ドル円、急落後に急伸するなど荒々しい値動き。リスクオフ/オンが目まぐるしく入れ替わる展開(3/17朝)

16日(木)のドル円相場は乱高下。

ドル円、急落後に急伸するなど荒々しい値動き。リスクオフ/オンが目まぐるしく入れ替わる展開(3/17朝)

ドル円、急落後に急伸するなど荒々しい値動き。

〇ドル円、米国時間朝方にかけ131.74まで急落後、高値133.82まで急反発する荒い値動き
〇ECBの0.5%利上げ等が重石になった反面、ファーストリパブリック銀行への救済策決定が支援
〇ユーロドル、ECBの利上げ断行による信用不安助長懸念から一時1.0551まで反落後1.06台回復
〇ドル円、複数のレジスタンスポイント控え、下位足での売りシグナルも継続、テクニカルの地合い弱い
〇ファンダメンタルズも、世界的金融不安を巡る警戒感等がドル円の重石に
〇ドル円相場の反落をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:131.50ー134.50

海外時間のレビュー

16日(木)のドル円相場は乱高下。(1)渦中のクレディ・スイス社がスイス中銀より最大500億スイス・フラン(約7兆1500億円)を借り入れると発表したことや、(2)上記1を背景とした安堵のリスクオフ後退、(3)本邦輸入企業の実需のドル買いが支援材料となり、アジア時間朝方にかけて、一時133.49まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)ゴールドマンサックス社による「米国経済が今後1年以内にリセッション入りする確率を従来の10%から35%に引き上げる」との発表や、(5)株式市場の軟調推移(リスク回避の円買い再開)、(6)米金利低下に伴うドル売り圧力、(7)米3月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(結果▲23.2、予想▲15.0)の急低下や、(8)ECB理事会での50bpの利上げ断行(米銀の連鎖破綻やクレディ・スイスの経営不安を背景に一部では今回のECB理事会で「利上げ幅縮小」や「利上げ見送り」が決定されるのでは?との見方が燻っていたが、結果は当初想定通りの50bpの利上げ実施→リスク回避のドル円・クロス円下落)が重石となり、米国時間朝方にかけて、約1ヵ月ぶり安値となる131.74(2/14以来の安値圏)まで急落しました。

もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(9)イエレン米財務長官による「インフレ抑制がバイデン米政権の最優先課題」との発言や、(10)JPモルガンやシティバンク、BofAやモルガン・スタンレーなど複数の大手銀行が米ファースト・リパブリック・バンクへの300億ドル規模の支援を検討しているとの一部報道、(11)上記10を背景とした米主要株価指数の急反発、(12)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値133.82まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間3/17午前5時05分時点)では、133.57前後で推移しております。

16日(木)のユーロドル相場は下落後に持ち直す展開。(1)クレディ・スイス社による「スイス中銀より最大500億スイス・フラン(約7兆1500億円)を借り入れる」との方針発表や、(2)上記1を背景とした同行信用不安の一時的な後退、(3)欧州株の堅調推移が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値1.0636まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)注目されたECB理事会で当初想定通りの50bp利上げが断行されたことや、(5)上記4を背景とした信用不安助長への警戒感(一部では信用不安を和らげる目的でECBが利上げ幅縮小や利上げ見送りを決定するのではとの見方が燻っていたが、ECBは予定通り50bpの利上げを断行→市場は利上げ断行に伴う欧州経済の悪化を織り込む形で株安・ユーロ売りで反応)が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0551まで反落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(6)米主要株価指数の急上昇や、(7)上記6を背景としたリスク回避ムード後退が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間3/17午前5時05分時点)では、1.0612前後まで持ち直す動きとなっております。

本日の見通し

ドル円は一時131.74(2/14以来、約1ヵ月ぶり安値圏)まで急落するも、米国時間午後にかけて、ショートカバー主導で133.82まで持ち直す荒々しい値動きとなりました。但し、上方に複数のレジスタンスポイント(一目均衡表雲上限や一目均衡表基準線、90日移動平均線や21日移動平均線など)を控えていることや、4時間足などの下位足で依然として強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱い(足元の上昇はあくまで下落トレンドの過程で見られる一時的な反発局面)と整理できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)世界的な金融システミックリスクを巡る警戒感(米シルバーゲート銀行→米シリコンバレー銀行→米シグネチャーバンク→クレディ・スイス危機)や、(2)上記1を背景とした米FRBによる金融引き締め休止観測(来週の米FOMCでの「50bp利上げ」の織り込み度合は0%、「25bp利上げ」の織り込み度合は81.9%、現在は「据え置き」の織り込み度合は18.1%)、

(3)上記2を背景とした日米金利差縮小観測など、ドル円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります(ECBが当初予定通り50bpの利上げを断行したことや、イエレン米財務長官が「インフレ抑制がバイデン米政権の最優先課題」と発言したことで、来週の米FOMCでの「25bp利上げ」が市場コンセンサスとなりつつあるが、当方は依然として「利上げ見送り」を想定)。以上を踏まえ、当方では、ドル円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(伝統的金融市場の流動性が著しく低下しているため、株・債券・為替・コモディティ共にボラタイルな相場展開の継続を想定)。尚、本日は米2月鉱工業生産や、米2月設備稼働率、米2月景気先行指数、 米3月ミシガン大学消費者信頼感指数に注目が集まります。

本日の予想レンジ:131.50ー134.50

注:ポイント要約は編集部

ドル円、急落後に急伸するなど荒々しい値動き。

ドル円日足

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