ドル円見通し 欧州中銀の利上げ相次ぎ143円台に到達、年初来高値を連日更新(23/6/23)

23日早朝には143.22円を付けて年初来高値をさらに更新した。

ドル円見通し 欧州中銀の利上げ相次ぎ143円台に到達、年初来高値を連日更新(23/6/23)

ドル円見通し 欧州中銀の利上げ相次ぎ143円台に到達、年初来高値を連日更新

〇ドル円、6/22日中141.60まで下げるも、スイス、英国等の利上げを受け6/21日夜高値142.36超える
〇6/23早朝には143.22を付け年初来高値をさらに更新、6/23午前序盤も143円を挟んだ水準でしっかり
〇欧州中銀の利上げ相次ぐ、ノルウェー中銀と英中銀は市場予想を上回る0.50%の大幅利上げ決定
〇米長期債利回りは総じて上昇、NYダウは4営業日続落、ナスダックは上昇
〇143.30超えからは、143円台後半への上昇を想定する
〇142.50割れからは、142円台序盤(142.25から142.00)への下落を想定する

【概況】

ドル円は6月21日のパウエルFRB議長による下院議会証言での年内あと2回の利上げが適切との姿勢から142.36円へ上昇して年初来高値更新し、22日の日中は上昇一服で141.60円まで下げたものの底固さを見せ、22日夜はノルウェー中銀と英中銀が予想を上回る0.50%利上げを決定したことやパウエルFRB議長の上院証言で前日の下院証言に続いて利上げ継続姿勢が強調されたことで21日夜高値を超え、23日早朝には143.22円を付けて年初来高値をさらに更新した。
23日午前序盤も143円を挟んだ水準でしっかりしており、高値更新を伺う流れを続けている。
米労働省が発表した新規失業保険申請件数は6月17日での週間で前週比横ばいの26万4000件、失業保険受給者総数は6月10日までの週間で175万9000人となり、前週から1万3000人減少した。また米商務省による2023年1〜3月期の経常収支は、季節調整後で2193億ドルの赤字で赤字幅は前期から1.5%増となった。

【ノルウェー中銀と英中銀が0.50%利上げ】

6月22日は主要中銀の利上げが相次いだが、スイス中銀が市場予想通りの0.25%利上げだったのに対してノルウェー中銀と英中銀は市場予想の0.25%の通常規模の利上げではなく0.50%の大幅利上げを決定し、さらに利上げ継続姿勢を示した。
英中銀は政策金利をそれまでの4.50%から5.00%に引き上げたが、「インフレ率が低下するのに時間がかかることを示唆する重要なニュースがあった」ことを大幅利上げの根拠とした。金融大手のゴールドマンサックス等はあと3回の追加利上げの可能性もあるとしており、秋にかけては利上げ継続感が強まった。
ECBの追加利上げ余地も含め、主要中銀はインフレの高止まりに対する利上げ継続による抑え込みに軸足を置いており、年内あと2回の利上げ余地を示している米FRBにとっても追加利上げを判断しやすい外部環境となっていると市場は受け止めている。

パウエルFRB議長は22日の上院銀行委員会で「FOMCでは幅広く年末までに2回の利上げが適切と想定している」とし、「インフレ率がピークからほぼ半分となったもののその多くがエネルギー安によるもの」とし「サービスインフレではほとんど進展が見られていない」として追加利上げの正当性を主張した。また金融引き締めによる景気鈍化への影響で「失業率の上昇が予想される」とし、引き締めが行き過ぎないように注意深いペースで利上げを行うとした。多少の景気鈍化や信用不安問題を抱えつつもインフレ抑制が最重要との姿勢が貫かれている。
FRBのボウマン理事も22日の講演で「インフレ率を目標の2%へ押し下げるには追加利上げが必要」とし、「インフレはピークを越えたものの引き続き受け入れがたい高さにある」、「コアインフレは昨年秋から事実上横ばい」であり「もっとやるべきことがある」と強調している。
ドル円としては欧英の追加利上げ見通しによるユーロ円やポンド円の上昇等によるクロス円からの上昇圧力とともに米FRBの追加利上げ余地によるドル高円安感が円安加速の相乗効果をもたらしている印象だ。

