ドル円、上下しつつも方向感に欠ける展開。早くも市場は米4月CPI待ちの様相に
〇ドル円、135円を挟んでの方向感に欠ける展開
〇FRB、1Qの融資基準厳格化と、貸し出し需要の軟化報告するも市場の反応は限定的
〇ユーロドル、欧州圏の指標不冴えで1.10近辺まで軟化
〇ドル円、ダウンサイドに複数のテクニカルポイント並び、買いシグナルも継続、テクニカルの地合い強い
〇ファンダメンタルズも日米金利差拡大観測、金融システム不安沈静化がドル円をサポート
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:134.25ー135.75
海外時間のレビュー
週明け8日(月)のドル円相場は方向感に欠ける展開。(1)前週末金曜日以降のドル買いの流れの継続(5/5に発表された米4月雇用統計の力強い結果→米FRBによる追加利上げ観測再燃→米長期金利急上昇→米ドル買い)や、(2)本邦輸入企業の実需のドル買い(ゴールデンウィーク明けの輸入企業のドル買い・円売り)が支援材料となり、アジア時間朝方にかけて、高値135.29まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(3)一目均衡表転換線を背にした戻り売り圧力の高まりや、(4)日経平均株価の軟調推移(リスク回避の円買い圧力)、(5)米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、日本時間引けにかけて、安値134.65まで反落しました。
もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(6)中国株・香港株の堅調な値動き(リスク選好の円売り再開)や、(7)WTI原油先物価格の堅調推移(豪ドル円・カナダ円上昇→ドル円連れ高)、(8)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間5/9午前4時30分現在)では、135.12前後で推移しております。尚、昨日発表された米FRBによる四半期上級融資担当者調査では、第1四半期の融資基準厳格化と、それに伴う商業・産業向け貸し出し需要の軟化が報告されましたが、市場の反応は限定的となりました。
週明け8日(月)のユーロドル相場は冴えない動き。(1)米金利低下に伴うドル売り圧力や、(2)株式市場の堅調推移(リスク選好のドル売り圧力)が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値1.1054まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(3)ドイツ3月鉱工業生産(結果▲3.4%、予想▲1.4%、※前年比)の冴えない結果や、(4)ユーロ圏5月投資家信頼感指数(結果▲13.1、予想▲7.5)の市場予想を下回る結果、(5)米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.1002まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5/9午前4時30分現在)では、1.1004前後で推移しております。尚、昨日は英国が国王戴冠式の記念日で休場となった為、ロンドン勢はほぼ不在となりました。
本日の見通し
ドル円は5/2に記録した約2ヵ月ぶり高値137.78をトップに反落に転じると、5/4に一時133.50まで急落しましたが、前週末金曜日に発表された米4月雇用統計が力強さを示したことで、現在は135円絡みまで持ち直す動きを見せています。ダウンサイドに複数のテクニカルポイントが並んでいることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます(4/26安値133.01を下回らない限り上昇トレンド継続と判断→buy on dip戦略が有効な地合い)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる追加利上げ観測の再燃(先週開催された米FOMCでパウエルFRB議長は今後の政策判断はデータ次第と強調→その一発目として注目された米4月雇用統計は予想以上に力強い結果→次回6月FOMCでの利上げが16.6%程度織り込まれる展開→今週半ばに予定されている米4月CPIが市場予想を上回れば、6月FOMCでの25bp利上げがもう一段織り込まれる可能性あり)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測(植田日銀総裁は当面の間、金融緩和政策を続ける公算大→早期修正観測の後退)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差拡大観測(円キャリートレード再開の思惑)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
米国発の金融システム不安がひとまず落ち着きを取り戻しつつあることも、ドル円の下支えに寄与するものと推察されます(リスク回避の巻き戻し→円売り再開)。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。但し、本日に限って見れば、ジェファーソンFRB理事講演や、ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁講演、米3年債入札以外に目立った経済イベントが予定されておらず、また週央に今週のメインイベントの米4月CPIを控えていることもあり、アジア時間・欧米時間共に、方向感を見出しづらい時間帯が続きそうです(重要イベントを前に様子見ムードが高まる展開を想定)。
本日の予想レンジ:134.25ー135.75
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
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