ドル円見通し 先週末からの大幅下落から持ち直し、135円には届かず(23/3/15)

ドル円は3月14日夜の米2月CPI発表を無難に通過し、134.89円まで戻り高値を伸ばしたが、135円には届かずに15日早朝には一時134円を割り込んだ。

ドル円見通し 先週末からの大幅下落から持ち直し、135円には届かず(23/3/15)

ドル円見通し 先週末からの大幅下落から持ち直し、135円には届かず

〇ドル円、米2月CPI上昇率概ね予想通り、先週末からの大幅下落に対する修正的な戻り続く
〇米銀破綻報道が相次ぎ来週FOMCで大幅利上げが回避される見方が濃厚となり、市場の反応は限定的
〇134.89まで戻り高値を伸ばすも、135円には届かず、3/15早朝には一時134円を割り込む
〇NYダウ6営業日ぶりに反騰、大幅低下の続いていた米長期債利回りも反騰
〇133.70以上での推移中は一段高余地あり、134.89超えからは135.00-135.25への上昇を想定
〇133.70割れを弱気転換注意とし133.30割れからは下げ再開入り、3/13夜安値132.27を試す下落を想定
〇新たな米銀破綻やその懸念報道から円高が勢い付く場合は131円台後半へ下値目途を引き下げる

【概況】

ドル円は3月14日夜の米2月CPI発表を無難に通過し、NYダウが6営業日ぶりに反騰したことと大幅低下の続いていた米長期債利回りが反騰したことに押し上げられて134.89円まで戻り高値を伸ばしたが、135円には届かずに15日早朝には一時134円を割り込んだ。
3月10日の米2月雇用統計が強弱まちまちだったことに加えて米銀の破綻報道によりFRBの大幅利上げの可能性が大きく後退したと受け止められて米長期債利回りが急低下して為替市場はドル全面安となり、ドル円は10日夜に134.10円へ下落、13日朝の新たな米銀破綻報道からの一段安で13日夜には132.27円へ下落し、3月8日につけた年初来高値137.91円からの下げ幅は5.64円となった。しかし米長期債利回りの大幅低下が落ち着いたことで買い戻しに入り、14日夜は新たな米銀破綻報道はなく、米CPI上昇率も予想に近いものだったために先週末からの大幅下落に対する修正的な戻りを続けた。

3月13日夜安値から14日夜高値までの戻り幅は2.62円で3月8日からの下げ幅に対する半値戻しの手前にとどまっている。また3月10日夜に急落した状況の解消には至らずにいる。

【米2月CPIは概ね予想通り、市場反応は限定的】

3月14日に米労働省が発表した2月の米消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比6.0%となり市場予想と一致し、1月の6.4%を下回って2021年9月以来の低い伸びとなった。前月比は0.4%で予想と一致して1月の0.5%から若干鈍化した。
変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数の上昇率は前月比0.5%で1月の0.4%から伸びが加速、市場予想の0.4%を上回って昨年9月以来の伸び率となったが、前年同月比は5.5%で予想と一致して1月の5.6%からは鈍化した。
米銀の破綻報道が相次ぐ中でFRBによる来週のFOMCでは大幅利上げが回避されるとの見方が濃厚となっていることでCPIに対する市場の反応は限定的だった。

バイデン米大統領はCPI発表後に前年比の伸びが減速したことを評価したものの「引き続き生活コストの引き下げに取り組む」としてさらなるインフレ抑制を望む姿勢を示した。大統領は米銀の破綻に関しては「安定成長に向けた移行には後戻りがある」とし、困難な状況の中でも労働市場は堅調に推移しており、インフレ抑制へ向けて「強い立場で臨んでいる」と述べている。金融市場の動揺への配慮優先というよりもインフレ抑制を優先する姿勢ともいえる。
ボウマンFRB理事は米銀破綻が相次いだことについて「米国の銀行システムは引き続き強固だ」、銀行システム全体では「十分な資本と流動性を有し、しっかりした基盤がある」とし、米銀破綻を受けてFRBが3月12日に発表した期間1年物の資金供給プログラムで追加の流動性を供与することにより、金融機関が保有証券の売却を急ぐ必要をなくす」とし、市場に落ち着きを求めたが利上げ云々についての言及はなかったようだ。