【米長期債利回りは上昇、NYダウは4営業日続落】

主要中銀の利上げやパウエルFRB議長の追加利上げ支持姿勢を受けて6月22日の米長期債利回りは総じて上昇した。長期金利指標の10年債利回りは前日比0.08%上昇の3.80%、30年債利回りは同0.06%上昇の3.87%、利上げに敏感な2年債利回りは0.07%上昇の4.79%となった。
NYダウは前日比4.81ドル安と小幅ながら6月16日から4営業日続落したが、ナスダック総合指数は前日比128.41ポイント高と上昇した。ダウはFRBの利上げ継続姿勢による圧迫感と中国株式市場の下落(上海総合株価指数は19日から21日まで3営業日続落、22日と23日は休場)を嫌気して上値が重くなってきているが、ナスダック市場は前日までの3営業日続落から反発しており、追加利上げが見込まれるものの利上げのピークが近いことを楽観視している印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は6月20日午前高値142.24円から20日深夜安値141.20円へ反落したところから21日夜に高値を更新して142.36円まで年初来高値を切り上げたため、22日午前時点では6月20日深夜安値を起点とした上昇期にあるとして27日午前にかけての高値試しを続けやすい局面と想定した。
23日早朝へ一段高しているのでまだ上昇余地ありと考えるが、143円到達後の反動安にも注意がいるところとして142.50円割れを弱気転換注意とし、142.20円割れからは下落期入りとみて27日夜にかけての下落を想定する。

60分足の一目均衡表では6月22日夜からの一段高で遅行スパンが好転して先行スパンを大きく上抜いているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。26本基準線を割り込む場合は遅行スパン悪化に伴う反落期入りを警戒するが、先行スパンから転落しないうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とみる。

60分足の相対力指数は6月23日早朝への一段高で80ポイントに到達してからやや下げているものの、60ポイント台では支えられて上昇を継続しやすいとみる。ただし、相場が高値更新へ進む際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合はいったん下落期に入る可能性を警戒し、50ポイント割れからは下落期入りとして30ポイント台への低下へ進むとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、142.50円を下値支持線、143.30円を上値抵抗線とする。
(2)143.30円超えからは143円台後半への上昇を想定する。143.50円から143.70円にかけての水準では売りも出やすいと注意するが、142.70円以上を維持しての推移か直前高値から1円を超える下落が発生しないうちは週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)142.50円割れからは142円台序盤(142.25円から142.00円)への下落を想定する。142円台序盤は押し目買いされやすい水準とみるが、142.20円以下での推移に入る場合は週明けも続落しやすいとみる。

【当面の主な予定】

6/23(金)
休場 中国、台湾
15:00 (英) 5月 小売売上高 前月比 (4月 0.5%、予想 -0.2%)
15:00 (英) 5月 小売売上高 前年同月比 (4月 -3.0%、予想 -2.6%)
15:00 (英) 5月 小売売上高・除自動車 前月比 (4月 0.8%、予想 -0.3%)
15:00 (英) 5月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (4月 -2.6%、予想 -2.1%)
16:30 (独) 6月 製造業PMI・速報値 (5月 43.2、予想 43.5)
16:30 (独) 6月 サービス業PMI・速報値 (5月 57.2、予想 56.2)
17:00 (欧) 6月 製造業PMI・速報値 (5月 44.8、予想 44.8)
17:00 (欧) 6月 サービス業PMI・速報値 (5月 55.1、予想 54.5)
17:30 (英) 6月 製造業PMI・速報値 (5月 47.1、予想 46.8)
17:30 (英) 6月 サービス業PMI・速報値 (5月 55.2、予想 54.8)

18:15 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、会議プレゼン
21:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、討論会参加
22:45 (米) 6月 製造業PMI・速報値 (5月 48.4、予想 48.5)
22:45 (米) 6月 サービス業PMI・速報値 (5月 54.9、予想 54.0)
26:40 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演



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