ドル円132円台、クレディ・スイスへの信用不安波及に円買い強まる
16日午前の東京市場でドル円は133円を挟んで乱高下。朝方、133.49レベルで取引の始まったドル円は、スイスの銀行大手クレディ・スイスの破綻懸念が高まった流れを受けて、リスク回避の円買いが強まり、序盤に一時132.50の安値をつけました。
その後は、既に支援を表明していたスイス中銀から、クレディ・スイスが最大500億フランを借り入れると報じられたことから、やや懸念が後退、米長期金利の反発もあり、ドル円は一旦133.49まで買い戻されました。買い一巡後は方向感を失い再度133円割れを示現する荒い値動きとなり、東京時間正午現在は132.84レベルで取引されています。
日経平均株価は、クレディ・スイスの信用不安から昨晩欧州株が暴落した流れを受けて売りが先行。昨日一旦買い戻された金融株をはじめ、多くの業種で売られ、下げ幅は一時500円を超えました。しかし、その後上記のスイス中銀からの借り入れ報道が伝わると、最悪の事態は回避されるとの期待から買い戻しが入り下げ幅を縮小し、255円安で午前の取引を終了しています。
昨晩海外市場では前日伝えられたクレディ・スイスの「過去の財務報告と管理手順に重大な弱点があった」との発表を受け、同行のクレジットデフォルトスワップが危機的水準まで上昇、同行株は大幅安となりました。追い打ちをかけるように筆頭株主のサウジナショナルバンクが追加出資を否定、市場はパニック的リスク回避の動きとなりました。ドル円は欧州序盤の高値135.11から米国時時間にかけ132.22まで急落。発表された米指標が軒並み事前予想を下回ったこともドル売りに拍車をかけた形です。しかし、その後スイス中銀がクレディ・スイスに対し支援姿勢を示したことで、各市場ともやや落ち着きを取り戻し、ドル円は133円台前半まで戻して東京時間につないでいます。
テクニカルにはドル円は、昨晩からの下落で90日移動平均線に跳ね返された形で下落。一目均衡表の「雲」の中に沈みドル売り地合いが強まっています。当面の下値目途は「雲」下限の130.74、上方向は90日線の134.18から上は重そうです。
クレディ・スイスのプライベートバンキング部門を中心とする業績悪化と顧客の資金流出は既に昨年から伝えられており、今回の信用不安は米銀の連続破綻からの「システミックリスク」とは直接関係ありません。ただ、一旦金融機関が倒産すると、市場は疑心暗鬼となって次のスケープゴートとなる金融機関を探す傾向があるため、米銀破綻からの信用不安が飛び火したことは間違いなく、クレディ・スイスは最悪のタイミングで財務管理の不備を問われた(発端は米SECの異例の問い合わせによる9日の年次報告発表延期)形となりました。万一クレディ・スイスが破綻ということになれば、そこから発生するシステミックリスクは米国の中堅銀行の比ではなく、各国中銀、市場は固唾をのんでクレディ・スイス救済の可否を見守っている状況です。
市場の金融不安を受けてCME FEDWATCHの米金融政策の予想は6月利下げ開始がメインシナリオに回帰。12月時点での政策金利は3.75-4.00%が最大確率に再び低下しています。
現在のドル円相場は未だこれらの水準が充分織り込み切れておらず、様子見状態のままと言え、今後の信用不安の波及状況次第ではありますが、引き続きドル円は下方向のリスクに警戒が必要です。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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