ドル円、米国金融機関の連鎖破綻への警戒感から一時133円台半ばへ続落
〇ドル円、米国で広がる金融システム不安の高まりと米長期金利の低下に一時133.51まで急落
〇その後米ウェスタン・アライアンス・バンコープが身売りの可能性についての報道を否定
〇米長期金利の低下幅縮小、米主要株価指数の下落幅縮小が支えとなり134.15近辺まで持ち直す
〇ユーロドル、ECBの利上げ幅縮小等で1.0987まで下落後ラガルド総裁のタカ派発言に1.1013に反発
〇ドル円、主要サポートポイントを軒並み下抜け地合い悪化が警戒される
〇但し、4/26安値133.01を下回らない限り、上昇トレンド崩壊とは言えないか
〇米FRBによる年内利下げ観測の後退、日銀による金融緩和の早期修正観測後退がドル円をサポート
〇引き続き、ドル円相場の持ち直しをメインシナリオとして予想
〇本日は米国時間21:30に発表される米4月雇用統計に注目
〇本日の予想レンジ:133.50ー135.50
海外時間のレビュー
4日(木)のドル円相場は大幅続落。(1)米1ー3月期単位労働コスト速報値(結果+6.3%、予想+5.6%、※前期比年率)の市場予想を上回る結果や、(2)上記を1背景とした米長期金利の急上昇(米労働コスト上振れ→米追加利上げ観測再燃)、(3)短期筋のショートカバーが支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値134.88まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)米国で広がる金融システム不安の高まり(既に身売り報道が出ていた米パックウエスト・バンコープの株価が急落した他、米ウェスタン・アライアンス・バンコープも身売りの可能性があるとのヘッドライン→米国金融機関の連鎖破綻への警戒感→リスク回避の円買い圧力)や、(5)上記4を背景とした米長期金利の急低下が重石となり、日本時間1時過ぎに、安値133.51まで急落しました。
もっとも、その後は、(6)上記4について米ウェスタン・アライアンス・バンコープが身売りの可能性についての報道を否定したことや、(7)米長期金利の低下幅縮小、(8)米主要株価指数の下落幅縮小などが支えとなり、本稿執筆時点(日本時間5/5午前5時00分現在)では、134.15近辺まで持ち直す動きとなっております。
4日(木)のユーロドル相場は上昇後に急反落。(1)米FOMCのハト派的な結果や、(2)米国で広がる金融システム不安、(3)上記1、2を背景とした対主要通貨でのドル売り圧力が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値1.1092まで上昇しました。しかし、前日高値(1.1092)と同値で伸び悩むと、(4)4/26に記録した年初来高値1.1096を背にした戻り売り圧力(上値の重さを嫌気した見切り売り)や、(5)ECB理事会での利上げ幅縮小(ECB理事会は25bpの利上げを決定→3会合ぶりに利上げ幅縮小→ドイツ債利回り低下→ユーロ売り)、(6)世界的なリスク回避ムード再来(米株急落→欧州株連れ安)が重石となり、日本時間23時過ぎに、安値1.0987まで急落しました。
もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(7)ラガルドECB総裁による「利上げサイクルを停止しないことは明らか」「数人の委員は50bpの利上げが適切だと示唆」「利下げについてはコミットしない」とのタカ派的な発言が支えとなり、本稿執筆時点(日本時間5/5午前5時00分現在)では、1.1013付近まで持ち直す動きとなっております。
本日の見通し
ドル円は5/2に記録した約2ヵ月ぶり高値137.78をトップに反落に転じると、昨日は一時133.51まで急落しました。日足ローソク足が主要サポートポイント(200日移動平均線、一目均衡表転換線、一目均衡表基準線、ボリンジャーミッドバンド、21日移動平均線)を軒並み下抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化が警戒されます。
但し、4/26に記録した安値133.01を下回らない限り、上昇トレンド崩壊とは言えないことから、同水準を下方ブレイクするまでは、Buy on dips戦略が有効であると判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる年内利下げ観測の後退(注目された米FOMCおよびパウエルFRB議長記者会見で年内利下げを示唆するコメントは見られず→今後の政策判断はあくまでデータ次第と強調されているため、米経済指標・米インフレ指標が市場予想を上回れば再度追加利上げを織り込む可能性あり)や、(2)日銀による金融緩和の早期修正観測後退(植田日銀総裁は当面の間、金融緩和を続ける公算大)、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米金利差拡大に伴う円キャリートレード継続)など、ドル円相場の持ち直しを連想させる材料が揃っています。
米国で広がる金融システム不安(米パックウエスト・バンコープや米ウェスタン・アライアンス・バンコープの身売り検討報道)など、攪乱要因は残っているものの、当方では引き続き、ドル円相場の持ち直しをメインシナリオとして予想いたします(上述の通り、4/26に記録した安値133.01を下回らない限り、Buy on dips戦略の継続を想定)。尚、本日は米国時間21:30に発表される米4月雇用統計に注目が集まります。非農業部門雇用者数が市場予想の17.9万人を上回る場合や、失業率が市場予想の3.6%を下回る場合、平均時給が市場予想の前月比+0.3%や前年比+4.3%を上回る場合には、上記1の理由で一気にショートカバー(米金利上昇→ドル円急反発)が進む可能性もあるため、米国時間帯のボラティリティ急拡大に念のため注意が必要でしょう。
本日の予想レンジ:133.50ー135.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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