ドル円、フィラデルフィア連銀ハーカー総裁によるハト派的な発言を受けて大幅続落
〇ドル円、海外時間の米求人件数の好調等に140.42まで切り返すも、その後139.24まで急落
〇米主要株価指数の冴えない値動き、FRB高官のハト派発言と米長期金利の急低下が重石に
〇ユーロドル、1.07台を一時回復するも基本は1.06台半ばを挟んでの方向感に欠ける動き
〇ドル円、急反落するも引き続き下方向にサポートポイント並びテクニカルの地合い強い
〇ファンダメンタルズも米債務上限問題の解消期待がドル円をサポート
〇昨日の反落は米雇用統計前のポジション調整的なものか
〇ドル円相場の反発をメインシナリオとして予想、本日の予想レンジ:138.50ー140.50
海外時間のレビュー
月末31日(水)のドル円相場は大幅続落。(1)中国5月製造業PMI(結果48.8、予想49.4)の市場予想を下回る結果や、(2)中国5月非製造業PMI(結果54.5、予想55.7)の市場予想を下回る結果、(3)上記1、2を背景とした中国経済の先行き不透明感(世界的な景気下押し懸念再燃)、(4)アジア株の冴えない動き(リスク回避の円買い圧力)が重石となり、日本時間15時過ぎに、一時139.31まで下落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(5)注目された米4月JOLTS求人件数(結果1010.3万人、予想944.0万人)が市場予想を上回ったことや、(6)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(7)短期筋のロスカット(ストップBUY)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値140.42まで急伸する場面も見られました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(8)米主要株価指数の冴えない動きや、(9)フィラデルフィア連銀ハーカー総裁による「FEDは6月会合で利上げを見送るべき」とのハト派的な発言、(10)米長期金利の急低下が重石となり、米国時間午後にかけて、安値139.24まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間6/1午前5時00分現在)では、139.30前後で推移しております。
月末31日(水)のユーロドル相場は振れを伴いつつも方向感に欠ける展開。米国時間朝方にかけて、高値1.0705まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)米4月JOLTS求人件数の市場予想を上回る結果や、(2)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(3)月末ロンドンフィキシングに絡むユーロポンドの下落圧力(ユーロドル連れ安)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0635まで急落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)フィラデルフィア連銀ハーカー総裁によるハト派的な発言や、(5)米長期金利の急低下が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間6/1午前5時00分現在)では、1.0688前後まで切り返す動きとなっております。尚、昨日発表されたドイツ5月消費者物価指数速報値(結果+6.1%、予想+6.5%)は市場予想を大幅に下回る結果となりましたが、ユーロ売りでの反応は限定的となりました。
本日の見通し
ドル円は前日5/30に記録した約半年ぶり高値140.95(昨年11/23以来の高値圏)をトップに反落に転じると、昨日は一時139.24まで急落しました。しかし、ダウンサイドに複数のサポートポイントが並んでいること(最も近いサポートポイントは一目均衡表転換線が位置する139.18)や、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」「21日移動平均線と200日移動平均線のゴールデンクロス」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、続落余地は乏しいと判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測、(3)上記1、2を背景とした日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレード再開期待、(4)米債務上限問題の解消期待(マッカーシー米下院議長は昨日、連邦債務上限を一時的に停止する法案は可決される見通しと発言)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
昨日はフィラデルフィア連銀ハーカー総裁による「FEDは6月会合で利上げを見送るべき」とのハト派的な発言を受けて、米長期金利が急低下(次回FOMCでの25bp利上げの織り込み度合が66.6%から28.6%へ低下)しましたが、この辺りの荒々しい値動きは、週末の米5月雇用統計を控えたポジション調整的な意味合いも含まれている為、一時的な流れに留まるものと推察されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の反発をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は日本時間午前9時頃に予定されている米債務上限を一時的に停止する法案の米下院での採決に注目が集まる他、米5月ADP雇用統計や、米新規失業保険申請件数、米5月製造業PMI確報値、米5月ISM製造業景況指数、米4月建設支出、フィラデルフィア連銀ハーカー総裁講演などにも注目が集まります(フィラデルフィア連銀ハーカー総裁が前日の自身の発言に対する火消しを行う可能性もあり要警戒)。
本日の予想レンジ:138.50ー140.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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