を連日で更新。心理的節目145.00が射程圏内に(6/30朝)

29日(木)のドル円相場は堅調な値動き。

ドル円、円キャリートレードで年初来高値を連日で更新。心理的節目145.00が射程圏内に(6/30朝)

ドル円、円キャリートレードで年初来高値を連日で更新。心理的節目145.00が射程圏内に

〇ドル円、米国時間に一時144.91まで上昇、144円台後半で堅調推移
〇株価の堅調、米長期金利の上昇、米新規失業保険申請件数の予想比減少等がドル円をサポート
〇日本の当局の円安牽制発言への市場の反応は限定的
〇ユーロドル独CPIの伸び率加速に1.0941まで上昇後、米ドルの上昇で1.0860レベルに反落
〇ドル円、テクニカルの地合い極めて強く、ファンダメンタルズも日米金利差拡大観測等がドル円を支持
〇本日、日米とも重要経済指標発表目白押し、本邦四半期末や、海外の半期末の特殊フローも要注意
〇本日の予想レンジ:143.75ー145.75

海外時間のレビュー

29日(木)のドル円相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値144.13(←訂正×143.13)まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)日経平均株価の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)や、(2)日米金融政策格差を背景としたドル買い・円売り(ECBフォーラムで見せたパウエルFRB議長によるタカ派発言vs植田日銀総裁によるハト派発言のコントラスト→円キャリートレード誘発)、(3)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(4)米新規失業保険申請件数(結果23.9万件、予想26.6万件)の良好な結果、(5)米1ー3月期GDP統計確報値(結果2.0%、予想1.3%)の市場予想を上回る結果、(6)パウエルFRB議長による「理事会の大半が年末までに2回かそれ以上の利上げ実施を予想している」「労働市場は非常にひっ迫」「インフレは目標を大幅に上回っている」との連日のタカ派発言が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、年初来高値144.91(昨年11/10以来の高値圏)まで急伸しました。

その後も、(7)米主要株価指数の堅調推移や、(8)アトランタ連銀ボスティック総裁による「更なる利上げの必要性を絶対に排除しない」「たとえ金利が維持されたとしてもインフレの進行は続くと見られる」とのタカ派的な発言が下値を支え、本稿執筆時点(日本時間6/30午前5時00分現在)においても、144.81前後での推移が続いております。尚、昨日は鈴木財務相より「為替の一方的な動きや安定的でない動きは好ましくない」「より緊張感をもって市場の動きをみている」「行き過ぎた動きがあるなら必要な対応を取る考えに変更ない」との円安牽制発言が見られましたが、市場の反応は限定的となりました。

29日(木)のユーロドル相場は上値の重い展開。(1)ドイツ6月HICP速報値(結果+6.8%、予想+6.7%、前回+6.3%)の伸び率加速や、(2)ECBによる金融引き締め長期化観測、(3)欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.0941まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)米経済指標の良好な結果(米新規失業保険申請件数や米1ー3月期GDP統計確報値)や、(5)米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、日本時間22時30分過ぎに、安値1.0860まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間6/30午前5時00分現在)では、1.0869前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は一時144.91(昨年11/10以来、約7カ月半ぶり高値圏)まで急伸するなど、年初来高値を再び更新しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイントの遥か上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のバンドウォーク」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること、90日移動平均線と200日移動平均線のゴールデンクロスが視野に入ってきていること、日足のみならず、下位足(1時間足や4時間足)や上位足(週足)でも強い買いシグナルが点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て地合いは極めて強いと判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(パウエルFRB議長は2日連続でタカ派的な見解を強調)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測(植田日銀総裁は一昨日のECBフォーラムで基調的なインフレが目標を下回っている限り緩和政策の継続が正当であることを示唆)、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違いとそれに伴う円キャリートレードの安心感)、(4)日本とその他各国との金利差拡大(クロス円上昇→ドル円連れ高)など、ドル円相場の続伸を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(本邦当局による介入警戒感が都度上値を抑えるものの、昨年高値151.95を超えてくるまでは実弾介入には踏み切らないと見られることから、口先介入効果は次第に低減する公算大)。

尚、本日は、本邦6月全国消費者物価指数(08:30)を皮切りに、中国6月製造業・非製造業PMI(10:30)、米5月個人所得・個人支出(21:30)、米5月PCEデフレータ(21:30)、米6月シカゴ購買部協会景気指数(22:45)、米6月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値(23:00)など重要イベントが目白押しとなります。本邦CPIが市場予想を下回る場合や、米5月PCEデフレータが市場予想を上回る場合には、日米金利差拡大が改めて意識され易くなることから、ドル円相場が一段と値を上げるシナリオが想定されます。また、本日は国内勢の四半期末(本邦仲値)や、海外勢の半期末(ロンドンフィキシング)に伴う特殊フローにも注意が必要でしょう(アジア時間、海外時間を通してボラタイルな相場展開を想定)。

本日の予想レンジ:143.75ー145.75

注:ポイント要約は編集部

ドル円、円キャリートレードで年初来高値を連日で更新。心理的節目145.00が射程圏内に

ドル円日足

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