【米長期債利回りは大幅低下落ち着く】

米銀破綻の連鎖不安からリスク回避的な動きが強まったことで株売り・債券買いにより米長期債利回りは連日の大幅低下が続いていたが3月14日は総じて上昇した。
長期金利指標の米10年債利回りの終盤は3.70%で前日比0.16%上昇した。米銀破綻報道等により3月9日に0.09%低下、10日に0.21%低下、13日に0.16%低下と大幅低下が続いたが、ひとまず落ち着いて前日の低下幅を解消した。
30年債利回りの終盤は3.81%で前日比0.12%上昇した。3月9日の0.05%低下、10日の0.14%低下、13日に0.02%低下と続いたが13日に3.53%まで急低下してからの持ち直しを継続した。
利上げに敏感な2年債利回りの終盤は4.26%で前日比0.24%上昇した。3月8日に5.08%をつけて2007年以来の高水準に到達した反動もあって3月9日に0.21%低下、10日に0.28%低下、13日は0.57%低下して4.02%をつけて2022年10月以来の低水準まで一挙に低下したが、ひとまず落ち着いた印象だ。

米銀破綻報道が相次ぐ前段階では来週のFOMCでは0.50%の大幅利上げもあり得るとの見方が優勢となっていたが、週末以降は大幅利上げの可能性は大きく後退している。0.25%利上げの可能性は継続しているものの金融市場の動揺を抑えるために利上げそのものが見送られるのではないかとの見方もある。また早ければ6月にも利下げされる可能性が取り沙汰され始めている。
一方でNYダウは6営業日ぶりに反発して前日比336.26ドル高で終了、ナスダック総合指数も239.31ポイント高と上昇した。米銀破綻の連鎖を警戒して3月13日は銀行関連株が大幅下落したが14日は総じて反騰しており、連鎖破綻報道が続かなかったこと、FRBによる早めの対応で市場も過剰は不安感からひとまず落ち着いた印象だ。しかし破綻の連鎖が出始める場合には2008年の金融危機を思い起こして株安債券高・長期債利回り低下の流れが勢い付く可能性もあるため、不安状況の払拭にはNYダウの力強い連騰が欲しいところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は3月8日午後高値137.91円を起点とした下落が3月13日夜安値132.27円で目先の底をつけて反騰入りしているところだ。凡そ半値戻しに近いところまで戻したが、3月10日夜の暴落前は135円台序盤が下値支持帯となっていたため、135円手前から135円台序盤にかけては戻りの抵抗帯となりやすいと思われる。
134円を割り込んでも切り返すうちは15日の日中から16日にかけて135円台への上昇余地ありとみるが、133.70円割れからは下げ再開を疑い、133.30円を割り込む場合は16日夜から20日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では3月13日夜からの反騰で遅行スパンが好転したが、先行スパンを突破しきれずにいる。遅行スパン好転中は高値試し優先とし、先行スパンを上抜くところからは上昇が勢い付く可能性もあるとみるが、先行スパンから転落する場合は下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は3月13日夜の30ポイント台序盤から14日夜に60ポイント超えへ戻し、その後も50ポイント以上を維持しているので60ポイント台後半への上昇余地ありとみるが、45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、133.70円を下値支持線、14日夜高値134.89円を上値抵抗線とする。
(2)133.70円以上での推移中は一段高余地ありとし、134.89円超えからは135円台序盤(135.00円から135.25円)への上昇を想定する。135円台序盤は戻り売りにつかまりやすいとみるが、上昇が勢い付く場合は135.50円前後へ上値目途を引き上げる。また134円以上での推移なら16日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)133.70円割れを弱気転換注意とし133.30円割れからは下げ再開入りとみて3月13日夜安値132.27円を試す下落を想定する。133.70円以下での推移なら16日も安値試しへ向かいやすいとみるが、新たな米銀破綻やその懸念報道から円高が勢い付く場合は131円台後半へ下値目途を引き下げる。

