ドル円、約2週間ぶり高値圏へ上昇。リスクオンの動きもドル円を下支え
〇ドル円、先週末来のドル買いの流れや株価の堅調推移等受け、欧州勢参入後に高値136.31まで上昇
〇その後はNY連銀製造業景況指数の悪化等に135.72まで反落するも一巡後136円前後に持ち直す
〇ユーロドル、アジア時間早朝に1.0845まで下落後、米長期金利低下等に一時1.0890まで反発
〇ドル円、主要テクニカルポイント上抜け地合い強い、ファンダメンタルズも信用懸念後退がドル円の支え
〇引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想
〇本日、中国経済指標、FRB高官発言、米債務上限問題協議等要注視
〇本日の予想レンジ:135.25ー137.25
海外時間のレビュー
週明け15日(月)のドル円相場は堅調な値動き。アジア時間早朝にかけて、安値135.60まで下げ幅を広げるも、一巡後に下げ渋ると、(1)前週末金曜日以降のドル買いの流れの継続(5/12に発表された米5月ミシガン大消費者信頼感指数の内訳の1年先期待インフレ率が予想4.4%に対して結果4.5%、5−10年先期待インフレ率が予想2.9%に対して結果3.2%)や、(2)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(3)株式市場の堅調推移(日経平均株価およびTOPIXが年初来高値更新。アジア株・欧米株も堅調な値動き→リスク選好の円売り圧力)、(4)短期筋のショートカバーが支援材料となり、欧州勢参入後に、高値136.31(5/3以来、約2週間ぶり高値圏)まで上昇しました。
その後は、(5)米5月ニューヨーク連銀製造業景況指数(結果▲31.8、予想▲3.9、前回+10.8)のネガティブサプライズ(米金利低下→米ドル売り)を背景に一時135.72まで急落する場面も見られましたが、一巡後に下げ渋ると、(6)上記5の内訳の仕入れ価格(結果+34.9、前回+33.0)がインフレ加速を示す内容となったことや、(7)アトランタ連銀ボスティック総裁による「2024年のかなりの期間まで利下げ見込んでいない」「金利をさらに上昇させる必要があるかもしれない」とのタカ派的な発言、(8)米長期金利の再上昇が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間5/16午前5時30分現在)では、136.07前後まで持ち直す動きとなっております。
週明け15日(月)のユーロドル相場は堅調な値動き。(1)前週末金曜日以降のドル買いの流れを引き継ぐ形で、アジア時間早朝に、安値1.0845まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(2)欧州株の堅調推移(リスク選好のユーロ買い圧力)や、(3)欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力、(4)米5月ニューヨーク連銀製造業景況指数のネガティブサプライズ(米金利低下→米ドル売り)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.0890まで上昇しました。もっとも、心理的節目1.0900をバックに伸び悩むと、(5)米当局者によるタカ派的な発言や、(6)米長期金利の反転上昇が重石となり、本稿執筆時点(日本時間5/16午前5時30分現在)では、1.0874前後で推移しております。尚、昨日発表されたユーロ圏3月鉱工業生産(結果▲4.1%、予想▲2.7%、※前月比)は市場予想を下回りましたが、ユーロ売りでの反応は限定的となりました。
本日の見通し
ドル円は5/11に記録した安値133.74をボトムに反発に転じると、昨日は一時136.31まで上昇しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表基準線、転換線、21日移動平均線、ボリンジャーミッドバンド)を上抜けしたことや、日足および4時間足で強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」が点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め打ち止め観測の後退(CMEが提供するFedWatchツールを確認すると、次回6/14FOMCでの25bp利上げの織り込み度合が24.7%へ急上昇)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測(植田日銀総裁は当面の間、金融緩和政策を続ける見通し)、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米金利差拡大に伴う円キャリートレード再開の思惑)など、ドル円相場の続伸を連想させる材料が揃っています。米地銀を巡る連鎖破綻懸念が後退しつつあることも、「株高→リスクオンの円売り」の観点でドル円を下支えしそうです。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。
尚、本日は中国の主要経済指標(中国4月小売売上高、中国4月鉱工業生産、中国4月固定資産投資)や、米国の主要経済指標(米4月小売売上高、米4月鉱工業生産、米5月NAHB住宅市場指数)、米当局者発言(クリーブランド連銀メスター総裁発言、アトランタ連銀ボスティック総裁発言、バーFRB副議長発言、ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁発言、ダラス連銀ローガン総裁発言)に加えて、バイデン米大統領とマッカーシー下院議長らとの債務上限問題に関する協議も予定されるなど、重要イベントが目白押しとなっております(特に債務上限問題に関する協議・交渉が難航する場合は、伝統的金融市場のボラティリティが急拡大する恐れがあるため要注意→市場のテーマ・関心が6/1のXデーに向かう可能性あり)。
本日の予想レンジ:135.25ー137.25
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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