ドル続伸期待も、抵抗多く上値は重いか
〇本日のドル円、133円半ばへ上昇するも勢い続かず132.70レベルまで下落、その後再びドル買い優勢に
〇ドルの上値が重い中、移動平均の90日線なども一時上回る、ドル続伸が期待される
〇金融システム不安の後退は顕著、足もとは引き続き月末や四半期末をにらんだ需給要因に要注意
〇ドル続伸が期待されるが、133円台に複数のテクニカルポイントがあり、ドルの上値を阻む可能性
〇本日は、2月PCEデフレーターや3月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値の発表予定
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは132.40-133.80
<< 東京市場の動き >>
31日の東京市場は乱高下。レンジは極端に広くはなかったが、それでも133円挟みの1円近いなかでなかなか激しい乱高下をたどっていた。
ドル/円は寄りついた132.60-65円を日中安値にドルは上値を試す展開。一昨日と昨日超えられなかった133円の壁を超えると、133円半ばへと一時達する局面も観測されていた。しかし勢いは続かず、高値示現後は「行って来い」の動き。寄り付きに近い132.70円レベルまで下落したが、終盤にかけて再びドル買いが優勢になると133円台へ。16時現在では133.10-15円で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「米金融政策」と「中国情勢」について。
前者は、昨日発表された米経済指標、1-3月期のGDP統計確報や週間ベースの新規失業保険申請件数はともに予想を下回る内容。それを受け、ボストン連銀総裁は追加利上げを支持する姿勢を示したものの、同時に「信用のひっ迫が追加利上げの必要性を相殺する」可能性にも言及していた。また、リッチモンド連銀総裁やミネアポリス連銀総裁も同様に信用不安に言及したうえで、「0.5%の利上げ選択肢は除外された」(バーキン氏)などと発言が一時期よりもややトーンダウンしていた感を否めない。
対して後者は、訪米中の台湾の蔡総統は支持者に対し、「台湾と米国はかつてないほど緊密な関係にある」と述べたと報じられていたが、噂されていた米下院議長との会談などは伝えられていない。そのため、中国も反発の姿勢を示しつつ、取り敢えず矛を収めている格好だ。ただ、このあと台湾総統の一挙手一投足と中国の反応には引き続き要注意。一方、それとは別に米調整官が、米政府はバイデン大統領が中国の習国家主席と新たに電話会談する用意があるとの姿勢をはっきり打ち出していると述べるなど、関係改善を望むスタンスにあることを明らかにしていた。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル高傾向ではあるものの、対円では上値が重く昨日も133円にはとどかず。テクニカルには一目均衡表の先行帯の雲の上限もNYクローズベースで超えることは出来なかった。つまり、ドル上値の重さを再確認したとも言えそうだが、そののち本日東京時間に前記した一目の雲の上限に続き移動平均の90日線なども一時上回る局面が観測されている。まだ「しっかり」超えたとは言えないものの、続伸が期待される足形だ。
SVB破綻に端を発した金融システム不安の後退は顕著で、その一端は「恐怖指数」とも言われるVIX指数でみることが出来る。実際、一時26台まで上昇していたものが、ここにきて20割れ。昨日はSVB破綻前のレベルまで下落している。油断は禁物ながら、ひとまず終息したと考えてられるだろう。そうしたなか、足もとは引き続き月末や四半期末をにらんだ需給要因に要注意。そして、5月FOMCに向けた米金融政策が徐々に再び市場で注目度を高めそうだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円は本稿執筆時、東京16時現在では昨日も超えられなかった133円台へと乗せ、一目均衡表の先行帯の雲の上限も上回っている。ドルの続伸が期待されている。しかし、133円台には移動平均の90日線と21日線、そして高値137.91円を起点とした下げ幅の半値戻しなど複数のテクニカルポイントが位置しており、それらがドルの上値を阻みそうだ。思いのほかドルの頭は重いのだろう。
本日は米経済指標として、2月のPCEデフレーターや3月のミシガン大学消費者信頼感指数確報値が発表される予定となっている。前述したように、昨日発表指標は総じて好数字だったが本日も続く内容となるのか注目だ。また本日も、米通貨当局者らによる講演など
発言機会が多いだけに、その内容にも一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは132.40-133.80円。ドル高・円安方向は先でも指摘したように133円台には本日東京高値(133円半ば)のほか、90日線や21日線などテクニカルポイントが多い。
対するドル安・円高方向は、132.70円前後が弱いサポート。下回ると昨日安値132.20円がターゲットに。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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