【当面の主な予定】

11:00 (中) 2月 小売売上高 前年同月比 (1月 -1.8%、予想 3.5%)
11:00 (中) 2月 鉱工業生産 前年同月比 (1月 1.3%、予想 2.6%)
19:00 (欧) 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 -1.1%、予想 0.4%)
19:00 (欧) 1月 鉱工業生産 前年同月比 (12月 -1.7%、予想 0.2%)

21:30 (米) 3月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (2月 -5.8、予想 -8.0)
21:30 (米) 2月 小売売上高 前月比 (1月 3.0%、予想 -0.3%)
21:30 (米) 2月 小売売上高・除自動車 前月比 (1月 2.3%、予想 -0.1%)
21:30 (米) 2月 生産者物価指数(PPI) 前月比 (1月 0.7%、予想 0.3%)
21:30 (米) 2月 生産者物価指数(PPI) 前年同月比 (1月 6.0%、予想 5.4%)
21:30 (米) 2月 PPIコア指数 前月比 (1月 0.5%、予想 0.4%)
21:30 (米) 2月 PPIコア指数 前年同月比 (1月 5.4%、予想 5.2%)
23:00 (米) 1月 企業在庫 前月比 (12月 0.3%、予想 0.0%)
23:00 (米) 3月 NAHB住宅市場指数 (2月 42、予想 40)
23:30 EIA週間石油在庫統計

3/16(木)
06:45 (NZ) 10-12月期 GDP 前期比 (7-9月 2.0%、予想 -0.2%)
06:45 (NZ) 10-12月期 GDP 前年同期比 (7-9月 6.4%、予想 3.3%)
08:50 (日) 1月 機械受注 前月比 (12月 1.6%、予想 1.5%)
08:50 (日) 1月 機械受注 前年同月比 (12月 -6.6%、予想 -3.5%)
08:50 (日) 2月 通関貿易収支・季調前 (1月 -3兆4966億円、予想 -1兆1414億円)
08:50 (日) 2月 通関貿易収支・季調済 (1月 -1兆8213億円、予想 -1兆4592億円)
09:30 (豪) 2月 新規雇用者数 (1月 -1.15万人、予想 5.00万人)
09:30 (豪) 2月 失業率 (1月 3.7%、予想 3.6%)
13:30 (日) 1月 鉱工業生産・確報値 前月比 (速報 -4.6%)
13:30 (日) 1月 鉱工業生産・確報値 前年同月比 (速報 -2.3%)
13:30 (日) 1月 設備稼働率 前月比 (12月 -1.1%)

21:30 (米) 2月 輸入物価指数 前月比 (1月 -0.2%、予想 -0.2%)
21:30 (米) 2月 輸出物価指数 前月比 (1月 0.8%、予想 -0.3%)
21:30 (米) 2月 住宅着工件数・年率換算 (1月 130.9万件、予想 131.0万件)
21:30 (米) 2月 住宅着工件数 前月比 (1月 -4.5%、予想 0.1%)
21:30 (米) 2月 建設許可件数・年率換算 (1月 133.9万件、予想 135.0万件)
21:30 (米) 2月 建設許可件数 前月比 (1月 0.1%、予想 0.8%)

21:30 (米) 3月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (2月 -24.3、予想 -14.0)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.1万件、予想 21.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 171.8万人)
22:15 (欧) 欧州中銀(ECB)政策金利 (現行 3.00%、予想 3.50%)
22:45 (欧) ラガルド欧州中銀(ECB)総裁、記者会見

注:ポイント要約は編集部

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