米債務上限問題の合意期待を背景に年初来高値を更新。昨年11/30以来の高値圏へ
〇ドル円、米国時間午後にかけ年初来高値138.75まで急伸
〇株価の堅調推移、米債務上限問題の進展期待、米指標の好調、FRB高官のタカ派発言等が背景
〇ユーロドル、米金利上昇、デギントスECB副総裁のハト派発言等に一時1.0762まで下落
〇ドル円、主要テクニカルポイント上抜け、強い買いシグナルも点灯中、テクニカルの地合い強い
〇ファンダメンタルズも日米金利差拡大観測、米債務上限問題進展期待等がサポート
〇引き続きドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:138.00ー140.00
海外時間のレビュー
18日(木)のドル円相場は大幅続伸。アジア時間朝方にかけて、安値137.29まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)日経平均株価の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)や、(2)米債務上限問題の進展期待(マッカーシー米下院議長は前日に「最終的にデフォルトにはならない」「今週中の合意は実行可能」と発言)、(3)米5月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(結果▲10.4、予想▲20.0、前月▲31.3)の市場予想を上回る結果、(4)米新規失業保険申請件数(結果24.2万件、予想25.2万件、前週26.4万件)の良好な結果、(5)ダラス連銀ローガン総裁による「利上げ停止の論拠はまだ見当たらない」とのタカ派的な発言、(6)直近高値突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売り、
(7)セントルイス連銀ブラード総裁による「インフレに対する保険政策として利上げを続けることを支持」とのタカ派的な発言、(8)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(9)米主要株価指数のプラス圏浮上(マイナス圏から急速に持ち直す動き→リスク選好の円売り圧力)が支援材料となり、米国時間午後にかけて、年初来高値138.75(昨年11/30以来、約半年ぶり高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5/19午前5時00分現在)では、138.71前後で推移しております。
18日(木)のユーロドル相場は冴えない動き。アジア時間朝方にかけて、高値1.0849まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)米債務上限問題の進展期待や、(2)米経済指標(米5月フィラデルフィア連銀製造業景況指数や米新規失業保険申請件数)の良好な結果、(3)米当局者(ダラス連銀ローガン総裁やセントルイス連銀ブラード総裁)によるタカ派的な発言、(4)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(5)デギンドスECB副総裁による「利上げ局面は終わりに近づいている」とのハト派的な発言が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0762(3/27以来、約2ヵ月ぶり安値圏)まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5/19午前5時00分現在)では、1.0774前後で推移しております。尚、昨日はエストニア中銀ミュラー総裁より「ECBが2024年の早い時期に利下げに踏み切るとの予想は時期尚早」とのタカ派的な発言が見られましたが、市場の反応は限定的となりました。
本日の見通し
ドル円は5/11に記録した安値133.74をボトムに反発に転じると、昨日は一時138.75(昨年11/30以来、約半年ぶり高値圏)まで急伸しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイント(特に市場参加者に注目されていた200日移動平均線や3/8高値137.92)を軒並み上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」「強気のバンドウォーク」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる次回FOMCでの追加利上げ観測の高まり(CMEが提供するFedWatchツールによると、次回6/14FOMCでの25bp利上げの織り込み度合は36.7%まで急上昇)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測(植田総裁による金融緩和の継続方針→円金利低下に伴う円売りと日経平均上昇に伴うリスク選好の円売りの組み合わせ)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレード再開、(4)米債務上限問題の進展期待、(5)米地銀を巡る金融システム不安の後退など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします(次のターゲットは昨年11/21に記録した高値142.27)。尚、本日は、本邦の4月全国消費者物価指数や、米当局者発言(ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁講演、ボウマンFRB理事発言、パウエルFRBとバーナンキ元FRB議長の討論会)に注目が集まります。
本日の予想レンジ:138.00ー140.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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