ドル円見通し 133円割れから持ち直し、12日夜の米CPI発表へ向かう(23/4/12)

ドル円は、ユーロやポンドの上昇一服及び一時低下していた米10年債利回りが前日比プラス圏まで持ち直したことで12日未明には133.80円まで切り返した。

ドル円見通し 133円割れから持ち直し、12日夜の米CPI発表へ向かう(23/4/12)

133円割れから持ち直し、12日夜の米CPI発表へ向かう

〇ドル円、独英等の長期債利回り上昇によりユーロやポンドが上昇したため132.93までいったん失速
〇4/12未明には133円割れに対する値頃感などで133.80まで切り返す
〇地区連銀総裁らの発言はタカ派とハト派がまちまち
〇今夜の米3月CPI上昇率に市場の関心集まる。定まりに欠ける方向性がはっきりしてくるか
〇4/13未明にかけては米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の公表、米10年債入札
〇133.40以上での推移中は上向き、4/10深夜高値超えからは134.00から134.50への上昇を想定
〇133.40以下での推移中は下向き、132.93割れからは下落期入りとみて132円台前半への下落を想定

【概況】

ドル円は4月10日夜の日銀植田新総裁就任会見における金融政策現状維持姿勢により直前の131.99円から深夜高値133.86円へ2円近い急伸となったが、11日の日中から夜にかけてはドル安がぶり返し、独英等の長期債利回り上昇によりユーロやポンドが上昇したために132.93円までいったん失速した。
米国の主要経済指標発表はなかったものの133円割れに対する値頃感と、ユーロやポンドの上昇一服及び一時低下していた米10年債利回りが前日比プラス圏まで持ち直したことで12日未明には133.80円まで切り返した。
ドルの強弱についてはまだ定まらない状況にあるが、ドル円は3月24日安値129.63円以降の高値を更新した後も概ね133円台で確りしており円安基調にあり、ユーロドルは3月24日安値から4月3日安値及び4月10日深夜安値へ底上げ基調で推移しておりユーロ高基調を維持している。今夜の米CPIからドル安へ進むのかドル高へ向かうのかにより、やや定まりにかける方向性がはっきりしてくるのだろうと思われる。13日未明にかけては米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の公表、米10年債入札がある。

【米CPIは「逆ショック」か?】

今夜の米3月CPI上昇率に市場の関心が向いている。CPI上昇率についての事前予想では全体の前年比が5.2%で2月の6.0%から大幅に鈍化すると見込まれるものの、コア指数の前年比は2月の5.5%から5.6%へと若干伸びてインフレの高止まりの可能性を示唆している。
全体の伸びが予想を上回りコア指数が2月を上回る場合にはインフレ抑制のための利上げ継続が正当化されるとしてドル全面高へ進む可能性があるが、前月比の伸びが予想を下回りコア指数の伸びも鈍化ならインフレ抑制のための利上げ継続よりもこれまでの利上げ効果を見定めるべきとなり、米銀破綻をきっかけとした信用不安も払拭しきれていない状況のために利上げの見送りや年後半の利下げシナリオが遡上にあがるためにドル全面安を招きかねない。昨年11月10日には10月のCPIが予想以上に鈍化したことで「逆CPIショック」と名付けられるドル全面安発生のトリガーとなった経緯もある。内容次第では値動きもかなり大きくなる可能性があると注意したい。

【地区連銀総裁らの発言はタカ派とハト派がまちまち】

シカゴ連銀のグールズビー総裁は4月11日に、米銀破綻をきっかけとした信用不安による与信環境の悪化を踏まえて「利上げの行き過ぎに注意するべきだ」と次回FOMCでの利上げに対しての慎重姿勢を示した。総裁は信用不安の逆風がどれほどインフレを下押しするかを見極めるまでは、指標を精査して利上げの行き過ぎに注意するべきだ」と述べた。銀行の融資姿勢が厳しくなれば利上げしなくても金融引き締め効果をもたらしインフレを抑えることにもつながる。

一方でニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は「量的金融引き締めがかなりスムーズに進んでおり、調整の必要はない」とし、「労働市場では求人が徐々に減っているが歴史的に見ればまだ多い」と労働市場の引き締まりを強調し、市場の景気後退感や年内の利下げ期待に対して否定的な見方を示しつつ利上げ継続姿勢を示した。
また米フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は「インフレ抑制のために政策金利を現状の4.75-5.00%から5%超に引き上げてその水準に維持する必要があると引き続き考えている」として利上げ支持姿勢を示したが、「追加利上げの必要性を判断するためにデータを注視する」として利上げ終了が近づいているとの認識も示した。

