ドルの下値不安強まる、ECB理事会など注視
〇ドル円、小幅続落し一時134.20割れ、137.78までの急上昇の7割以上を吐き出す
〇米パックウエスト・バンコープに身売り話、ウエスタン・アライアンスの株価も下落
〇米FOMC、0.25%政策金利引き上げの一方、利上げ打ち止めの可能性も示唆
〇パウエル議長の「インフレが高止まりすれば利下げはしない」との発言もドル売り材料に
〇本日ECB理事会に要注目、コンセンサスは0.25%の利上げ
〇欧米時間のドル/円予想レンジは134.10-135.50
<< アジア市場の動き >>
4日のアジア市場はドルが小幅に続落。とくに夕方にかけ下げ幅を拡大させると、一時134.20円割れも。
ドル/円は134.65-70円で寄り付いたものの、基本は揉み合い。134.30-70円といった一進一退をたどるなか、終盤に掛けてドルは底割れしている。東京休場のなか、米金融不安が引き続き取り沙汰されるとドルの弱材料に。16時現在ではそのままドルの安値圏、134.30円レベルで推移し、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは「米金融不安」と「米金融政策」について。
前者は、先週末に話が急展開し、米銀最大手JPモルガン・チェースが買収することになった米中堅銀ファースト・リパブリックに続き、今度はパックウエスト・バンコープに身売り話が台頭。ブルームバーグでは「身売りを含む戦略的な選択肢を検討している」と報じていた。また、それとは別に同地銀のウエスタン・アライアンスの株価も大きく下落、「異常な預金流出は生じていない」との表明を余儀なくされるなど、危険とされる先が複数聞かれているところも気掛かり。続報などには引き続き要注意だ。
対して後者は、日本時間本日未明の米FOMCで、主要政策金利の0.25%引き上げが発表された一方、利上げが今回で打ち止めになる可能性も示唆された。声明から「追加引き締めが適切となる可能性を見込む」との文言は削除された反面、「入手する情報を注意深く見極め、その金融政策への含意を判断する」などといった記述に変更されていた。また会見でパウエル議長自身は「インフレが高止まりすれば利下げはしない」と発言。これが逆に利下げの可能性はゼロではない、といった受け止められ方をしてドルの弱材料となっていたようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は4月26日の133.02円を目先安値に137.78円まで4.7円ほどの上昇をたどったが、そののちドルは急反落。本日アジア時間には134.20円割れまで下落している。上げ幅の7割以上を吐き出した格好だ。前述上げ幅のフィボナッチによると、次のサポートは76.4%押しの134.15円であり、そのレベルを下回ると100%戻しも否定できない。このあとまだ米雇用統計の発表などを控えているため油断は禁物ながら、ドルの下値リスクが再び強まってきた感もある。
先で指摘したように、昨日の米FOMCは0.25%の利上げを実施したものの、次回の利上げ停止が示唆されたばかりか、利下げの可能性まで深読みする向きがありドルの弱材料に。そうしたなか、本日はECBによる政策金利発表と、終了後にはラガルド総裁の記者会見が予定されている。ちなみに市場の見方は0.25%追加利上げそして、9月までの追加利上げ示唆との見方が有力か。ユーロは買われ易そうな雰囲気だが、予想外の結果となれば欧州通貨中心とした荒れ相場も。
テクニカルに見た場合、ドル/円は1週間程度で4.7円もの上昇をたどったが、その7割以上を3日経たずに吐き出してきた。ここ数日の値動きはかなり荒っぽい。ドルが続落し、東京安値に近い134.15円あるいは134円を下回れば、4月26日安値の133.02円が視界内に捉えられそうだ。しかし、134円台を辛うじて維持すれば135円台回復を目指し、仮に超えれば意外に戻りは速いかもしれない。
本日は米経済指標として、3月の貿易収支や週間ベースの新規失業保険申請件数などが発表される予定となっている。昨日も発表された米経済指標が相場の波乱要因となっていただけに本日も同様の展開には一応要注意。ただ、もっとも注視されるのはやはりECB理事会と終了後のラガルド総裁会見か。欧州通貨主導の値動きも。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは134.10-135.50円。ドル高・円安方向はまず135円レベルが最初の抵抗で、超えれば135円後半や136円を目指す展開か。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値である134.15-20円をめぐる攻防に注目。割り込むようなら134円割れ、少し遠いが133.02円も薄っすらとだが視界内に入ってくる。(了)
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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