ドル続伸期待高いが、円安けん制への警戒も(6/5夕)

週明け5日の東京市場はドルが小じっかり。先週末のNYクローズではわずかに下回った140円台を再び回復している。

ドル続伸期待高いが、円安けん制への警戒も(6/5夕)

ドル続伸期待高いが、円安けん制への警戒も

〇本日のドル円、レンジ取引で底堅く、東京市場をほぼ140円台で推移、ドル高値圏で欧米市場迎える
〇年初来高値140.93をどこかでトライし上抜けていく可能性に注目
〇本日、5月総合PMI確報やISM非製造業総合指数などの米経済指標が発表予定
〇ドル高円安方向は東京高値にあたる140.30レベルが最初の抵抗、抜けると年初来高値140.93が視界内
〇ドル安円高方向、米雇用統計発表後ほぼ下回っていない139.80レベル、139円半ばなどがサポート
〇欧米時間のドル/円予想レンジは139.50-141.00

<< 東京市場の動き >>

週明け5日の東京市場はドルが小じっかり。先週末のNYクローズではわずかに下回った140円台を再び回復している。

先週末は、米上下院ですでに可決されていた法案にバイデン大統領が署名し、米債務上限問題がようやく解決をみるなか、OPECプラスが協調減産の2024年までの延長で合意したと伝えられ、一部で話題になっていた。
そうした状況下、ドル/円は139.95-00円レベルで寄り付いたものの、基本はレンジ取引。値動きはさほど大きくなかったがドルは底堅く、取引時間の多くを140円台で推移し夕方には140.30円レベルまで一時値を上げている。16時現在でも、ドルはそのまま高値圏で推移し欧米市場を迎えていた。
そうしたなか、トルコリラが本日も冴えない。週末にエルドアン大統領が新財務相としてシムシェキ氏の任命を発表したが効果は限定的。リラ売りの流れに変化は見られなかった。

一方、材料的に注視されていたものは「米中情勢」と「北朝鮮情勢」について。
前者は、週末にはシンガポールで開催されている通称シャングリラ会合を舞台に、米中双方から「衝突回避のため対話が必要」などといった呼びかけが聞かれたうえ、「米CIA長官が5月に訪中し、中国高官と会談実施していた」と伝えられるなど雪解け期待ムードが台頭。しかし、その一方で米軍艦がカナダ海軍と共同で台湾海峡を通過するなか、「中国軍艦艇が約140メートルの距離まで接近」するという米中融和に水を差すような「危険行為」が観測されていたという。ちなみに、後者について中国は通常営業。「米国とカナダが公然と挑発した」と責任転嫁するようなコメントを今回も発していた。

対して後者は、シャングリラ会合に出席した浜田防衛相に、米韓防衛相が加わった3者会談が実施され「北朝鮮ミサイル情報の即時共有」で一致したと伝えられている。しかし、北朝鮮による「軍事偵察衛星」の発射を受け開かれた国連安保理緊急会合は、各国から北朝鮮を非難する発言が相次いだものの、中国やロシアが北朝鮮非難に反対の立場を崩さず一致した対応は見送られている。機能不全が再び露呈されていた。なお、そうしたなか北朝鮮は先の安保理会合について、「主権侵害だ」と反発するとともに、「人工衛星」を打ち上げる際に事前に通告することは「もはや必要ではない」との考えを示しており、為替市場ならずとも物議を醸していたようだ。

<< 欧米市場の見通し >>

先週のドル/円は140.93円を高値に2日間ほどで2.5円ほどとなかなか大きな下押しが入るも、そののちV字型の回復。そして本日もドルは続伸し140.30円レベルまで値を大きく戻してきた。フィボナッチの観点からすると、下げ幅の7割以上戻した計算で、次のポイントは76.4%戻しの140.35円レベル。それも超えると100%戻し、先週記録した年初来高値が再び視界内に捉えられそうだ。
ドル高の重石になっていた米債務上限問題は、先週末に一応の決着を見た。一方、米金融政策については完全に一枚岩で意見がまとまっているわけではないものの、取り敢えずは追加利上げに期待を寄せる向きが少なくない。いずれにしても、単純に考えればドル高・円安方向にバイアスがかかりそうだが、問題なのは日本サイドの動き。先週も140円台などでは鈴木財務相などから円安けん制発言が聞かれているだけに、さらなる円安進行には警戒感を抱く向きも多い。

テクニカルに見た場合、先週末には「ドル/円はドルが続伸するか否かの正念場を迎えている」−−とレポートしたが、米雇用統計が良好な内容になったこともあり、ドル高基調が再確認された格好だ。いつというタイミングは不明だが、140.93円という年初来高値をどこかでトライそして上抜けていく可能性もあるだろう。
ただし、前段で指摘したように徐々に当局の介入警戒も高まっており、まずは口先介入からだが怪しい動きが観測されれば、スグにでも円高方向に1-2円動いてもおかしくはない。

本日は米経済指標として、5月の総合PMI確報や同ISM非製造業総合指数などの発表が予定されている。先週末に発表された雇用統計が良好な内容でドルの支援要因となっただけに、本日の指標についても好数字を期待する声が優勢となっていた。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは139.50-141.00円。ドル高・円安方向は東京高値にもあたる140.30円レベルが最初の抵抗で、抜けると年初来高値の140.93円が視界内に。
対するドル安・円高方向は、先週末の米雇用統計発表後はほぼ下回っていない139.80円レベル、そして139円半ばなどがサポートに。ただ、日本当局の動き次第で本格的な下押しが入れば、その限りではない。

ドル続伸期待高いが、円安けん制への警戒も

ドル円日足

注:ポイント要約は編集部

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