【米長期債利回りはまちまち、CPI発表待ちで慎重な動き】

4月11日の米長期債利回りはまちまち。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.01%上昇の3.43%となったが、一時は0.03%低下してドル安要因となっていたところからプラス圏に持ち直した。4月6日に一時3.25%まで低下していたところから4月7日は米雇用統計を見て前日比0.09%上昇となり、10日も0.02%上昇で11日もわずかながら3連騰となり、CPI発表を控えて戻してきた。
30年債利回りは前日比0.01%低下の3.62%で、4月7日から10日へ連騰したが11日は上げ渋った。
利上げに敏感な2年債利回りは前日比0.02%上昇の4.03%で、4月6日の0.04%上昇、7日の0.15%上昇、10日の0.03%上昇からの4連騰となったが、3月24日に大幅低下した後の一段安状態での持ち合いの範囲という印象だ。
一方でNYダウは前日比98.27ドル高と上昇、4月5日から4連騰となり楽観優勢の動き、ナスダック総合指数は52.48ポイント安で前日の3.60ポイント安からの続落となり、米長期債利回りの上昇気配を警戒している印象。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は4月10日深夜高値133.86円で4月5日深夜安値130.63円からの反騰が一巡して調整安に入ったが、11日夜の133円割れから切り返しているため、5日深夜安値から4日目となる11日夜安値で目先の底をつけて新たな上昇期に入った印象だ。10日深夜高値を超えれば上昇も勢い付くところとみるが、高値更新へ進めないか高値をわずかに超えても失速する場合は10日深夜高値とのダブルトップに終わる可能性が出てくると注意し、11日夜安値132.93円割れからは下落期入りとして14日から18日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では4月11日夜への反落で遅行スパンが実線と交錯したが、26本基準線が下支えして先行スパンを上回った状況も維持されているので、遅行スパン好転中は26本基準線を支持線として高値試し優先とする。ただし先行スパンへ潜り込むところからは下げ再開を警戒し、先行スパンから転落の場合は4月5日深夜以降の上昇一巡による下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4月10日深夜への上昇で80ポイントに迫ってから11日夜に50ポイント割れへ失速したが、その後の反騰により60ポイント台まで戻した。相場は10日深夜高値に迫ったものの指数のピークは切り下がり気味のため弱気逆行となる可能性もあると注意し、65ポイント超えからは70ポイント台後半への上昇を想定するが、45ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント以下へ向かう下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月11日夜安値132.93円を下値支持線、4月10日深夜高値133.86円を上値抵抗線とする。
(2)133.40円以上での推移中は上向きとし、4月10日深夜高値超えからは134円台前半(134.00円から134.50円)への上昇を想定する。134.50円以上は反落注意とするが、米CPI等で勢い付く場合は135円超えを目指す上昇を想定し、13日午前も高値試しを続けやすいとみる。
(3)133.40円以下での推移中は下向きとし、132.93円割れからは下落期入りとみて132円台前半への下落を想定する。132.50円以下は反騰注意とするが、米CPI等で勢い付く場合は132円割れを目指す可能性もあると注意し、133円を下回っての推移なら13日午前も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

4/12(水)
G20財務相・中央銀行総裁会議(4/13迄)
13:45 (豪) ブロック豪中銀副総裁、討論会参加
21:30 (米) 3月 消費者物価指数(CPI) 前月比 (2月 0.4%、予想 0.2%)
21:30 (米) 3月 消費者物価指数(CPI) 前年同月比 (2月 6.0%、予想 5.1%)
21:30 (米) 3月 CPIコア指数 前月比 (2月 0.5%、予想 0.4%)
21:30 (米) 3月 CPIコア指数 前年同月比 (2月 5.5%、予想 5.6%)
21:30 (欧) デギンドスECB副総裁、講演
22:00 (米) バ ーキン・リッチモンド連銀総裁、投資関連会議で挨拶
22:00 (英) ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
23:00 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 4.50%、予想 4.50%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計

26:00 (米) 財務省10年債入札
27:00 (米) 3月 月次財政収支 (2月 -2624億ドル、予想 -3020億ドル)
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨

4/13(木)
休場 タイ
未 定 (中) 3月 貿易収支・米ドル (2月 780.1億ドル、予想 410.0億ドル)
未 定 (中) 3月 貿易収支・人民元 (2月 5501.1億元)
08:50 (日) 3月 マネーストックM2 前年同月比 (2月 2.6%)
10:30 (豪) 3月 新規雇用者数 (2月 6.46万人、予想 2.00万人)
10:30 (豪) 3月 失業率 (2月 3.5%、予想 3.6%)
15:00 (独) 3月 消費者物価指数(CPI)改定値 前月比 (速報 0.8%、予想 0.8%)
15:00 (独) 3月 消費者物価指数(CPI)改定値 前年同月比 (速報 7.4%、予想 7.4%)
15:00 (英) 2月 月次GDP 前月比 (1月 0.3%、予想 0.1%)
15:00 (英) 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 -0.3%、予想 0.2%)
15:00 (英) 2月 鉱工業生産 前年同月比 (1月 -4.3%、予想 -3.7%)
15:00 (英) 2月 貿易収支・物品 (1月 -178.55億ポンド、予想 -170.00億ポンド)
15:00 (英) 2月 貿易収支 (1月 -58.61億ポンド、予想 -49.00億ポンド)

18:00 (欧) 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 0.7%、予想 1.0%)
18:00 (欧) 2月 鉱工業生産 前年同月比 (1月 0.9%、予想 1.6%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.8万件、予想 23.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 182.3万人、予想 179.0万人)
21:30 (米) 3月 生産者物価指数(PPI) 前月比 (2月 -0.1%、予想 0.0%)
21:30 (米) 3月 生産者物価指数(PPI) 前年同月比 (2月 4.6%、予想 3.0%)
21:30 (米) 3月 PPIコア指数 前月比 (2月 0.0%、予想 0.3%)
21:30 (米) 3月 PPIコア指数 前年同月比 (2月 4.4%、予想 3.5%)
22:00 (英) ピル英中銀理事、講演
26:00 (米) 財務省30年債入札
27:00 (独) ナーゲル独連銀総裁、講演


注:ポイント要約は編集部

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